【第7話】
数日後、総司の通夜がT市内にある“パレルモ”で行われた。
通夜には総司の同級生たちやファンである他校の生徒達が参列していた。
その中には真弓たちの姿もあった。
「ねぇ、総司君本当に自殺したの?」
「原因は、やっぱり剣道部で体罰があったからじゃないかしら?」
「それもあるけど・・あたしは、みつさん達が原因だと思うのよねぇ。」
焼香を済ませた真弓が里華にメールを打とうとした時、外で近所のオバサン達が立ち話をしていた。
「みつさんも林太郎さんも、総司君のこと大切に育ててたじゃない?でもそれって、二人の間に子供が居なかったからよねぇ?」
「そうそう、みつさん不妊治療でやっと授かった赤ちゃん、結局駄目になっちゃって。それと同時期よねぇ、きんさんが里華ちゃんを産んだの。」
「可哀想だったわ、きんさん、普通は遠慮する筈なのに何でメール何かするんだか。」
「昔から空気が読めないところあったわよねぇ。みつさん、すっかり落ち込んじゃって。」
「ねぇ~」
こんな話をいつまでも聞いているつもりはなかったが、真弓は次第に怒りで胸がムカムカしてきた。
一体何の権利があって、総司の家庭の事を噂するのか。
「やめてください!」
いい加減にしろよ、と真弓がオバサン達に怒鳴ろうとした時、里華が鬼の形相を浮かべながら彼女達の方へと走って来た。
「あなた方に焼香されても、兄は喜びません!どうか、このままお帰り下さい!」
「そ、そんな・・」
「あたし達は・・」
オバサン達はもごもごとそう言いながら、ホールから立ち去っていった。
「大丈夫?」
「ええ。ごめんなさい。」
「謝らなくてもいいよ、悪いのはオバサン達なんだし。今メールしようと思ってたところなんだ。」
「そうですか。真弓さん、今夜うちに来て貰えませんか?一人で留守番するのも嫌なんで。」
「わかった。」
帰宅後、真弓が里華の家に泊まりに行くと両親に伝えると、彼らは向こうの迷惑にならないようにと言うだけで、反対しなかった。
「待たせた?」
「いえ。」
お泊まりセットを持って真弓が沖田家を訪れると、里華は嬉しそうに彼女を出迎えた。
「ねぇ、これからどうする?」
「DVDでも観ません?お兄ちゃんが途中まで集めてた海外ドラマのDVDがあるんです。」
「じゃぁ、それ観ようかな。あ、お菓子家から持って来たから、一緒に食べようか?」
「ええ。」
そう言うと真弓はポテトチップスの袋をバッグから取り出すと、テーブルの上に広げた。
「ねぇ、本当にあたしを呼び出したのは、何か別の目的があるんでしょう?」
「・・やっぱり、真弓さんにはかなわないなぁ。」
里華は笑うと、ソファから立ち上がった。
「少しここで待っていてください。あなたに見せたいものがあるんです。」
数分後、里華は数冊のノートを手に、リビングに戻ってきた。
「これは?」
「剣道部の部活ノートです。剣道部の活動記録とかがメインに書かれていますが、お兄ちゃんは別の事も書いていました。」
「別の事って、もしかして・・」
真弓は部活ノートの一冊目を開いた。




