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黒い霧   作者: 千菊丸
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【第5話】

「・・少しは落ち着いた?」

「ごめんなさい、取りみだしちゃって。」

泣きじゃくる里華を連れて、平助は学校の近くにあるファストフード店に来ていた。

「総司が死んだって、本当?」

「ええ。今朝、首を吊って部屋で死んでました。伯母さんがそれを見て、ショックで倒れちゃって・・」

「そうだよな。里華ちゃんや俺だってショックを受けているのに、みつさんはもっとショックだよな。なぁ、総司におかしい様子とかなかった?」

「ううん、昨日は特に変わった様子はなかったです。それに、お兄ちゃんが自殺する理由なんて思い当たらないの。だって、お兄ちゃん例の事をネット上で公表しようと思ったんだもの。」

里華はそこで言葉を切ると、コーラを一口飲んだ。

「あの事って・・芹沢先生が体罰してたこと?でもあれ、有耶無耶にされたんじゃないの?」

「あいつが権力を使って揉み消したんだよ。あいつの所為で、一人の生徒が死にかけたっていうのに。このまま終わらせるなんて、許せないよ!」

里華はテーブルを両手で叩くと、周囲の客が二人をジロジロと見た。

「確かに、あいつがしたことは許せないよ。でも証拠が・・」

「証拠だったらあるよ。これ、立派な証拠になるよね?」

里華は鞄の中からスマートフォンを取り出すと、平助にある動画を見せた。

動画には、芹沢が部員に体罰を加えている場面が映っていた。

「これ、総司が隠し撮りしたやつだ。」

「うん。お兄ちゃんスマホ持ってなかったから、あたしが貸したの。これあいつに壊された時の為に、何本かバックアップ取ってるんだ。お兄ちゃん、この動画を動画サイトで流そうとしてたの。でも、あの人が止めた。」

「あの人?」

「土方先生だよ。剣道部の副顧問。その時土方先生とお兄ちゃん、酷く口論して、最後は喧嘩別れしちゃったんだって。」

「そうか。じゃぁ、里華ちゃんは総司の代わりに何をするつもりなの?」

「つもりっていうか、さっきあの動画、動画サイドにアップしたから。」

里華はそう言うと、ハンバーガーを一口頬張った。


「お兄ちゃんが出来なかったことを、あたしが代わりにやったの。あたしは絶対にあいつを許さない。」


「じゃぁね~」

「うん、またねぇ~!」

放課後、運動部の練習に出る親友二人と校門の前で真弓は別れ、自宅へと向かって歩いていると、同じ制服を着た女子生徒ー総司の妹・里華が総司の親友の藤堂平助と並んで歩いていた。

「里華ちゃん?」

「あ、真弓さん。」

「もう大丈夫なの?朝、酷く取り乱してたけど・・」

「ええ、もう大丈夫です。それよりも真弓さん、最後にお兄ちゃんに会ったんですよね?」

「うん、そうだけど・・それがどうかした?」

「教えてくれませんか、その時の様子。ここじゃ何だから、何処か静かな所でお話ししません?」

「わかったわ。」

一方、芹沢は都内のホテルでチェックインした後、テレビをつけた。

『今朝、T市内に住む男子高校生が自殺しているのを家族が発見し、病院に搬送されましたが、男子高校生は数時間後に死亡しました。なお、数分前に死亡した男子高校生が所属している剣道部で、顧問の教諭が部員に体罰を加えている様子が動画サイトにアップロードされていました。』


ニュース画面が切り替わり、画面一面に憎悪に歪んだ自分の顔が映っていることに気づき、芹沢は怒りと驚愕で顔を強張らせた。

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