【第4話】
里華は病院前でタクシーを拾い、兄・総司が通っていた高校へと向かった。
「どういうことだ、近藤さん?話がしたいって?」
「トシ、来たな。」
一方、理事長である近藤勇から連絡を受けた歳三が学校へと向かうと、彼は渋面を浮かべながら彼を出迎えた。
「総司から昨夜、こんなメールが送られてきたんだ。」
歳三が近藤に総司からのメールを見せると、彼は険しい表情を浮かべながらメールを読んだ。
「総司が自殺したのは、芹沢さんの体罰が原因なのか?」
「それは違う。あいつは芹沢さんから体罰を受けていなかった。それよりも、芹沢さんはどうした?まだ来てないのか?」
「ああ、さっき連絡を入れたんだが・・」
「もう一回連絡しろ。逃げても何もならねぇだろ!」
歳三が声を荒げた時、理事長室のドアが荒々しく開いて、総司の妹・里華が入って来た。
「あんただって逃げた癖に、人を責める権利があるっていうの?」
里華はそう叫んで歳三に掴みかかると、彼の頬を平手で打った。
「落ち着け、里華。俺は逃げてはいねぇ。」
「じゃぁどうして病院に来なかったの?」
「来ようとしたさ。だが近藤さんから電話が来て学校に行ったんだよ!」
「ごめんなさい、あたし、カッとなって・・」
少し落ち着いてきた里華は、そう言うと歳三に自分の非を詫びた。
「ねぇ、それよりもあの暴力教師はまだ来てないの?」
「芹沢さんとは連絡がつかねぇんだと。」
「じゃぁ逃げたんだ、あいつ。いっつもそうだよね、厄介な事があると近藤さんや土方さんに丸投げして自分は安全圏で高みの見物。事なかれ主義でトラブルが無事解決したらしたで、その手がらを自分の物にしちゃってさ。今回だってどっかに逃げてんじゃないの?」
里華が吐き捨てるような口調で芹沢への怨嗟の言葉を吐くと、理事長室のドアがノックされた。
「理事長、マスコミの方がいらしておりますが・・」
「少し待っておいてくれと伝えてくれ。」
「かしこまりました。」
廊下から足音が遠ざかっていくのを確かめた近藤は、里華と歳三の方に向き直った。
「多分、芹沢さんには芹沢さんなりの考えがあるんだろう。だから彼を一方的に責めないでくれないか?」
「でも・・」
「里華、もういいだろ?ここに来る事をみつさん達に言ったのか?きっと今頃、みつさん達心配してるぞ?」
「もう、病院に戻るね。いきなり押しかけてきちゃってごめんなさい・・」
里華はそう言って歳三と近藤に頭を下げると、理事長室から出て行った。
「あ、里華ちゃん!」
「平助さん、お久しぶりです。」
裏口へと里華が向かっている時、総司と同じクラスの藤堂平助が里華に話しかけてきた。
「なぁ、総司の奴今日来なかったけど、風邪でもひいたの?」
「あのね、平助さん・・お兄ちゃんね、死んじゃったの。」
「え?」
「伯母さんがお兄ちゃん、いつまで経っても起きないから部屋に上がって様子見に行ったら・・ドアノブにベルト掛けて、それで首を吊って・・」
「嘘だろ?なぁ、嘘だよな、総司が死んだなんて!」
「あたしだって嘘だって思いたいよ!でも、お兄ちゃんはもう何処にも居ないの!死んじゃったんだよぉ~!」
平助に詰め寄られ、今まで堪えてきた涙と悲しみが一気に自分に向かって押し寄せて来るのを、里華は感じた。
そしてそれを、彼女は拒むことは出来なかった。




