【第14話】
「それで、話ってなに?」
「兄の事なんですけど・・」
里華と一緒に入ったファストフード店で、真緒はポテトを頬張りながら彼女の話を聞いた。
彼女によると、“彼”ー総司は、自殺する数日前には特に変わった様子はなかったという。
「あのさ、最近ニュースでやってることは本当なの?あんたの兄ちゃんが所属してた剣道部で体罰があったとか・・」
「ええ、本当です。兄はそれを告発しようとしていたんです。それなのに突然自殺するだなんて、おかしいと思いませんか?」
「絶対におかしいよ、それ。警察に調べて貰った方がいいんじゃない?」
「何度も警察に調べて欲しいって言いましたけど、事件性がないから調べられないって・・」
里華はそう言うと、悔しそうに唇を噛んだ。
「わたし、このまま兄の死を自殺だって簡単に片づけられることが悔しいです。自殺するにしても、きっと何か理由がある筈です。」
「あたしだって、あんたの兄ちゃんが自殺したこと未だに信じられないよ。それにさぁ、あいつに限ってスーパーで万引きする訳ないじゃん?」
「それ、いつのことですか?」
里華が身を乗り出して真緒の話を聞こうとした時、店に数人の女子高生達が入って来た。
彼女達は真緒の所へとまっすぐに向かって来て、志穂が彼女の前に現れた。
「あっれぇ、真緒じゃん。学校休んで何でここにいんの?」
「あんたには関係ないだろ?それよりも、一体何の用?」
志穂が突然目の前に現れたので真緒は驚いたが、彼女に対して強気な態度を取った。
「まだあの動画、削除してないよね?」
「する訳ないじゃん。あんた、もしかしてあたしを脅して万引きしたのなかったことにできるとか思ってんの?馬鹿じゃねぇ?」
真緒が志穂の言葉を鼻で笑いながら彼女を見ると、彼女は怒りでさっと頬を赤く染めた。
「調子に乗ってんじゃねぇよ、デブスの癖に。」
「はぁ?逆切れっすか?あんたの相手してる暇ないんだから、とっとと出てけよ。」
真緒はじろりと志穂を睨み付けると、彼女は取り巻きを引き連れて部屋から出て行った。
「あの人達、お兄ちゃんの追っかけしてた人・・」
「志穂のこと知ってんの?じゃぁ話は早いや。あんたの兄ちゃんがスーパーで万引きしてたのは、去年の夏ごろくらいかな?その日、あたし現場のスーパーで母親と買い物に来てたんだよね。それでさぁ、偶然見ちゃったんだよね、あんたの兄ちゃんがいかにも柄の悪い連中に囲まれてんの。」
「どんな奴らだったんですか?」
「ああ、あいつらどっか見覚えがあるなぁって思ったら、T高校の制服着てた奴らだったんだよね。」
「T高校って、確かお兄ちゃんが通っている高校の向かいにある学校ですよね?何でお兄ちゃんがT高校の奴らに取り囲まれてたんですか?」
「さぁ・・ちらっと遠目に見ただけからわかんなかったけど、リーダー格みたいな奴があんたの兄ちゃんにしつこく絡んでさぁ。嫌な感じだったから何もせずに通り過ぎちゃった。」
「どうして助けてくれなかったんですか!」
里華は総司が危険な目に遭っているというのに、傍観した真緒の事をつい責めてしまった。
「あたしが行ってもさぁ、どうにかなる訳ないじゃん?あのさ、もう話したんだからいいよね?言っとくけど、今あたしはあんたに何もしてあげらんないから。じゃ。」
「ちょっと、待ってください!」
慌てて真緒を引き留めようとした里華だったが、既に彼女は店から出て行った後だった。
溜息を吐きながら椅子に腰を下ろした里華は、スマートフォンを取り出して真弓にメールを打った。




