さむがりさん と あつがりくん
冴と篤人の会話のみ。
春
「ぽかぽかしてきもちいいね。天気よくてよかった」
「ここいい場所だね。さくらもきれい」
「あ、甘酒売ってるよ。飲む?」
「飲む!」
「あ~甘酒美味しい。体あったまった」
「あったまったしジャケット脱ぐ」
「ほんと篤人は暑がりだよね。甘酒のカップ持つよ」
「ありがと」
「……篤人、下にTシャツしか着てなかったの?」
「うん、そうだよ?」
「さむくないの……」
「えぇ?春だしあったかいじゃん。さえちゃんがさむがりなんだよ。重ね着魔人じゃん」
「お互い極端だよね」
「さえちゃん何枚も着てるから脱がせにくい」
「私一生寒がりでいい。20枚くらい着る」
「…」
夏
「あっつい……。さえちゃん、クーラー温度下げていい?」
「なに言ってんの、もう充分よ。24度まで下がってるじゃない」
「俺はまだ暑い」
「私はもう寒い」
「……さえちゃんなんで長袖着てるの?」
「だから寒いのよ!篤人がクーラー温度下げて強風にしてるから!」
「うわ、さえちゃんの手先冷たい。きもちいい」
「篤人の手あったかい…」
ぴと
「…………さえちゃんあっついよ…」
「うわ汗かいてきてる。やめてよ」
「目からも汗出ちゃうよ……」
秋
「風が冷たくなってきたね…」
「さえちゃん寒い?大丈夫?」
「ちょっと寒いけど大丈夫。そろそろ上着欲しいなぁ」
「じゃあかわいいカーディガン買いにいこうよ」
「お出かけか、いいね。篤人のも買おう」
「俺のはいいや」
「いらないの?」
「寒くなったらさえちゃんで暖とるから大丈夫」
「そうしたら私が暑くなるから嫌」
「…お互い丁度いいのが一番だよね」
「そうね」
「…」
冬
「さむい……。篤人、暖房の温度上げて」
「えぇ?今ので丁度いいよ。これより上げたら暑い」
「だって寒いんだもん。パソコン打ってる指先が凍る」
「凍らないし、パソコンしすぎなんだよ!ホットミルク入れてあげるからこっちでちょっと休憩しよ」
「うん……」
「はい、ミルク」
「ありがと」
すとん
「……なんで私の後ろに座るの?」
「ミルク飲んでお腹はあったまるでしょ?ついでにこれで背中もあったまるよ。俺あったかいでしょ」
「……まぁいいけど」
「(ほんとは俺もちょっと寒かったけど、さえちゃんとくっついて丁度いいかもとか目論んでその通りになったっていうのは秘密)」
「(お互い丁度いいなら、これが一番幸せな体温調節かも。篤人には言わないけど)」
「…ねぇ、さえちゃん、もっとあったまることしよ」
「嫌。今丁度いいから、これ以上いらない。汗かいちゃうもの」
「……俺が目から汗かいちゃったよ…」