表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第5章 Legend、開幕
93/144

第10話 Bright and Dark ―光闇―

かつては無かった分かれ目。

時間が作り出した亀裂は、彼らを引き裂く。

「…お前ら、何処(・・)から来た?」

「何処からって…それは私たちの本拠地でも伝えればいいの?」

「とぼけんな。俺が聞いてんのはそこじゃねぇ」


 闇のウィウィが堕天使に尋問する状態は、やっと本題に移り始めたようだ。

 イライラが顔に出始めたウィウィは、少し怒り気味に堕天使に質問を投げた。


「おまえ自身も知っているだろうが、闇は早々簡単に宿せるものじゃねぇ。光もそうだが、闇なんてなにかトリガーがないと自らに宿ることはねぇよ」

「ええ、そうね。だからこそあなたには質問したわけだけど」

「俺はトリガーというより、運命力がそうしただけだ。最終的にウィウィは闇を見る。それはこの俺がいる理由そのものでもあるんだ」

「何を言っているのか、さっぱりわからないわね」

「俺としてはお前のほうがどうなっているのか疑問に思っちまう。何処でその闇を手にした、お前らには普通使いこなせるものじゃねぇはずだぞ?」


 微かに怒気を孕んだ声で、ウィウィは堕天使を問い詰める。その冷静さを欠いた彼を抑えたのは、フィフィたちだった。


「ちょっと待って、一旦冷静にならないかい?」

『というより、私たちは何をその人に聞いているのかわからないんだけど…教えてほしいの、何を話しているのか』

「私は闇に触れたことはあるし、別にいいんだけど…冷静さは大切よ、ウィウィ」


 いつものウィウィと言動は違うとはいえ、行動の基本はウィウィと同じなのかもしれないと思ったフィフィたちは、どうやら今のウィウィに対しての警戒心はなくなったようだ。いつもの調子で話しかけることができていた。

 ウィウィもそれを納得したのか、少し前のめりだった姿勢を元に戻し、後ろを振り返った。


「…そうだな。どうせだから、闇と光について、はっきりとお前らに話していくか。フェイアンとフィフィなら分かってるだろうが、他の奴等が分かってねぇし。ついでにそこから質問に移らせてもらうか」

『ん。それじゃあ、よろしく』

「おう…変な気分だな、これがウィウィの【()】か?」

「何か言ったかい?」

「いんや、何も」


 ―――――――――――――――


「光と闇…二極のこの属性そのものの説明は、妾がしよう。こちらは常識程度のものだと考えてほしいからの」

「…わかった。俺はそこから掘り下げた話をするか」


 ウィウィが闇について話をしようとした時、フェイアンが割り込んできて、その話は自分にさせてほしいと頼んできた。ウィウィも問題はないと考え、ジュアル氷山以来のフェイアン先生の講座を聞くことにした。


「ジュアル氷山では光と闇の存在位しか話せておらんからの。光と闇…この二つ、二極属性が火、水、地、風の四大属性と区別されて名前が成されているのは、これが世界が完成した後、人という存在ができて初めて作られた、後天的な属性だからじゃの」

「後天的?」

「世界には元々必要はなかったのじゃ。しかし、それをかき乱す、生きとし生けるものたち。彼らを引く二つの存在には、力があった―――」




 片方はすべてを照らす、輝かしい者。それは、種族という壁が無かった当時において、すべてに優しき魂を与えていた。

 その者についていく人々は、みな暖かい存在だった。


 片方はすべてを呑み込む、空白を持つ者。それは、存在というものがあった当時において、すべてに恐怖の魂を与えていた。

 その者についていく人々は、みな冷たい存在だった。


 輝かしい者は、すべてを照らしたが、空白を持つ者は、すべてを呑み込んだ。

 生じた矛盾。存在するものが無くなりそうになったその直前、すべては止まった。


 一人の者がいた。その者は何にも属さなかった。輝かしい者が照らしても、空白を持つ者が呑み込んでも、照らしきれない。呑み込みきれない。

 その者が、言った。




「転じろ」




 その言葉で、その二人は、照らすという事象だけを残した光の魂と、呑み込むという事象だけを残した闇の魂に変わってしまった。

 その二つの魂は何等分にもされ、それぞれについていった人々にわずかに浸透していき。

 分け切れない大きなものは他の属性を結ぶための基盤として、世界そのものに浸透していった…




「―――こうして幾多もの時が過ぎ、世界に完全に浸透した今。多くの感情を持つ人族たちは、光と闇という区別を忘れて過ごし、それをその身で知るのは魔物たちだけ…といった具合じゃな」

『なるほど…って、魔物?』

「魔物たちは闇に呑まれた魂が作り出した幻像じゃ。形こそあれど、あれは生き物には部類せぬ」

『ふむふむ、レイスなどが形を保てているのも、それが理由なんですね』

「因みに一部適当なことを言っておる」


 全員が同時に転んだ。


「…それでいいのかよ、フェイアン」

「別にいいではないかウィウィよ、妾が分かっておらぬことは人族が多くの感情を持つ、という点だけじゃ。その点も人族…というより最初に会ったお主らが光と闇の区別を忘れてきていることから分かるから問題は無い。区別を知らぬということは、ほぼすべてが光と闇をバランス良く手にしているということでもあるからのう。まあ大抵光寄りなのは、今までの会話からもわかるがの。お主も闇なら、ウィウィの中で過ごすのが難しいことぐらいわかるじゃろう」

「精神的な話じゃねぇか…そうだな、確かに過ごし辛いか」

「なら良い、ウィウィも正常じゃな…。このように、二極属性とは精神的な面が多い属性なのじゃ。そのため、基本はどちらかしか使えぬ。人族はどちらかというと光寄りであるため、妾らのように闇属性を操ることは難しい…」


 そこでフェイアンはウィウィを見た。


「…が、こやつのように闇を手にしてしまえば操ることはできる。とはいっても、闇を取り込むということは闇に呑まれる(・・・・・・)ことと同意義じゃ。別の感情を自らに入れ、そしてそれを制御することは非常に難しい」

「俺はもう暴れることはないと思うがな…いや、あるか」

「まあこんな具合に、制御しても暴れる可能性だってあるのじゃ、そのときは制御し返すことが必要じゃが…そこまでして手に入れる必要はないじゃろう」


 そのせいで身を滅ぼした者が何人もいるのじゃからのう…といったところで、フェイアンがフィフィを見た。


「・・・?」

「おっと、フィフィについて話しておらんかったのう」

「私?」

「うむ、お主じゃ。妾の見たところ、どうやらお主は光よりも闇寄りな気がするのじゃ」

「どういうこと?」

「うむ、まず雰囲気が冷たい」

「ちょっと」

「冗談じゃ。水と風、この二つはどちらも冷やすことができる。加えてあの時…というより、ここは妾のなんとなくの予想なのじゃが…」

「…っと、それ以上言うと話がそれちまう、というか俺の話すことが無くなる。そろそろ俺にパスしてくれ」

「む…ということは、お主も妾と同じ結論に?」

「予想は同じだろうな」

「え?・・・え?」


 おろおろしているフィフィの前で、フェイアンとウィウィが交代した。


「さて、こっからは俺のターンだ。さっきフェイアンが言った通り、光と闇は精神的な点が多い。明るいやつほど光側になるし、暗い奴ほど闇側になる。明るくてもそれが狂気から起こることならそいつは闇側、って具合にな」

「ふーん…で、私が何で闇に?」

「これは話が別だ、俺だって何となくの話だがよ」


 そこで一拍置くウィウィ。


「ウィウィの奴、かなり明るめな性格してるだろ?」

「ええ、そうね」

「実際そっからだけじゃなくて色々、というか俺が精神世界にいる間はかなり狭い感覚があるんだ。あいつが僅かに闇を持ってるおかげで俺は居るが、俺は恐らく【()】側なんだよなー、と思ってる」

「ふむ」

「で、俺は【(ウィウィ)()具現者(リベルクロス)】。加えて言うと、俺たちの住んでる大陸…というかここ。名前は何だ?」

「確か…太陽の地…っ、なるほど?」

「分かったみたいだな…だが、話は続けるぜ?」

「ええ、お願い」


 まだ、光と闇、その対なる話は終わらない。

ありがとうございました。

今ウィウィって二重人格化してるよね、すげぇわ。

とりあえず見てくれている皆さん、あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。



…そういや去年言いそびれてたなこれ。


追記※誤字を訂正しました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ