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紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第5章 Legend、開幕
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第1話 Battle Soul ―戦意―

いよいよ最後へ。

ついにここまできたかぁ…と、感慨深いですが。

それじゃ、5章をお楽しみください!

 ~三人称視点~


「・・・さて」


 ウィウィたちは、精神世界から戻ってきた後、村にあるウィウィの家(敢えて言うならミルの家)に向かい、皆で話し合う姿勢をとっていた。


『まずは、みんなが会う前にグロウスに先に会って、それについて詳しい話を聞いた私たちから話をさせてもらうわね』

「お願い、ウィリー」

『いや、あんたも話しなさいよウィウィ』


 ウィウィが6歳になった直後。火口内にあるウィウィ夫妻に顔を見せに行ったときの話。その中に…


 ―――『この村は、あと少しで、とある者に襲撃されて、散ります。それまでにいろいろと対策をしておく必要があるのです』―――


 そういわれたこと。それ自体は簡単にだが、ほかの皆にも伝えられている。


 ウィリーは、それに加え、その存在が欲しがっているらしいものの中に、ウィウィが含まれていることや、ウィウィ夫妻でさえ逸らすことが限界だというその存在の強さを、大雑把に付け足した。


『・・・ってこと。私たちがウィウィと一緒に成長させてもらえたのは、たぶんそのあたりのポイントがあるんだと思うわ』

「ニャ?」

「そうかの…?」

「ティティ?フェイアン?どうしたんだい?」

「ニャー…『それだけじゃないかも』

「じゃな。確かにそれからウィウィを守るというのもあるじゃろうが…」


 そういってフェイアンはウィウィを見る。ほかの皆もつられてウィウィを見る。ウィウィはその視線に、こてんと首をかしげた。


「・・・やはり」

「どうしたのよ、フェイアン」

「闇の色が見られる」

『闇…そういえば確かに。霊に近いような感覚が、ウィウィからします』

「・・・ああ」


 そう。ウィウィの中には今、なぞの存在である黒いウィウィがいるのだ。


「もしかすると、そのウィウィから(・・)の護衛の意味も含まれておるかもしれぬ」

『・・・その強いやつからウィウィを守るだけじゃなくて、ウィウィからほかの人を守るためにも、ってこと?』

「確かに、暴走しないとも限らないしね」


 ウィウィは納得した。


「ということじゃ。そのあたりについては妾らに任せよ」

「安心して暴れてきて、その闇とやらをぶっとばしてきなさい」

『行ってらっしゃい、ウィウィ』

「ニャー!」

「僕たちが代わりにそれを倒す…なんてことはできないかもしれないけど」

『それまでここをノーダメージで守りきるのなんて、私たちには容易いわよ?』




「・・・みんな!


 わかった!行ってくる!」


 そういうと、ウィウィは目を閉じた。そして自らの中にある闇に、自らを沈めていくように。ウィウィは気を失っていった。


 ―――――――――――――――


 ~ウィウィ視点~


「・・・さて」

『はじめっか?ウィウィ』

「うん。こうこのうれー?も絶ったしね」

『…無理に難しい言葉使う必要ねぇんだけどな』

「いいじゃん。俺は8歳だけど、それ以前に・・・」




 ―――「【(ウィウィ)()具現者(リベルクロス)】、だよ?」




 その言葉を合図に、俺たちはぶつかった。


 ―――――――――――――――


 ~その他三人称視点~


「・・・ウィウィ」


 そう呟くフィフィ。彼女の前には自ら気絶したウィウィが、椅子に座ったままの姿勢で止まっている。

 目からゆっくりと、黒い何かがウィウィの体を蝕んでいくのを見ていた。


『あいつなら、きっと帰ってこれるはずよ』

「・・・うん」


 そう言うフィフィは、一度意図せず(味方によって)闇に染まったことがある。自分が感じたあの感覚を、ウィウィは今味わっているのかもしれない。

 いや、もしかしたら自覚する方法が違ったのかも、それなら特に苦しそうにしていないのも分かるかな…と考える彼女は、いなくなってしまう可能性のある彼を見ていて悲しくなっていたのかもしれない。


 …悲しんでいるなら、今の現象を考えるはずないじゃないかといいたいが。

 きっと、彼女なりの現実逃避なのかもしれない。


『それよりも!そのなぞの存在とやらを見つけに行かなきゃ!』

「その必要はないわ」

『え?』


 フィフィは、堂々とそう言った。


「ウィウィから感じる闇と、すごく似た波動が上から来てる」

『・・・そうなの?』

「む?・・・ああ、確かにそうじゃな。言われんと気づかぬが」

『それなら話は早いわね。上にいくわよ!』

「そうね。早く向かいましょう」

『なら、今からでも・・・』

「いやいやいや?!」


 フィフィ、ウィリー、フェイアンの会話をぶった切ったのは、この家の持ち主、ミルだった。


「いろいろとおかしいのはウィウィの友達だからいいとして…どうやって上に行くの?」

「ウィウィの友達が全員おかしいといわれているのは心外だけど。私は水柱の水圧で」

『私は第二形態(セカンド)を極小サイズで作れば飛べるわね。大きくすればほかの皆も連れていけるわ』

「妾は元々龍じゃからな、空なぞ容易く飛べるわ」

「・・・あー、うん。聞いた私が悪かった」


 あきらめるスピードは一級なミルだった。


「はぁ、行くなら気をつけてね。それと・・・」

「?」


 そう言うと、ミルは完全に黒く染まったウィウィを一瞥し、フィフィ達をきちんと見て。


「どうか、ウィウィをよろしくお願いします」


 そう、改めて言った。


「…任せて。私たちがウィウィをきちんとサポートするから」

『ミルは落ち着いて、待ってればいいのよ?今までだってそうでしょ?』


 その言葉を最後に、ミルとの会話はなくなる。フィフィが気絶したウィウィを背負い、皆外に出て行く。

 それをミルは、後ろからただ眺めていた。


 ―――――――――――――――


「・・・これが浸透していけば、きっと私は()を手に入れられる」


 空に浮く、一人の堕天使。


()はきっと何も知らないでしょうが…私たち(・・・)には大切な存在なの」


 それは、今自分が落としていった黒いもの…()を目で追っていた。


「封じていきなさい・・・()よ」


 地面に落ちたところまで見て、目線を村に戻す。


「そのときこそ、私がそこ(・・)にたどり着く(とき)なの・・・!」


 恍惚とした表情で自らの欲を話す彼女には・・・


「ああ、近づいてきた・・・!」

「『残念だけど』」

「っ?!誰!?」



 彼女の後ろにいた・・・




「あなたにそんな時間は渡さない」


『観念してさっさと滅んどきなさい』




 フィフィとウィリーの気配を察知する集中力は、なかった。




「水よ!具現せよ!!」

第二形態(セカンド)!らああぁぁぁぁ!!」


「がはっ!?」



 急に食らった攻撃に、宙をくるくると回転する堕天使。しかし途中で止まり、現れてきた彼女らを観察した。




「・・・って、あら?赤き眼を持つ者(レッド・アイズ)の血筋…?」


 急に現れた彼女らに驚く堕天使だが、その片方の背に背負われているモノに気づいた。

 黒く染まったウィウィである。


「『・・・やっぱり、ウィウィが目的ね?』」

「ええ。だからここを染めようとしていたのだけど…目的がそこにいるなら楽ね?」

「あいにくと、そう簡単には渡さないわ」

『全く・・・フィフィ』

「ええ」



「あなたから感じる闇を、見に来たの」

『ウィウィを闇から救うためにね』

「『ウィウィを闇から返してもらうために、私はあなたをぶっとばす!』」




 今ここに、伝説にも残る戦いが一つ始まった。

ありがとうございました。

一章にふらりと見せた堕天使との対決がついに・・・!




・・・主人公抜きで始まります。うん。

どうしようね。

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