「破壊」と「情熱」
いつもの。
ここに書く言葉、思いつかねぇ。
「ふぅ。明確な敵ってイメージしたことないからな…」
ガチャリと、何も音のしなかった書斎に変化が訪れた。一人の男が入ってくる。
「だけど、ウィウィ自体がはっきりしてんだ。大丈夫かもな」
その男は、ボサボサの頭を掻きながら、パソコンを起動させた。
「…だけど、【情熱】の逆、かぁ」
やけに多いアプリに目を通しつつ、彼は一つのフォルダを見つけた。
なぜか、それには紅い眼が描かれている。手作りのようだ。
「・・・『行き過ぎた【情熱】は、時として【破壊】に裏返る』」
そういって彼はそのフォルダを開く。中はいくつものデータがあったが、彼は迷うことなくテキストファイルを取り出す。もう位置も覚えているようだ。
「もう既に暴走気味なウィウィだけど…みんなに助けられることを祈ろうか」
そういうと、キーボードに左手を乗せる。そして画面を右手で指さした。
「じゃ、今日も行くか!追加世界、接続!」
彼は作家だ。すこしアレな人ではあるが。
彼自身は現実にいる。この世の焔の一つも、己の力で操ることもできない現実にいる。
だが。仮にそれが。とあるもう一つの道をたどっていたとするなら?
”もし、彼がその力を操れる体を持っていたとしたら?”
ウィウィ・リベルクロス。
それは、自分と違うもう一つの道を辿ったとされる、もう一つの自分、もう一つの生き方。
生まれながらにして人を外れた者である彼の道のりを。
まるで、己が聞いていたかのように。
まるで、己が見ていたかのように。
彼はまた、一つの物語を創る。
※少し言葉を調整しました。