第7話 パーティーと謎のペット?
ああうん、だめだった。難産だ。
8月には間に合ったけど、予定には間に合わなかったorz
遅れてすいませんでした。
「で、その子何?」
「あー?」
「チュッ?」
思考の停止から何とか回復したミルは、よちよちと寄ってくるウィウィに、上に乗っているファイアラットのことを聞いてみることにした。
すると。
「う!」
「チュ!」
ウィウィが右手を上げるとファイアラットが彼の頭に上り。
「うあーっ!」
「チューッ!」
二人そろって万歳をした。
「…ええっと?仲よくなった…の?」
「あうっ!」
「チュウッ!」
ミルが問いかけると査定らしき返事。ウィウィとフレイムラットに言葉が通じるようになっていたことにはもう突っ込まない。突っ込んだら負けだとミルは考えていた。
「でも、その子育てるの?魔物なんて育てられないわよ?私」
「あう?」
「チュッ?」
二人そろって首を傾げる。どことなく似ていて、ミルは笑ってしまった。ただ、
「どうやって育てるのよ…」
育て方が分からないのは事実なのでorzするミル。と、そこに。
「うーっ!」
「チュッ!」
ウィウィは指をファイアラットに向ける。それに口をつけるファイアラット。その状態でこちらを向くウィウィとファイアラットに、彼女は言いたいことを理解した。そして驚いた。
(なんでそれを理解してるのよ…)
この光景は前に一度見たことがある。指を差し出したのがミルで、口をつけたのがウィウィという違いはあるが。そう、いつぞやに見たマナ譲渡である。もっとも、それをしたことはあってもやり方を教えたわけではない。つまり、独力でそれに至ったということだ。本来ならもう少し驚くことなのだが…
「ま、ウィウィだしね」
「う?」
「チュ?」
彼女は既に諦めていた。
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「まあ、ウィウィなら仕方ないのう…」
「ですよねー」
時は少し進み。ウィウィをパーティー会場に呼んだ村長が、ウィウィの頭に乗っているファイアラットに驚いたタイミングで、なぜファイアラットがウィウィになついているのかをミルが説明していた。村長も諦めていた。
「まあ、せっかく主役もサプライズを持ってきてくれたんじゃ、今日は彼の成長を皆で祝おうぞ!」
「「「おーっ!」」」
「こんなのでいいのかしら…」
そうしてウィウィの2歳の誕生日パーティーは始まった。
「では早速じゃが。主役のウィウィとその母ミルよ、前に出るのじゃ!」
「なんで私まで呼ぶんですか…」
「祝うべきことじゃからな。その家族は一番近くにいるべきじゃろう」
「うあーっ!」
「チューッ!」
「はあ…」
テンションの高いままに両手を挙げるウィウィとそれを真似するファイアラット。そんな彼らの傍らに疲れた表情のミル。村人たちは主役への祝辞をすると同時に、その保護者への微かな同情をした。危険なはずのファイアラットがなついていることについては全会一致でスルーすることになったらしい。無言の結末であった。
「この小さき焔の子であるウィウィ・リベルクロスは、その身に宿す強靭なマナを以て、1歳でありながらありとあらゆる物事に、大人顔負けの行動を起こしておったのじゃ。」
「あう?」
「顔負けってレベルで済んでない気がするのですが」
「蒼炎に至るまで熱を極めた程度だったらましなはずじゃぞ?」
「そこまで熱使える時点ですべてを燃やせるのですが…」
「それもそうなんじゃが…」
「「まあ、ウィウィだし仕方ない」」
もはやそれに驚くような彼らではなかった。
「そして今日、その彼は2歳となった。まだまだ未熟、しかしその力は無限大。皆の者、彼の成長を、正しき方向へと導いてくれるかの?」
「「「おーっ!」」」
「うむ。では音頭を、ミル。頼めるかの?」
「はあ…そこで任せるあたり変わってますよ、村長は。それじゃあ皆!」
「「「・・・」」」
「具現者、なんて大層な名前のついているこの子だけど。今まで通りにみんなの知識を与えてあげてね。彼には自由になってもらいたいから。いい?」
「「「おーっ!」」」
「よかった。それじゃあ、乾杯!」
「「「かんぱーい!」」」
「うあーっ!」
「チューッ!」
「おぬしら二人は飲むものがないのじゃがなあ…」
「あら?それだったらこれを…」
そうして、特別な一日は過ぎる。
ウィウィ・リベルクロス。2歳の割に卓越したマナ技術を手にできたのは、きっと。
彼を大切にしてくれる、この村があったからだろう。
ありがとうございました。
いまだ現実のほうでてんやわんやしてるところなので時間ない。