第1話 神ノ意志ヲ継グ者達
遂に4章。早いのかそうじゃないのか分からない。
皆を鍛える時間となりました。
「・・・さて、始めるわよ」
グレウス火山、火口直上。空に浮く、黒い翼を持つ者。
「あの[赤眼]なら、きっと・・・」
彼女の手から零れ落ちる【闇】は、村へと堕ち。
そのまま誰にも気づかれずに、ゆっくりと大地へ沈み始めた。
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「戦う?」
『左様。この前話したこと。あの者が、この地に戻ってきたのだ』
「へぇ。確か、あなたでも敵わなかった…」
「相当強いのじゃな。妾に引けを取らぬやもしれぬ」
『あの者の目的は分からぬ。しかし、この地か、世界か、はたまたお前か。あるいはその全てかもしれぬ』
そう言いながら、グロウスはウィウィを指さした。
『・・・選択肢にウィウィが入っているのはなんでなのかしら?』
『力。意志。ウィウィには、とあるものもある』
「とある・・・もの?」
『それは戦いにおいて分かるだろう。とにかく、この地では[外の時を戻す]以外のことができる。強くなってから行くがよい』
「…はい?」
その言葉に、フィフィは疑問を持った。
「時を戻す以外って…ああ、そういう事か」
「ウィウィ、どういうこと?」
「この世界は、精神世界だってことは覚えてる?」
「ええ」
「そして、ここを管理しているのは?」
「え?…あ、グロウスとグレウス?」
『左様。かなり前のことだが、我はこの地と、この地で生きる術を受けている。そして、その生きる術の中には[精神世界の調整]も含まれている』
「……つまり?」
「この世界では、グロウスグレウスが好き勝手に俺たちを操作出来るんだよ」
「・・・え?」
『あー、そっからは私が説明するわ』
「ウィリーが?わかった。お願い」
『ここに私たちが来た。その入る方法を思い出して。ゲートだったでしょ?』
「そうね」
『実は、あれってかなり高度なものなのよ』
ウィリーが言うには、あのゲートは意志だけを連れてくることができる、ハイテクなゲートらしい。
肉体を外に置き、魂…その中でも意志だけを取り出す、というものだそうだ。
『取り出されるのは一瞬だから、分かりにくいけどね。私たちなら分かるのよ』
「…そうだったの」
『で、話を戻すわ。ここにいるのは私たちの意志だけ。それらは死んだりしない限り不変だから、安心して。でも、それ以外にこの世界に干渉しているものはない。私たちは、居るのに居ない存在となってるの』
「へぇ」
『だから、ある意味この世界には誰もいない。誰もいないなら、世界を変えても問題はない…ってこと。この世界を極寒の地にするも、灼熱の地にするも、はたまた何も存在しない、無の空間に変えることも。球状の空間、なんてのもできるはずよ』
あり得無さそうなことだろうと、この地では創りだせる。そういうことを言うウィリーだった。
「かなりなものね」
『敢えて言っちゃうなら、時を動かすのもあり、なの。だから・・・グロウス』
『うむ。今、我らのいる精神世界は、外からの相対時間が止まっているに等しい。意志と、世界の時間を超高速にしているのだ。だから、この地で何をしていようと、外では何も動いていない。お前らがここに来てから、外の時は動いていないのだ』
「へぇ・・・あ、だから[外の時を戻す]ことはできないのね」
『左様。とある人は、超高速で動くものは過去に戻れる、などと言っているが。この世界でのお前らは動いていないからな。いくら超高速で時を動かしたところで、外までそれは影響することはない』
「ふーん…」
「でも、それが分かったところで何をしたらいいのか、分からないわ」
『簡単だ。ここでお前らの[意志]を鍛える』
フィフィの問いかけに、グロウスは鍛錬をする、と答えた。
「意志を・・・」
「鍛える?」
『なんだか嫌な予感がするわね…』
「どういう事なんだい?」
「おいおい、妾も話に混ぜろ」
「ニャー?」
『私も入れてくださいよー』
『大丈夫だ。お前らも鍛えさせてやる』
「おー」
『では、なのだが。全員、少し散ってもらう』
「「『「「『・・・え?』」」』」」
「ニャ?」
次の瞬間、ウィウィたちは意識を失った。
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~ウィリー視点~
「・・・・・・っ」
気がついたときには、周りにウィウィたちはいなかった。
たった一人、ここで倒れていた。半透明に光っている、平坦な地面の上に。
空は淡い青、赤、黄色のマーブル模様に染まっている。でも、それ以外何もない。
周りを見ても、そこには何も・・・
いや、私の体の核がある。
一体何をするのかしらね・・・
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~モノ視点~
「・・・はっ?!」
なんだ?!急に意識が飛ばされていた?!あのウィウィ夫妻、何者なんだ・・・?
周りを見れば、みんなはいなかった。あたりは暗い・・・わけじゃないみたいだ。ただ、黒い。
床は…なんていうんだろう、見えないんだけど、そこにあるのがわかるって感じだ。
よく感じてみれば、ほかにも点々と地面が残されている。でも、穴まであるし…
って、あれは・・・僕のカラダ?!
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~フェイアン視点~
「・・・む?」
気が付けば、妾は謎の空間に飛ばされておった。
どうやら、皆もばらばらになってしまったようじゃ。辺りにはマナが、色として見えるほどに顕現しておった。
床は、火、水、土、風、光、闇。それぞれを表す色の正三角が六つ集まってできた、正六角形の大きな足場となっておる。
それぞれの属性の正三角には、何故か見覚えのある神龍達が乗っておった…何をしようというのじゃろうか。
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~ツェル視点~
「・・・・・・ん?」
気がつけば、私は主であるはずのフェイアンの元を離れて、見覚えのない場所に来ていました。
どうやら、皆ばらばらにされてしまったようです。大丈夫なんでしょうか…
周りには、意志…いや、魂が漂っていました。似たような雰囲気を、確か100年前に感じたような…
っと、そんな考えをしている暇は無さそうです。魂が、集まり始めた…
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~ティティ視点~
「・・・・・・ニャ?」
あれ?フィフィは?みんなは?どこに行っちゃったの?
みんないない・・・。ここは・・・どこ?
…そういえば、うまれるまえ、こんなばしょ、見たことある…
水みたいで、でもそうじゃなくて。色がいっぱいだけど、まざってなくて・・・
あ、あそこにいるのって…ワタシ?
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~フィフィ視点~
「ッ!!」
しまった、熱気にやられていたみたいね。反応するのが少し遅かったかしら。
皆はいない・・・気を失う直前、聞こえた言葉が正しければ。
今から私たちは、バラバラになったまま、それぞれが訓練をすることになるはず。
私の訓練は、一体何でしょうね・・・
「・・・あれ?どうして…」
「・・・あー…拙いわね」
・・・あそこにいるのは…ウィウィか。もしかして…
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~ウィウィ視点~
「ん?」
何だろう?一瞬意識が飛んだような…気のせいかな?
確か、グロウスとグレウスに説明を受けていたような・・・
仕方ない、待とうか…
「・・・あれ?どうして…」
「・・・あー…拙いわね」
・・・フィフィがいる?もしかして…
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~三人称視点~
全員が所定の位置に飛ばされたころ。
『奴らは…壊せるだろうか』
『きっと…大丈夫でしょう』
そんな声が、最初の間に響いていた。
ありがとうございました。




