表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第3章 雨と月の大地
53/144

第14話 コネクト・トゥ・ゴースト

なんだかんだで、未だループ内にいるウィウィたち。

果たして酔ったりしないんだろうか、こいつら。

「あー、疲れたわ」

「お疲れー」


 魔術戦が終わり、その場にぺたりと座り込んでしまったフィフィ。


「マナの量からして、無理はしておらんのう。じゃが…」

「…えっと、フェイアン?何?」

「出口が、小さいのかもしれぬ」

「出口…?」

「いや、こちらの話じゃ。気にするでない」


 いったい何の話なのやら。


『大丈夫ですか?』

「ああ、気にしないで。いつも、魔法を使うとこうなっちゃうのよ」


 そこにツェルがやってきた。言葉の調子から、本当に心配しているのがわかる。


「いい魔法だったわ、それに三重詠唱もできるなんて」

具現者(リベルクロス)にそう言われるとは、光栄です』

「…ふと思ったんだけど、そっちで具現者(リベルクロス)ってどう思われているのよ」

『え?神一歩手前の者だとか、神の使いだとか。記述にはそうありましたね。私は信じてはいませんが、それでも奇跡の存在には変わりないですし』

「・・・えぇー…」


 戦い終わり、お互いをたたえ合う二人だった。


 ―――――――――――――――


「そういえば、きちんと自己紹介してなかったわね。さっき名乗った通りだけど、私は(フィフィ)()具現者(リベルクロス)。そこにいるウィウィとフェイアン、あと今下でゴーレムを起動しているウィリーの三人…いや、二人と一匹?と旅に出てるの」

「俺は(ウィウィ)()具現者(リベルクロス)。依頼の帰りついでにこっちの大陸を旅してるんだ」

「妾はフェイアン。龍神の一人じゃ。こやつらが面白そうじゃったからな、ついてきたのじゃ」

『皆さん、どうも。私の名前はツェル。敢えて言うならば、津江瑠(つえる)と申しますが、どうも他の人には読みにくいそうで。ツェルとお呼びください。職は死霊術師です、戦い方は先ほど見てもらった通りですね』


 闘いを改めて思い出した後、思い出したように自己紹介をするフィフィに合わせ、全員がそれぞれ自己紹介をした。


「ふーむ。しかし、死霊術師か。死灵法师(スーリンファーシー)と同じなのじゃろうな」

「なにそれ?」

「死人を操る者のことじゃ、妾の元にも何人か居る」

『どこにもいるのですね、そのような人は』

「そういえば、ツェルってどうしてここで霊になっていたの?」

『ああ、それは・・・』


 ツェルは、過去に星繋の地で死んだ、死霊術師だそうだ。ショウグンと呼ばれる、ヤマトの国の王様の命令で、死霊術を研究していたところ、とある霊に魂を一時囚われて、肉体が死んでしまったらしい。

 そのあと解放はしてもらったとはいえ、ショウグンにその件を説明すると、霊となった以上もう研究はできないだろう、ということでショウグンケというグループから離してもらった、とのことだった。


『それから暫くは色々なところをふらついて、大陸を渡り、そのあとはこの辺りをうろついておりまして。共に行く霊を探したり、途中で会う人と話をしたり、と暇をつぶしていたのですが、暫くしてどうも町の方で私の噂が立ってしまったみたいで…』

「この辺りに幽霊が出る、と?」

『そうです。それで皆怖がり、この辺りなんて通らなくなってしまいました…。その辺りに確か、道の跡が残っているはずです』


 ツェルが指さす先には、草原がある。だがよく見ると、草の生え方に多少の違和感を感じる。ついでに、その違和感は一直線上に並んでいた。


「ここかな」

『そうですね。そこは元々ここを通って向こうの町へとつながっていたのですが、噂が出てから使われなくなったもので。大体10年…いや、20年は経ったかもしれません』

「なんじゃと?人の身では長く感じただろうに…」

『いえ、囚われていたのが100年でしたので、それに比べれば』

「・・・おぅ」


 フェイアンでさえ同情できない程の苦行らしかった。


「しかし、何故死霊となりながら死霊術を使える?先ほどはそれで幽魂(ユンクェン)らしきものを操っていたではないか」

幽魂(ユンクェン)?ああ、あの子たちですか。私は幽霊ではありますが、同時に死霊術師でもあります。死霊術師にとって、霊は知り尽くされたもの。もちろん、此方側から見る景色は変わったものではありますが、それでも自らのことなんて知り尽くしているのですよ』

「・・・術に引っかからない、ぎりぎりの線を通ってるのね」

『おお、知っている人がいましたか。そうです、死霊術には、ボーダーラインがある。それに引っかからない程度に術を使っているのですよ』


 楽しそうに笑うツェル。


「ほう。妾の知らぬ世界を見ており、それを普通のように捉えられるとは…変わった者じゃのう。どうせじゃし、付いてくるかの?」

『え?』

「いや、お主に対して言うなら、憑いてくるか(・・・・・・)、じゃのう!かっかっか!」

「ちょ、フェイアン?」

「おいおい、妾の力を思い出せ。【闇】、じゃろう?」

「ああ、そういえば…ってそうじゃない、そうじゃないのよ」


 流れに乗せられかけたフィフィだった。


「付いてくるって、仲間がさらに増えるってこと?」

「そうなるのう。じゃがこやつの場合、問題はなかろう。楽しさが増えるだけじゃ」

「・・・ああうん、あなたに聞いても意味なかったか。仕方ない、ウィリー?」


 ウィリー(の居る、魔車の位置)を叩く。すると。


『・・・はっ?!』

「あ、起きた」

「この人…というか霊、連れて行っていい?」

『ああ、ヒトが増えるのね。いいわy…待て。何かがおかしい』

「むぅ、あと少しで連れていけるはずだったのじゃが」

『待って?え?霊?どういうこと?』

「はぁ、えっとね…」


 改めて、復帰したウィリーに状況説明。


『あー…にわかには信じがたいけど、実際いるんだから仕方ないわね』

「で、どうじゃ?」

『いいわよ。フェイアンと契約すればいいはずだし』

「あれ、割とあっさり承諾するのね」

『私にとっては害はない。だったら問題なんてないわ』

「…あ、そう」


 案外あっさりしたウィリーだった。


『では、いいのですか?』

「うむ、始めるぞ」


 そういうと、フェイアンはウィウィたちから離れた。それについていくツェル。




 ある程度離れた途端、フェイアンとツェルを、闇色の魔法陣が囲う。




 その魔法陣を見て、フェイアンとツェルは目配せをした。




 おそらく想像する魔術を違えない為のものだったのだろう、二人から(コトバ)が紡がれる。





「【我的合同(我は結ぶ)的协议来操作你(汝を操る契約を)】」




 フェイアンは、ツェルを連れる(・・・)為に。




『【我は従う、汝のその契約に】』




 ツェルは、フェイアンに憑いていく(・・・・・)為に。




「【接通(ズィエコゥン)】」『【接続(コネクト)】』




 異なる言葉(ことば)、然し同じ【繋がる(・・・)(コトバ)を聞き取った魔法陣は、二つになり、それぞれに入っていったのだった。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ