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紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第3章 雨と月の大地
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第9話 ウィル・オブ・ザ・ストーリー

世界に残された、意思とは何か。

「フィフィの言葉は、どこか上の空だったはずじゃ。それは、世界の理にもあたる、[闇]そのものに触れたからなのじゃよ」

「世界の理?用語が多すぎて頭が痛いよ…」

「この話は、流したければ流せばよい。それでも一応説明するがの」


 フェイアンはそう前置きしたうえで、話し始めた。


「魔物が敵、そういう意識が持たれているのは、もはや無意識の域にあるといってもよいじゃろう」

「そうなの?」

「うむ。先ほども言うたが、知性ある生き物は基本光を、魔物などは闇を適性として持つ。それは、この世界を二つに分ける、神の存在があるからじゃ」

『神…崇拝とかされている神様?』

「そちらは知性ある生き物が勝手に想像したものじゃろう。そうではない。この世界を創ったものは、二人おる」

「二人?」

「そうじゃ。詳しいことは知らぬが、この世界を創る時、片方が太陽となり、片方が月となった。太陽と月は相いれぬ。だが常に互いは存在しなければならぬ。そのような中で、月はフィフィと名乗った。まるでそれに対するように、太陽はウィウィと名乗った」

「『・・・?!』」


 信じられない。ここでその名前を聞くなんて。そう思った彼らだったが、フェイアンの話を止めることはできなかった。


「お主らとは別の存在だと、分かってはおるがの」


 いや、したくなかったのかもしれない。止めたら、もう聞けなくなるかもしれない、そう思ったのだろうか。


「二つは競っていた。創った当初に存在した、子供心だったのかもしれぬ。お互いがお互いへと向かいあっていた、対抗心だったのかもしれぬ。だが、その意志は世界に浸透してしまった」

「『・・・』」

「やがて、二つの神は、何処かへと消えてしまった。世界の構築も中途半端なままで。残された世界は、ただその残された意志を素に、神無き世界を創ったのじゃよ」

「神無き世界…」

『それが、今の世界なのね』

「うむ。その中途半端な意志は、今や太陽と月、いや光と闇へと、世界の中で完全に別たれた…ように見えるがの。真相は分からぬ…が、光と闇は、二つとも意志が故にできた、はっきりとしたもの。それに触れたフィフィがおかしくなるのも致し方ないじゃろう」

『神のない世界にある、残された神の意志、なのね。光と闇は』

「まあ尤も。神無き世界とはいえ、神の贋作、なら大量にいる。贋作とはいえ、力は強いからの。それぞれの種族を崩壊から守る、そういったことをしておるやつらを、今妾らは神と言っておるな」

「へー」




「ま、妾もその一人じゃが」


「『・・・はい?』」


 ―――――――――――――――


「かっかっか!いやーすまぬすまぬ!あそこまで止まるとは思わなんだ!」

「えー…」


 自らが神様であるというカミングアウトに止まってしまった三人を復帰させるのには、少し時間がかかったのであった。今まででも確かに頭のぶっ飛んだ発言は飛び出してきたが、それでも神様カミングアウトにはかなわなかったらしい。


 ウィウィまで止まっていたのだから相当なものか。


 どうやらフェイアンは、龍種の中でも闇に特化した、闇神龍だそうだ。彼女がいる地で属性が安定している理由は、彼女ら神龍が属性を護っているからだそうだ。

 今はある程度安定したため、離れても問題ない状況らしい…が、その地でトラブルがあったらしく、それから逃げてきたそうだ。光関連らしく、闇神龍にとっては猛毒だそうで。


『かなり驚いたわよ…神様だなんて思わなかったから』

「ふぅ…まあいい。これが今妾らに伝えられている、光と闇にまつわる話じゃ。ま、その途中でちょっとしたことをばらしたが、これからも気にせず接してくれるとうれしい。よろしくの」

「はーい」


 そうこうしているうちに。


「話、終わったわよ」

「あ、フィフィ!」


 あちらも会話は成立したようだ。笑顔で戻ってくるフィフィと、理解した表情をした村長が歩いてくる。


「どんな内容になったんじゃ?」

「連れてきた女性…フェイアンが闇嵐龍だったってことは伝えたの。あと、危険性は少ないとも言ったわ。村長は半信半疑だったけど、それでもある程度説明をしたら理解はしてくれたのよ」

「にわかに信じがたいことではあるのじゃが…、そこまで言うのでしたら本当でありましょう。依頼は撃退扱い、それでよろしいかな?」

「うむ。それの方が都合がよいじゃろう!特に妾に!」

『あんたねぇ…まあいいわ』


 ということで5000アルトを受け取ったウィウィとフィフィ。


『これからどうしようかしら?』

「どうしようも何も…」


「「することない」」「ニャー」


『ですよねー…』


 三人+一匹の意見は一致していたようだった。だがフェイアンだけは違うらしく…


「妾はお主らの過ごす世界に興味があるのじゃがな」

「それなら適当にふらふらする?」

「あー…村長、暫く村を開けていいですか?」

「ふぇっふぇっふぇ…いいですぞ。どうぞ外を楽しんできてくだされ」

「ありがとう村長。それでは行ってきますね」


 ということで村を出る四人。男女比率がおかしいことになっているがスルーだ。


『ところでウィウィ、どこ行くかアテあるの?』

「ない」

『・・・』


 ウィリーはまた崩れ落ちた。


 ―――――――――――――――


「ほー!これが魔車か!速いのう!」

「いっけー!」

「ゴーゴー!」

『かっ飛ばすわよぉー!!』

「ニャー?!」


 月陰の地、一面若緑の草原。夕方のために少しずつ赤に染まる大地を走る、元から赤に染まった魔車が一台。ウィウィたちである。


「空を飛ぶのもいいが、こういうのもありじゃな!この地はどうも、妾らとは別の方向に文明が進んでおるようじゃ!」

『あら、気に入ったの?』

「うむ!しばらくすれば元の地に戻れるからの、そのときにでもあやつらに話してみるとするか!」


 楽し気に話すフェイアン。


「あやつら?」

「妾らの技術者よ。あやつら、地を走ることなぞ考えたこともあるまい。移動は自らで行えるとのみ考え、このような[乗り物]なんぞ作ったこともなかっただろう!この魔車、後々構造を教えてはくれぬか?」

『あー・・・難しいかもね。そもそも私がきちんとわかってないし』

「そうだね・・・あ!モノさんなら知ってるかも!」

『そうね。太陽の地に戻ることになったら、フェイアンも連れて行ってみようかしら』

「ほう!楽しみじゃな!」




「しかし、本当に行くアテ無しなのじゃな」

「そうだねー。周りの町なんて覚えてないし」

「あの村の近くなら覚えてるんだけどね。ここまで離れられると…さすがに覚えてないわ」

「ニャー」

『あら?ご飯食べたい、だそうよ。ウィウィ、確か食べ物がある程度残ってたわよね?』

「うん。フィフィ、これお願い」

「え?何で私?」

「フィフィが食べさせたほうがいいと思うから」

「・・・そう。ありがと」




そうして、四人と一匹を乗せた魔車は走っていく。

ありがとうございました。

改めて考えたらウィリーも人じゃねえ…けど、ゴーレムの形は人だし、しゃべれるし、もういいや。

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