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紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第3章 雨と月の大地
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第6話 ポーラ・アトリビュート

まだまだ山頂話。

「・・・」

『・・・』

「…すいませんでした」

「…ニャー」

「ごめんって。考えずに放ったことは謝るから。だから…ってあだだだだ?!ひっはらないれー!」


 つい先ほど、何も考えずに【穿チキル(フル・ピアシング)】を放ったウィウィは、反動で吹き飛ばされた後、無事救出され、今は説教を受けているところであった。


『…はあ、本当にウィウィは無茶するんだから』

「いつもこれ?」

『いつもこれ』

「お疲れ様…」

「ほーい、ろうしてこのままになっへるの?」

『反省してそうにないから』

「うぇー…」


 そんな具合でいた二人と二匹。そこに…


【ギャウ…】

『げっ!まだ生きていたの?』


 倒されていたはずの闇嵐龍が起き上がってきた。


【グルゥ…―――『―――ぅ、喋れぬ…お?成功したか』】

「…へっ?」

「喋った?」


 と思ったら、ウィリーのように喋りだした。


『カッカッカ。いやはや、力試しをしようと思ったら、思ったよりも怪我をしてしまったのう』

「…あ、あなたは一体?」

『妾のことか?妾は龍の一族、フェイアンじゃ。よろしくの』

『龍…族…?!おとぎ話にしかいなかったはず…なんだけど?』

『ふむ。そんなこともあるのか。此方にはどうも、龍族はいないようじゃからな』

「力試しって…俺、殺す気でやっちゃったんだけど」

『良い良い、気にするな。心臓を撃たれただけじゃ、すぐ戻る』


 フェイアンは、楽しそうな声で普通じゃないことを言った。おかしいだろ、とウィリーが突っ込む前に、フェイアンは続けて話す。


『あー…しかし、このマナの声。どこかで見たような…』

『あー…もしかして、マナ通しは知ってたのかしら?』

『マナ通し?知らんのう』

『今あなたがやっていることよ。マナを解して、[喋っているように見せかける]こと』

『ふむ?先ほどのマナの震えから声が出ていたのを真似したのじゃが、もしかして元はおぬしか?』

『そうね…って、それを真似しただけなの?』

『そうじゃ。いやはや、壊世大陸よりも住み心地は良いとはいえ、海を渡って着いた地がこんなに小さいとは思わなかったぞ』

「…えっと、完全に置いていかれてるんですが」

『おや、すまぬ。よし、ここいらでお互いの状況を確認するかの?』

「はーい」

『それが良さそうね。まだこちらの自己紹介もしていないし』


 ―――――――――――――――


「俺の名前はウィウィ。SSSランク冒険者で、ファイアラットのウィリーと、同じくSSSランク冒険者のフィフィと、とある依頼をこなしに来たんだ」

『私がウィリー。ウィウィと共に行動してるの。周りにおかしく思われないよう、扱いは召喚獣みたいなものだけどね』

「私はフィフィ。ウィウィの言っていたとある依頼、っていうのが、あなたが来たことによる討伐依頼なの。まあ、喋っている時点で討伐する気なんて大分薄れたけどね。ティティと一緒に生活している、SSSランク冒険者よ」

「ニャー」


 それぞれが自己紹介をしたのを聞き、フェイアンはうなずく。


『ふむ。なんとなくじゃが事情は把握した。ではこちらからじゃな。改めて、妾の名はフェイアン。龍族の言葉で[闇]の意を持つ。壊世大陸の方から、ちょっと逃げてきたのじゃよ』

「逃げてきた?どういうこと?」

『壊世大陸?フロンティアのことかしら?』

『まあ待て待て。それぞれ説明しよう。壊世大陸とは、この地をぐるりと囲むように出来ている、巨大な大陸…といえば、ここを巨大化したかのような地だと思うじゃろう。しかし、ここには謎のマナがあっての…』

『謎のマナ?四属性と無属性のほかに、何があるっていうの?』

『それが…む、今何と言った?』


 フェイアンは、何だか不機嫌な様子で問いかけた。


『えっ?四属性と無属性のほk『そこじゃ!二極属性が抜けておるじゃろうが!』…え?』

「二極属性…?」

『…はあ、その様子じゃと、どうもこちらの大陸は、ちと技術が劣っているようじゃの。幻獣のような、長命で知識を持った存在が少ない故か?』


 暫く考えるフェイアンだったが、ウィウィはそれを遮って問いかけた。


「えっと、その二極属性ってものについて教えて?」

『ふむ…では、ウィウィといったか。少し守りを固めてみよ。妾の守りを破ったのだから、お主の守りを破らなくては気が済まぬ!』

「へっ?…わかった!やってやる!」

『えっ』

「はあああぁぁぁぁっ!!」


 そうしてウィウィは、強力なマナの壁を作った。一方にしか用意されていないため、周りから攻撃されると完全に無防備になるが、その一方に対しては非常に頑丈だった。


『ほう?それでよいのか?』

「今できる最高の力だよ。それに、元々俺は、攻撃に偏ってるみたいだしね」

『ふふふ、では。闇、その力を見せてあげるとするかの』

「来いっ!」


 どうも、その超頑丈な一方に対して攻撃するようだ。フィフィとティティ、ウィリーが無理だと思っている中、フェイアンだけはにやりと笑い。


『【我的黑暗(闇よ)熟悉渗透到所(全てを貫く)有的力量(力となれ)】』




『【黑暗矛(フェイアン・マオ)】』




 さく、と。黒、いや闇に染まった槍が、ウィウィの体を、貫き。




「・・・・・・え?」

『これこそが、二極属性よ。四属性よりも神に近き力じゃ』




 ばしゃり、と。



 ウィウィの背に、紅い紅い、命の花を咲かせた。

ありがとうございました。

途中で出てきた中国語もどきはGoogle先生のお力です。

ついでに言っておくと、今回の第三章におけるタイトルの名前付けもGoogle先生のお力を借りています。訳そうと思えばできるのかもしれぬ。

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