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紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第3章 雨と月の大地
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第5話 ダーク・ストーム・ドラゴン

嵐って、音読みで『ラン』って読むんだね。

闇嵐龍って書こうとして調べて、初めて知りました。

 ウィウィ達が頂上に着くと、そこは一面銀世界であった。が…


『・・・ッ!何かがおかしいわね…』

「何が?…って、聞く必要もないか。俺も分かるし」

「明らかにマナの配分がおかしい…何?これは」

「ニャー…」


 彼らがマナの構造に違和感を感じたそのとき。


「げっ!危ない!!」

「へっ?うわっ!!」


 頭上から、謎の存在が飛んできた!それをよけるためにウィウィは横に飛んだ…と同時に、反応に遅れたフィフィを掻っ攫って回避させたのであった。


「っぷはー、循環させてなかったら見えてなかったっての…」

「なになに?!どういうこと?!」

『…速すぎるわよ、見えなかったわ』

「ニャーッ!!」


 現在理解できているのはフィフィ以外の一人二匹。そのフィフィも、上から来る音に状況を理解したのであった。


 数多の風音が流れるそれ(・・)は、悠々と降りてきた。


 形無き物を纏っているかのような、黒い色をした長い胴体と。


 普通なら不釣合いな短い足は、その存在に限り、適していた。


 鮮やかなライトグリーンの線の引かれた、


 闇に溶け込めるような色合いの体を以って…




【キュゥゥゥアアアア!!】




 ウィウィ達の前に、[闇嵐龍]は降り立った。


 ―――――――――――――――


「わーお…」

「初めて見るわよ、こんなドラゴン」

『[龍種]…だったかしらね。[竜種]よりも自然に近い存在、だったはずよ』

「自然に近い?ってことはこのマナって…」

『ええ。おそらく、あいつが置き換えたもののはずよ』

「ほえー…」

『おとぎ話だと、あれの上のランクで、人の言葉を理解する[龍族]なんてのがいるらしいけれど…』

「まあいいわ。今はあいつを倒す。村に雪崩が起こったら大変だしね!」


 そう言うと、フィフィはウィウィから降り、魔法の構築を始めた。すると。


「・・・うん?」

『水に…置き換わってきたわね』

「【祖は水、流れを司る水。我にその流れを示せ】…!


有利化結界[水](ウォーターゾーン)】!」


 フィフィが魔法を唱えると、フィフィを中心に水のマナの円柱が出来上がり、山を包み始めた。


【キュウウウアアァァァッ!!】

「これであいつの自由は奪えるはず…!ウィウィ!あいつを!」

「おっし、分かった!はああぁぁぁぁっ!!」


 ウィウィは体に力とマナをこめる。が…


「…なんか、力が入らない」

「あ、うん。ごめん。周りのマナをなんとかしてからじゃないと無理だと思うの。周りは全部マナで置き換えちゃったし」

「…うそーん」

【キュアアアッ!】


 改めて。


「はああぁぁぁぁっ!!」


 ウィウィが創炎魔法を唱えた後、もう一回力とマナをためると、ゆっくりとウィウィの周りにマナが纏われ始める。しばらくして、全身に薄くマナを纏ったウィウィは、


「よし!これでっ・・・」


 と意気込んで、闇嵐龍に飛んでいった。




【キュアアアアァァァッ!!】

「・・・ってあれ?うわっ!」


 …はずだったが、何故か闇嵐龍が風を纏いなおしていた。飛ばされるウィウィ。


「・・・うそでしょ?そんなに強い風なの?」

『フィフィ?』


 ウィウィが飛ばされたことに戦慄しているフィフィ。ウィリーが理由を聞くと…


「…塗りつぶされたの」

『?』

「マナがね。あいつの周りだけ何か別のもの…マナの暴風になってるのよ」

『なによそれ?それだと、消してもすぐ戻るってことでしょ?フィフィのマナが切れるか、あいつのマナが切れるかの勝負ってことにはならないの?』

「それにさえならないの。闇嵐龍の鱗に触れたマナが、強制的に変わっているみたいだからね」

『…完全に相手のほうが上手じゃないの』

「自然災害って呼ばれてた生き物をなめてたわね。こうなったら封じ込めるのをやめて、もう私も攻撃に移ることにするわ」

『私も手伝うわよ』

「ニャー!」

『あら、一緒にやってくれるの?ありがたいわね』


 そうやって話し合っていると。


「みんなー、あいつに攻撃できるかもしれないよー」

「『・・・えっ?』」

「ニャ?」


 いつの間にかウィウィが戻ってきていた。


「実際、あれ脆いと思うんだ」

「あれが?人一人吹き飛ばせるほどのものよ?」

「ううん。あえて言うなら、【人一人しか吹き飛ばせない】だね」


 そう言うウィウィの手に、大量のマナが詰まっていた。ウィリーは、その詰まっているマナの量からして、ウィウィが今からすることがなんとなく分かってしまった。そして、恐怖した。


『…おい、待て。いやな予感がするのだけれど』


「確かにあれは、全面に守りができる、いい構造だね。でも、足りない…!俺からの攻撃を守るには足りないっ!」


 フィフィもまた、そのマナの量に気づく。そして、なんとなくいやな予感を感じたのだった。



「…待って。ちょっと待って。せめて雪崩は抑えてよ?」



「行っくよー・・・!!」




【キュアウッ?!】





 闇嵐龍でさえ、そのマナに気づけたのだった…が、もう遅い。





「【穿チキル(フル・ピアシング)】ウウウゥゥゥゥッ!!!」





 その手から放たれたマナの槍、いやもはやレーザーのようなそれは、




【ギュウウアウアアァァァッ?!!】




 闇嵐龍を、軽々とぶち抜いていった。



 と同時に…



「…なにあれ」

『ウィウィの技よ…【穿ツ(ピアシング)】に、威力系補助の【~シキル(フル・~)】を加えたもの…だったんだけど。正直なにあれ、としかいいようがないわね』

「…ニャッ?」

『え?ウィウィはどこって?そりゃそこ…あら?』




 ウィウィを、反動で逆方向にふっ飛ばしていた。




「『ウィウィィィィッ?!』」

「たーすーけーてええぇぇぇー…」



 なんとも締まらない最後であった。

ありがとうございました。

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