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紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第3章 雨と月の大地
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第2話 リベルクロス・ソウル

もう一人の具現者、現る。

まあ、今回は旅が中心だけどね。

『…はあ、ウィウィってば、いったいどうしてきちんと話を聞かないのかしら』

「ごめんって。とりあえず…こっちであっているんだよね?」

『知らないわよ…』


 今ウィウィ達は、月陰の地に向かう船に乗っている…はず。


 依頼を受けてからウィウィは村に戻り、依頼書をウィリーとミルに見せつつ、外出の旨を説明した。

 怒りながら、仕方ないと承諾したミルの元、準備を整えたウィウィたちは、一日待ってからエルスの町に改めて降りた。そこから出ていた魔車に乗る…こともせず、ウィリーの炎魔車形態(ドライブ・フォルム)を使って魔車を追いかけ、着いたところにあった[月陰の地行き]らしき船の切符をすぐ買い、飛び乗ったところであった。改めて聞くと、明らかに無計画すぎるものであった。


「とりあえず、その月陰の地ってどんなところなの?」

『太陽の地が炎を司るなら、月陰の地は水を司る。ついでに、太陽の地が地を司るなら、月陰の地は風を司る。そういったところね。月陰の地は比較的雨が多いから、ウィウィにはきつい所なんじゃないかしら』

「…本当に?」

『うそを言う必要がどこにあるのよ…、私もあまり月陰の地では行動できないかもしれないわね。一応ファイアラットだし』

「本当に一応だよね、それ」


 しばらくすると、ゆっくりと陸地が見えてきた。


「お、あれかな?」

『うわー…見るからに寒そうな山がある…』


 陸の大きさは、太陽の地とさほど変わらない。というのも、3つの大陸は鏡のようになっているのだ。ウィリーが、寒そうな山、と称した山の名前は[ジュアル氷山]。今回向かうべき場所は、その山のふもとにある村であるが、もし闇嵐龍が山に登ってしまった場合、ウィウィ達も登らなくてはいけなくなる…そう考えたウィリーは、身震いした。



 しかし、もちろんそういったことまで頭が働いていないウィウィは…




「おー、なんだあれ?高いなあ」




 と、感想を残すのみであった。


 ―――――――――――――――


 一応、船の内容は正しかったらしく、無事月陰の地に着くことに成功したウィウィ達。急いで港を抜け、広い草原についてから。


「…で、どこに行けばいいの?」

『さあ?』


 考えがまったくなかった自分たちを後悔するのだった。


『とりあえず、もし村がエルスの町のように、ふもとにあるのだとすれば…』


 しばらく考えて、ウィリーはまた魔車になった。


『こっちね。いくわよ』

「はーい」


 日は、まだ昇り始めたばかりだ。


 ―――――――――――――――


『…たぶんこの村ね』

「入る?」

『そうしないと始まらないでしょうに…』


 魔車でジュアル氷山のふもとに向かったウィウィ達は、そこに小さな村があるのを確認した。ウィリーを元のファイアラットにし、手に依頼書の写しを持って、とりあえず入ることに。


 門に入ると、門番らしき人が出迎えてくれた。


「ようこそ、旅のお方。この村にはなにもないですが、よかったら休息を…って、その依頼書は?」

「たぶんここで書いてくれたものだと思うよ。依頼主はどこに?」

「あなたが受けてくれるのですか?ありがとうございます、依頼主はこちらです。同行者の件は聞いていますか?」

「うん」

『うそつき、あんたのことだから眠ってたでしょうに』

「聞いていたのは事実だよ…」

「…まあいいです。呼んできますね。おーい、フィフィー?」

『名前似てるわね、ウィウィに』

「?」


 しばらくして、ウィウィより少し身長が高い女子が来た。




「ああ、来ましたか」




 その子供は、小さいながらもしっかりとした目をしており。




『…へえ、確かにかなりのマナね』




 その淡い青色の髪と瞳は、まるで水を具現(・・)したようであり。




「・・・?!」




 それは、ウィウィにとっては、何か一つの刺激を与えたようだった。





「あなたたちね?例の依頼を手伝ってくれる人は」


 ―――――――――――――――


「さて、自己紹介だけしておくわ。フィフィよ。この村で産まれた、SSSランク冒険者…と、ここで止めておくのが普通の人なんだけれど」

『普通の人?』

「ウィウィといったかしら。あなたにはもうひとつ情報をあげるわね―――――




 ―――――私の本名は(フィフィ)()具現者(リベルクロス)。あなたと同じ、具現者よ」



「あー…やっぱり、そうだったんだ」

「やっぱり?」

「うん。見たときに、何かが違うって。普通じゃないって、そう思ったから」

『普通じゃないのはあんたも同じだけどね、ウィウィ。でもまあ、確かにマナの流れは似てるわね』

「そうなの?」

「そうよ。少なくとも、私とあなたは同じだって【視える】もの」

「そうなのか…」


 そういうウィウィからは、何故かあまり力が見られない。


『どうしたのウィウィ?いつもの調子とは違うじゃない』

「ああうん、なんだかいくつか違和感があって」

「それなら、大陸が原因ね」

「大陸が原因?」

「あなたの力は、太陽の地で使うべきもの…というより、太陽の地を護るためにあるものよ。護る以外に使ったら、弱くなるのは必然なの」

「へー」

「…えっと、ウィリーといったかしら。そこのネズミさん?」

『なによ?』

「どうか、そこの子に具現者のことについて詳しく教えてあげて…」

『無理よ…。数年やってあきらめたわ』

「あ、そう…」


「?」

ありがとうございました。

(追記※日の昇り具合…というより、時間設定を追記しました。)

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