第1話 ムーン・シャドウ
では3章始まりますよー。
今章はまた三人称視点で語ります。
「月陰の地?」
「そうじゃ。お主には今から、そちらに向かってもらう。もちろん、ウィリーも連れて、の」
4ヶ月後に家に帰ったウィウィとウィリーは、自らが冒険者となったことを説明。思考を放棄したミルの指示の元、あれからは暫く村で過ごしつつ、ギルド長からたまに送られてくる依頼をこなしていた。
そうして残り180日ほどを過ごしたウィウィは、晴れてSSSランクに…上がるかと思いきや、ギルド長から特殊依頼を受けることを条件とされた。今は、それの内容を聞かぬまま快諾したウィウィが、SSSの権限を手にした後に、改めて依頼の内容を聞いたところであった。
「ウィウィにはそちらで待っている、とある者と共に行動してほしいのじゃ」
「とある者?」
「そうじゃ。お主と同様、未知数の力を持つ、SSSランク冒険者。水を扱う魔法使いで―――――
―――――お主と同じく、具現者の名を持つ者じゃよ」
「?!」
今までウィウィ視点だったから故か、具現者のことが忘れられているのかもしれない。少なくとも作者は忘れかけていた…が、彼はれっきとした【炎の具現者】である。
[太陽の地]。今ウィウィたちが住んでいるこの地の名であり、別名[炎の大陸]である。彼は具現者としてこの地を護ることが求められているのだが…今の彼を見るとそんなことしてないような気がするのだ。
話を戻そう。ギルド長からほかにも話を聞くと、年齢が8歳であることや、マナ測定の際に測定器をぶっ壊すほどマナの量が多いこと、名目上召喚獣としてある魔獣がいることなど、いろいろな点がウィウィと似ているらしい…が、少なくとも落ち着き払った女の子であり、少なくとも月陰の地にある村の中では、普通の女の子と変わらない扱いを受けているらしい。
今回は、そんな彼女では相手するのが少し難しいとされている、風属性のSSSランク魔獣の討伐依頼があり、より確実に依頼を達成させるために炎属性のSSSランク冒険者の手助けを借りに来たそうだ。
「―――――とまあ、こんな具合のことが、添えられた手紙に書かれておるの」
「・・・」
「…ウィウィ?」
そんなことを聞かされたウィウィは…
「・・・Zzz」
寝ていた。
―――――――――――――――
「まったく、かつてと同じじゃの…」
「・・・」
話をきちんと聞いていなかったウィウィは、冷水にぶち込まれた。
どこかで一度見た光景であった。
「まあいい。大体こうなるとは思っていたのじゃ。ここに依頼書の写しがある。見ておくといいぞい」
そういわれながら渡された紙には、このようなことが書いてあった。
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【闇嵐龍の討伐】
闇嵐龍が村に近づいて来てしまいました。
このままでは大惨事になってしまいます。
できれば討伐を、無理だったら撃退をお願いします。
前提条件 SSSランク
基本報酬 討伐確認で10,000アルト、撃退報告では半額
期限 1308/06/10
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「闇嵐龍?」
「そうじゃ。いつもなら海の上を通りすぎ、この3つの大陸に触れずして[フロンティア]に行くところなんじゃがのう。今回はそうはいかんかったのじゃ」
[フロンティア]とは、太陽の地、月陰の地、星繋の地の、今人族が多く暮らしているこの3つの大地。その外側にある巨大な大陸…とされている場所だ。未だ全貌は把握できておらず、SSSランク冒険者の中でも最高クラスの人々が調査を行っているが、そのSSSランク冒険者でさえ死ぬことがあり、非常に危険な地とされている。
「困った話だね」
「今からおぬしがそれを討伐しにいくところなんじゃがな…」
「まあいいや。いってきます」
こうして、ウィウィたちは旅に出ることになった。
もう一人の具現者とは何なのか。
これからウィウィたちは、別の大陸で何をやらかすのか。
やっぱり今回も、神さえ知らぬ事項となりそうだ。
ありがとうございました。




