第15話 それからと、これから…?
よし、そろそろ第2章も終わりにしよう。
暫くモノさんと生活を続けて、ギルドのクエストを受けて。ギルドでの生活も身につき、いつの間にか【炎の鷹】の名をもらっていた。まだまだ力を隠しているから、鷹の名がついたそうだ。
「二つ名かぁ。割とかっこいい名前じゃないかな?」
「そうかな?ありがとう」
『モノさんの【生物泣かせ】よりはましだと思うわよ』
「それは言わないでほしいよ…」
「物騒だもんね」
「そこじゃない、そこじゃないんだウィウィ」
Sランクにも軽く上がり、次は200日経過後のSSランク、といったところだ。そんな具合で過ごしていた120日目くらいのある日、モノさんはこう切り出した。
「で、これからどうするんだい?」
「これからって?」
「もう狩りの仕方は覚えたはずだ。これからは一人…いや、ウィリーもいるから二人か。二人できっと過ごせていけるよね?」
「…どう?ウィリー」
暫くウィリーに考えてもらう。すると、こう言い始めた。
『ギルドの仕事そのものについては問題ないわ。ただ、今まで借りてきた部屋とか食事とか、そういったところで少し不安が残るわね』
「ならきっと大丈夫だ。Sランクに上がったから、現地で過ごす時間っていうものができる。でも、今まで僕の部屋で過ごしてきたことに、多少の食事とかの計算を含めれば、ほとんど今までどおりに過ごせるはずだね」
『そのあたりの計算については私に任せなさい。モノに教えてもらったおかげで割と計算可能量が増えたのよ』
「ウィリーなら安心だ。じゃあ、そろそろ別れなきゃね…」
「…ああ、そっか。今日で一旦戻るんだったね」
そういえばそうだった。出発から4ヶ月たった今、あっちに戻らなくてはいけないんだった。冒険者適正が見つかってから、炎溶人の子供は自分で、冒険者になるために4ヶ月間鍛えてもらうか、そのまま戻るかを決めなくてはいけない。適正云々以前に最初から冒険者になれた俺は、そのままこっちに残っていたけど、さすがにもう戻らなくては…。
「これからは、がんばってSランクを二人でクリアしていくんだ。【炎の鷹】、なんていう期待された二つ名をもらっているんだ。その期待を削がないでほしい」
「…うん。分かった」
「ウィリーも、この暴走車をがんばって制御していってくれよ」
暴走車て。
「ウィリーにだって【精霊の申し子】って二つ名があるんだ。その魔法の精度、そのマナの量をがんばって増やしてね?」
『任せなさい。モノもモノで、ウィウィの教えた創炎魔法の基礎と、私の教えたマナ変化技術、より伸ばしていってね。モノならきっと、これをよりすばらしいものにしていってくれるはずよ…主に万能性に富んだものに、ね』
「あはは、今の創炎魔法は炎に対して偏りがありすぎるからね。何とか変えて見せるよ」
「それじゃ、そろそろ」
『ええ、お開きにしましょうか』
「それじゃあみんな?」
「「『また会う日m【ドッゴオオオオォォォォン!!】・・・』」」
「・・・」
「・・・」
『・・・』
『…ねえ』
「…なんだい?」
『今、明らかに嫌な音が…』
「うん、感動の別れをぶち壊していったね」
「いかなきゃまずい?」
「そりゃもちろん!」
『ああもうっ!せっかく別れる思いになれたっていうのにぃ!』
どうやら、まだまだ別れることはできなさそうだ。
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~三人称視点~
「くそっ!なんだこいつらは!?」
「長!やつら倒しても復活してしまいます!なにか復活系呪文を使う奴がいる!」
「何だと?!しかし周りのやつらはどいつも同じ見た目だろう?あのドラゴン以外は!」
「だとするとあのドラゴンが行っている話になってしまいますが、ドラゴンに復活系呪文を唱えられる種は今のところいないはず!」
「チッ…どうなってやがる!」
エルスの町の外、ちょうどグレウス火山方面と真逆の方から、爆音がしたと同時に大量の敵が召喚され、押し寄せていた。その知らせはすぐギルド内に届き、緊急依頼として貼り出されていた。
「ここまで召喚術を使いこなせるやつなんで一体どこのどいつなんだ?!」
「わかりません!現状、召喚術は一度に100体が最大のはずですが、魔法陣は先ほど確認した一つだけだというのに、召喚されている数は軽く500を超えています!!」
「では人の仕業ではない?!くそっ…精霊にしても急すぎる!SSSランカーは来ているのか?!」
「【生物泣かせ】は現在【炎の鷹】と【精霊の申し子】を見送っていますし、【魔術の超者】はどこ行ってるのか分かりません!」
「何やっとるんだあいつらあぁぁー!!」
その時。
「「『ぅぉぉぉぉおおおおおお!!!』」」
ドッガアアアアァァァァン!!!
と、戦いの爆音さえ掻き消す、超のつく爆音が響く。同時に巻き起こる砂埃。
その中から…
「…あ、あれは!」
一人は身に付けたスーツから、鬼神の如きオーラを発しながら。
一人は炎の精霊のように、赤き光に包まれながら。
最後の一人は太陽のように、紅蓮の翼を広げて降り立った。
「悪いみんな、待たせた!」
「よっし!町守るぞー!」
『殲滅系魔法の、いい練習台になりそうねぇ!』
【生物泣かせ】、【炎の鷹】、【精霊の申し子】。
「「『【人智を超えた3つの光】、今ここに舞い戻ったァァ!!』」」
ありがとうございました。
次回、三本連続です!