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紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第2章 冒険と、限界と
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第11話 冒険者ランク、初めてのお泊り

ランクなんて飾りなんです。この子たちにはね。

「おお、来たかの」


 モノさんに連れられて来たのは、こっちに初めて来たときにも入った部屋、ギルド長の部屋だった。


「つれてきました」

「うむ、ご苦労。事情は把握したかの?」

「問題ありませんでした」

「では、二人とも。そこの椅子にでも座るがよい」


 いわれたとおりに座る俺たち。


「二人に渡した証…というより、記録を見せてほしいのじゃが」

「いいよー」

『これね?』


 これはモノさんが道中で説明してくれたので、特に抵抗もなく渡す。


「ふむ…確かに。ウィウィ34、ウィリー28。報告とあながち変わらないのう」

「これで十分でしょうか?」

「うむ。ここまでできる時点でS以上の実力であることは確かなんじゃが、一応規定があるからの。今回は、二人にこれを渡すことにするかの」


 そういって、セイドさんは俺たちに、カードを渡してきた。左上には金のメダルが埋め込まれている。


「ってこれ、冒険者カード?」

「左様。これからはAランク冒険者となるのじゃ。すでにランクアップの規定は超えておるし、一個人としての能力は申し分ない。Sランク以上でも実力は十分なんじゃが、さすがに100日以上を冒険者として過ごしてもらわんといかん。それに、未だおぬしたちは、冒険者として知らぬことが多いじゃろう。しばらくはモノとともに過ごすがよい」

『…もしかして、同居するように指示したのって』

「なんとなく、あの手紙の中に、おぬしらにはSランク以上の力がある、と暗に書いてあったような気がしたからの。早めに手をうっておくことにしたのじゃ」

『そ、そう…』


 一日経つ前にランクがCからAに上がりました。


「モノさん、こういうことってよくあるの?」

「遠方から実力者を冒険者として呼んだときに、まれにありますね。強き者たちを低ランクに留めないように、CからAについては、特定の条件を達した時点でランクを上げる方針を採っています。もちろん、通常通りにランクを上げることもできますよ」

『S以上には上がれないってのは、冒険者としての信頼かしら?』

「そうですね」

「…というかモノさん?」

「なんでしょう?」

「何で敬語に戻ったの?」

「オフィシャルの場ですので。後々、あなたも知ることになるでしょうね」


 よくわからないや。


「とりあえず、今回の目的はこれでいいの?」

「うむ、もう行っていいぞ。モノも引き続き、こやつらの監視を頼む。何かあったら連絡してくれ、正直今の結果を見るに、こやつらが超のつく強者であることはわかった。知識なき強者ほど恐ろしいものはない…頼んだぞ」

「わかりました。それでは」


 ―――――――――――――――


 あの後またイファルの実を取りに行って、40個近く手に入れたあたりで出会った、丸っこくて毛皮がごわごわしている魔物、ゴートボアを(殴り)倒して。ギルドに渡したら喜ばれて、普段より多めにお金をもらった(らしい。お金を持っているのはモノさんだし、価値がまだよくわかってないから)。

 時間は夜。もう周りは暗くてよく見えなくなっている…なんてことはない。文明が進化したこの町では、マナの灯りが町中を照らしている。


「ゴートボアって、最近よく畑を荒らしていた魔物なんだよね。もらったお金の中には、それについての依頼分のお金も入ってるんだ」

「へー…あれ?依頼受けなくても、偶然達成すれば依頼分もらえるの?」

「そうだよ。達成した、っていう証拠を出せばいいからね」


 そうして着いた場所が…あれ?またギルド?と思ったら、モノさんは木の扉のついた、変な部屋に向かっていった。足元に魔法陣がある?


「僕の部屋に転移するよ。ギルドの中にあるからね」

『…ああそうか、そういえばギルド内だとか、そんなこと言ってたわね』

「へー、ギルドの中にも人は住んでるんだ」

「住んでいるのは数少ないけどね。殆どが重役だよ」

『というと?』

「まずギルド長と副ギルド長は、基本毎日ここにいる必要がある。全てはここから成り立ってるしね。次には…そうだね、依頼係長かな。この人も毎日ここにいる必要があるから。あとは…緊急系の依頼の担当者達くらい。もしもの時に誰もいなかったら困るからね」

「いろいろあるんだねー」

「そりゃまあ、それが普通だよ。この位の団体になると、ね。さて、帰ろうかな。えいっ」


 転移。


【ガコッ】


「…あらら?」

「どうしたの?」

「…後でここの状態を直しておこうかな。なんか壊れたみたいだし」

『転移に支障は?』

「ない…と思う。でも万全を喫して、ね」


 ところで部屋が変わってない気がするんだけど…。さっきと同様、魔法陣のある部屋だ…と思ったら、前に扉がある。この質だけ変わってるみたいだ。石?


「さて、僕の部屋にようこそ。綺麗な景色が見られる、いい場所だよ」


 石造りの扉が開かれると…


「…おお」

『なるほど、綺麗ね』


 そこには、整頓されて、さっぱりとした部屋と。




 この町をぐるりと見渡せる、大きな窓があった。




 そこには、この町を照らすマナの光の粒がちらほらと見えて、幻想的な風景が広がっていたんだ。


「ふふふっ。お泊りには最適かな?」

ありがとうございました。狩りがカットされるのはこの子たちだから。

あと、この世界にはガラスはあります。純度高め。夜景を見るにはちょうどいい。


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