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紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第2章 冒険と、限界と
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第9話 初めての戦闘、それは蹂躙の時

餌につられてやってきたのが、自分より強いものだったとき。あなたはどうしますか?

 周りには、リザールと呼ばれた、トカゲみたいなやつがいた。


「うーん、こいつら一体一体は弱いんだよね」

「そうなの?」

「そうだよ、ただ集まるとやばい。おまけに、今回は偶然とはいえ、まるで卵を取りに来たかのように見えるだろうからね、僕たち」

『怒るわよね、そりゃあ』

「そゆこと。まあこの卵たち、実は本物のイファルの実も混じっていてね。勝てば全部手に入るよ?」

『…それは冒険者として、していいことなのかしら?』

「見てくれは強奪だけど、そうしないと生きていけないのも事実だしね。あまり乱獲しなければいいよ」

『あ…そう』

「でもこの数は流石に多すぎる気がするんだけどなあ…」


 ま、いっか。じゃあ早速・・・!


「行くよ、ウィリー」

『分かったわよ、ウィウィ』




「ちょっとやばいね。二人とも下がってて…あれ?いない?」


 ―――――――――――――――


【ギャウ!】

【ギャア!ギャア!】

「うるさいなあ…ウィリー?」

『はいはい、行きましょうか。第一形態(ファースト)炎人間形態ヒューマン・フォルムっと』


 形が甘かった炎の体を、より繊細にしたウィリーと、横にならぶ。周りには煩わしい声を出す、トカゲっぽいものが…50?60?そのくらいいるね。


「俺こっちね」

『じゃあ私はこっちから』


 お互い真逆の方に飛んで、攻撃開始だ。


「らあああぁぁぁ!!」

『はあああぁぁぁ!!』

【【ギュイ?!】】


 俺の方は、いつものようにマナを腕に纏めた格闘型。ウィリーは…剣を火で作って、剣術を使っている。確かにリザールの数は多いけれど、俺が一つ腕を振るえば5,6体は吹き飛ぶし、同じようにウィリーが一つ剣を振るえば5,6体は斬れるみたいだ。


「へえ、こんなもんか」

『はあ、感覚完全に狂っちゃったわね…こんなに簡単に倒せる時点で何かがおかしいんだけどね』

「そうなの?」

『そうよ』


 そう話している間にも、まだまだ湧いて出てくるリザールたち。


「ま、全部飛ばそうかな」

『それの方が楽そうね』


 それじゃ、構えて。


「『おりゃああああぁぁぁ!!』」


 ―――――――――――――――

 ~モノ視点~


「…わーお」


 正直、侮ってたね。彼らの力を。


 目の前から消えたと思ったら、もう周りへと殴りかかってた。それだけだったら無謀だな、で済んだんだけど、ね。


 リザールは、確かに一体一体は弱い。CランクとかBランクでも、パーティーで立ち向かえば普通に勝てるくらいには。


 でも、集団となると、これほど強いやつはいないんだ。ましてや、今回は50はありそうな位多い。ここまで来ると、Sランク四人のパーティークラスの案件なはずなんだけどね。一人で戦うならSSランク。


 彼らリザールは、同族のマナの流れを自らの力に変える、風のマナを司る者たちだ。だから、多ければ多いほど、個々が強くなる。それでいて、近接を好むんだけど、魔法だって使えないわけじゃない。このくらい大群だと、魔法だって使ってくる…はずだろう。


 一方こっちはどうだ。魔獣とはいえ、近接型の剣士を模っているウィリーと、接近して戦う拳士のウィウィ。どっちも大群に対して立ち向かうには適していないはずだ。剣士のウィリーなら、剣のリーチがあるからまだいいものの、拳士のウィウィは、本来だったら一体一体相手にする必要がある…はず。



「りゃああああぁぁぁぁ!!」

『はあああああぁぁぁぁ!!』

【ギャウアアア!!】

【グギャッ?!】

【ギィィィ!!】



 それを、どうしてああまで蹂躙できるのだろうか…。


 物凄く、怖くなった。


 ―――――――――――――――

 ~改めてウィウィ視点~


「こいつで終わりだああぁぁぁぁ!!!」

【ギュアアアア!!】


 よし、天高く吹き飛んだ。


「モノさーん、終わったよー」

「・・・」

『…どうしたの?モノさん』

「…アア、ソウダネ。オワッタネ」

『おーい、正気に戻りなさーい』


 ウィリーがモノさんの頭をたたく。バキッと音がした。…生身でそれはきついんじゃ?


「…はっ!?」

『戻ったみたいね』


 大丈夫だったみたいだ。


「ああ、そうだった。なんか、このレベル帯では見ることができないはずだった、蹂躙劇を見てたんだった…」

『…あ、やっぱりあれ可笑しかったのね』

「そりゃそうだよ。本来ならば、すぐ撤退するところなのに」

『…そのレベル?』

「少なくともAランクでさえ撤退する位、数は多かったよ」

『あ…そう』


「まあいいや。さてと、リザールの素材って、一部を除いてあまりおいしくないけど、数だけは多いんだ。丁度いいし、証明部位の刈り取りと、素材の剥ぎ取りをしておこうか?」

「んー。そうだね。やっておいた方が後々何とかなりそうだし」

『私は、この表面の質感がなんとなく気に入ったわ』

「服…というか、冒険者用の服の素材としては有用だよ。あのヒューマン・フォームで着てみたらどうだい?」

『そうね。その時は頼むわ』

「とりあえず、リザールの討伐証明部位は、そこの牙だよ。吹っ飛ばしたものとかはスルーして、とりあえず取ろうか」

「はーい」


 パキッと折り取る。


「…そうやってとれるような、やわなものじゃないはずなんだけどなあ…」

『まあいいじゃないの。もうウィウィについては、常識なんて通用しないわ。早くあきらめた方が身のためよ』

「そうやって諦められる人がこの世に何人いるのやら…」

ありがとうございました。

この世界にだけいる生物には固有の名前がきちんとありますが、現実の方でおとぎ話に出てきているような生物については名前を拝借していたりします。名前が出てきたら、それに類するものだと思ってください。

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