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紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第1章 その者、異端につき
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第1話 炎溶神の初めの一手

それでは、どうぞごゆっくり。

 ここは、サレイン王国の国土東側にある、グレウス火山。

 マナと呼ばれる力とともに生き、穏やかに時間が過ぎているサレイン王国の例に漏れずに、このグレウス火山火口内の村もまた、炎のマナとともに生きる、溶岩より産まれし種族、「炎溶人(えんようじん)」たちの穏やかな時間が過ぎていた。


 …はずなのだが。


「おーい!!みんな来てくれーっ!!」


 一人の男によって、その穏やかさはぶち壊されることになる。

 何事かとそちらを向く皆。


「”生噴火”の予兆だ!明らかに周期外だぞ!」


 その”生噴火”という言葉があたりに響く。途端に騒がしくなる皆。

 ある者は自分の仕事を即座に切り上げ火口へ向かっていった。

 またある者は半信半疑でマナの流れを見て、その言葉が本物であることに酷くおどろいていた。


 ”生噴火”とは、炎溶人の元となる、特殊なマナが流れている溶岩が爆発する、炎溶人にとっては生誕の儀式とでも言うべきものであって、文字通り"生をもたらす噴火"だった。

 この噴火では、"集溶岩"と呼ばれる、マナの塊の様な溶岩がいくつも排出される。炎溶人は、この溶岩にマナの力によって命が送り込まれたことで、まるで人の様な見た目と力を手にした種族なのだ。


 世界に流れるマナの力を削り取り、それを使って行われるこの生噴火。世界の流れを極端に変えてしまわないように、地に流れるマナに余剰ができる期間として、噴火後100年間は生噴火は起こらない。

 …とはされていたのだが。


「まだ50年しか経っていないぞ?!」

「だがこのマナの流れは確かに生噴火だ」

「どうなっているんだ…」


 火口に集まる彼らから漏れる声は、その噴火が異質なタイミングにあるということを示していた。

 ぐつぐつと紅く燃え、煮えたぎる溶岩。火口にたまるそれは、普段よりも活発に気泡を発している。

 そして、その中心において。ついに集溶岩が姿を現したのだが。

 彼らはそれに、一つの疑問と恐怖を感じた。


 ”なぜ、一つしか集溶岩がない?”


 今回の生噴火では、200人ほどが産まれそうなマナが集まっていた。それ自体は問題ない。しかし、そのマナに見合うだけの集溶岩がないのだ。というか一つだった。一つしかないということは、その一つにすべてのマナが収束することになるのだ。それだけのマナを持つ者とは…


 そこまで彼ら炎溶人の思考が至ったとき、その塊はついにゆっくりと光りだし、形を人のものに変えていく。赤ちゃんの形になったところでゆっくりと一人の女性のもとに浮かんでいった。彼女が抱きかかえたタイミングで、その塊、いや炎溶人の子は、オギャア、オギャアと泣きだした。


 この日がまさに、世界の変わった日。

 炎溶”神”とも呼ばれる、ウィウィ・リベルクロスの生まれた日だった。

主人公、誕生。ただし次も第三者視点です。説明回。

追記※タイトル修正しました。プロローグってなんだか違う気がしたので。

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