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紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第1章 その者、異端につき
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第14話 創炎魔法の謎

むう。時間あるときに書けないのに、時間ないと書ける。謎だ。

『とりあえず、まずその魔法の定義の意味をきちんと理解すること。それが一番よ』

「定義の理解?」

『そう。魔法陣に書かれたその意味をきちんと理解して、それに合わせてマナを流す。それが何よりも重要なのよ?』


 二階に戻ってきたウィウィとウィリーは、ウィリーが改めてファイアゴーレムを構成するのを待ってから、昨日のウィウィの質問についての説明に入っていた。


「そうすると何がいいの?」

『主に、マナがより効率よく流れるわ。それによって、かなり魔法の効率が良くなったりするの。ウィウィがファイアゴーレムの魔法を見つけた時には、たぶんマナの流れを感じ取れたはずよ?』

「あの時…?あ、そういえばそうだね」


 その時はカンを使っていたウィウィだったが、ここで理由が氷解したようだ。


『ヒントも何もない状態から感じ取れたんだから、今のウィウィならたぶん、簡単にその魔法陣から流れを感じ取れるはずよ?』

「うーん…ところでなんで、こんな魔法陣からファイアゴーレムにつながったんだろう?」

『…さあ?最後の〆が甘かったんじゃない?炎を創るってするべきとこが、たぶん変になってたんじゃないのかしら?』

「どんな感じに?」

『えっ?うーん…例えば…』


 前例も何もない状態なので、考えに考えるウィリー。


『あ、こういうのかしら?付与されてたのよ、別の文章が』

「…どういうこと?」

『これは魔物たちとか、数少ない人間くらいしか直感的にわからないことなんだけれど、魔法陣にさらに魔法陣用の文字を書き加えることができるのよ。これで、最後のところに偶然、「創られた火の素を以てファイアゴーレムを生成する」って書かれたのかもね』

「…ちょっと強引じゃない?」

『仕方ないじゃない!もうそれくらいしか可能性ないのよ?!』


 結局ファイアゴーレムが出来上がった理由はわからなかったみたいだ。


『もう…その可能性以外にはせいぜい、そこに火関係の魔物を召喚するって書かれてたくらいしか可能性ないのにぃ…』

「…そっちのほうが説得力あるんだけど」

『それだとなんでファイアゴーレム以外が出てこないのかって話になるのよ…』

「頭痛いね」

『それはこっちのセリフよ…』


 ------------------


「おー」

『なんで…なんでこんな短時間に…』


 話を聞いてから少し経って、できることの確認も兼ねると言い、外から土を取ってきたウィリーが見たのは、空気を使って自分に火をともし始めるウィウィの姿だった。


『ちょっと習得早すぎない?もう少しゆっくりしていきなさいよ…』

「えー?たのしいからいいじゃん」

『私が教えられる範囲を軽く逸脱していくから駄目よ』


 どうやら空気中にある火とは別の魔素を使って、創炎魔法の練習をしていたようだ。様子からして、かなり楽をしているらしく、効率云々についてはだいぶ改善できたようだ。


「ところでなんで土持ってきたの?」

『創炎魔法がどれだけなものか、確認のために持ってきたのよ』

「…?」

『確かに空気中の、風の素を使って火を創ることはできてるみたいね。でも、風って形にできないでしょ?火も粗方同じ』

「そうだね」

『それでね。土は形にできる。これで本当に形のない火ができるのか?って話。やってみて?』

「はーい」


 手を土にかざすウィウィ。暫くして…


「んー…?」

『どうしたの?』


 何かに感づいたらしいウィウィ。


「なんかいやな予感がする」

『…どんな感じ?』

「ドア、閉めてくれる?」

『あっ…』


 その言葉で何かを察したウィリー。すぐドアを閉める。その途端、それは始まった。


 動かないはずの土がゆっくりと動く。ぽこ、ぽこ、と音をたてて。まるで空気が中に入っているかのように。そしてその音はゆっくりと早くなり、いつしかぼこぼこと音を変えていた。そのころには、茶色だった土は赤く発光し、ゆっくりと流れ出して…


『ちょっと待てストップゥゥゥ!!』


 ファイアゴーレムの体のままだったウィリーが自らの体を伸ばして止めた。円形になって、ゴーレムとは言いにくい謎の体になっている。赤く発光した、液体状の土は、ウィリーのゴーレムによって池になっている。


『なになに?溶岩なのこれ?どうしてこうなったの?』

「…いやな予感はしてた。反省はしてる。後悔はしてない。」

『せめて後悔してください…』


 流石にウィウィもやばいと思ったのか、手は離している。そのおかげか土は、ウィリーのゴーレムと触れている部分以外は、ゆっくりと発光を抑えていった。


『…これ、炎?』

「さあ?一応赤いし、熱いし、光ってるから炎じゃない?」

『んー…あ。もしかして何も考えずに魔法放った?』

「だね」

『ってことは、こうなるのは必然だったのかしらね』

「…?」


 何かに気づいたらしいウィリー。何もわからないウィウィ。


『つまり、形のある火ってのが溶岩、ってことよ』

「…どゆこと?」

『あくまでも創炎魔法は、別の魔素を火の素にするだけ。元々の物体の性質自体は、意識しない限り大体変わらないみたいね。今回は「形のある物体」を火にした。その結果がこれよ』

「…ああ、やっとわかったよ」


 やっとわかったらしいウィウィであった。


「…ん?さっき、「意識しない限り(・・・・・・・)」って言ってたよね」

『そうよ?』

「じゃあ意識したら変わるの?」

『魔法はイメージ基本だから、もちろんそうなるわよ。まあ、魔法陣の形にあっているってのが前提だけどね』

「となると、形のない火も作れるの?」

『たぶんね。やってみなさい?』


 未だ円状のウィリーの中にある、だいぶ冷えた土に手をかざすウィウィ。今度は普通に燃え出した。


「おー」

『これで十分かしら?』

「うん!ありがとうウィリー!」

『どういたしまして。土の片づけは燃やすだけでいいと思うわよ?』

「なんで?」

『…消えるからね』


 そうして、創炎魔法についての講座は終わった。しかしウィリー自身にはどうも突っかかりがあるらしく…


『(やっぱり謎よぉ…何なのよこの魔法はぁ…!!)』


 しばらくの間、ウィウィが寝ているときに荒ぶっていたそうだ。

ありがとうございました。

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