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紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第6章 さあ、紅蓮の物語の始まりだ
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第16話 『弱気になってちゃ始まらないわ!』

ウィリー『みんなで覚悟を決めなくちゃ。その先に何があるかは知らないけどね!』

 闇について調べていた研究室から抜け、荒地にまた降り立った一行。


「ふぅ…外の空気はやっぱり違うね。ここは砂のせいで煙たいけど、地下よりはマシだと僕は思うよ」

「それは妾も同感じゃ。それではウィウィ、フィフィ。早速じゃが、どこに【それ(違和感)】があるか探してもらえぬかの?」

「はいはーい」「わかったわ」


 そういうと、ウィウィとフィフィは二人そろって目を閉じ、ウィウィは光を。フィフィは闇を右手に宿し、掲げた。


「「・・・」」


 じっと目を閉じて、どこかを心の目で見る二人。時折手にもつ光と闇がゆらゆらと揺れ、同時にウィウィたちも自分の持つ属性の揺れる方向へと顔を向ける。


「お?」

「む…」


『見ていると可愛げはあるんですけどね。ふらふらしてて』

『当人たちは真剣だし…ゆっくり見ていましょうか』

「ミー…『フィフィ、がんばって!』」

「これは俺も出るべきだな。意外と苦戦してやがる…」


 そういうと、闇のウィウィも右手に闇を宿して、フィフィたちの隣へ。こちらも同じくじぃっと待って、自らの宿す闇に波長を合わせていく。

 すると、少しずつ彼らの持つ属性の揺れが重なってくる。


「…よし、マナが共鳴してきたぜ」


 フィフィの闇、ウィウィの光、闇ウィウィの闇。三つが完全に同じ波を見せたとき…


「…あった!」「よし見つけた!」「こっちね!」


 全員が同時に同じ方向を向き、目を開けた!

 彼ら全員が向く先は入り口とは逆、すなわちこの壊世大陸のさらなる奥深くであった。


「みんな同じ方向を向いたね」

『ってことは…成功したのかしら』


 その言葉にうなずく三人。


「普段とは違って、マナの無い場所(・・・・)を探すのは大変だったわ」

「有る場所なら簡単なんだけどね」

「だが…あそこを無い(・・)と言っていいのか…?」

『ねえ、三人とも。その場所の風景って見れた?』

「僅かには見れた。だが、あの部分は不自然なまでにマナがない…というより、壊世のマナに近い現象があるぜ、認識できない何かに埋め尽くされている」

「外から判別することは不可能、と」

「ニャ?『マナが入れなかったの?』」

「ああ。遠すぎるせいで慣れてなくて制御ができてねぇのかもしれんが…その理由が通用するのは俺だけだろう。お前らはどうだ?」

「俺も無理だったよ。マナを壊そうともしたけど、うまくいかなかったし」


 そういう二人のウィウィの隣で、じっと目を閉じるフィフィ。


「…近いことはできたわ」

「え?」「お?」

「同じマナなら多少の干渉はできると思って、マナを介して振動を伝えたの。その反響で大雑把な位置は把握できる…はずなんだけど」


 そういうとフィフィは、少し苦い顔をする。


「反響の結果がいまいちピンとこなかったのよね」

「フィフィ、結果を水で作り出してくれるかな?僕たちはそもそも何を話しているのか、イメージができなくて」

「ええ、ちょっと待ってて」


 8人の前に、水でできた洞窟の模型が浮かんでくる。ぷくーっと膨らんできた水の中に入っていく空気。それがモグラの巣のようにうねうねと動いて…一部がふらっと現れた闇に沈む。そうして巨大な洞窟の模型が作られた。反響で判らなかったであろう複雑な部分が黒い霧で作られているとはいえ、ほぼすべて透明な模型だ。

 外から見ても内部構造すらはっきりとわかるそれを見て、8人は同時にある疑問を描いた。


『…すみません。この洞窟、入り口はどこに?』

「見てもらったとおりよ。無い(・・)わ」


 そう。中心の空気(洞窟)へとつながる外からの道…入り口が見当たらないのだ。


「反響のための波は入るのに、形状的には出口がないのよ。どの壁でも同じだったわ、可能性があるとすれば私が波を入れた位置だけど…」

「どうでした?」

「数回反射して弱まるまでは、どの壁からも出てこなかったの」

「変な壁ですね…」

「ミー?『どこから入る?』」

「打ち壊す!」「ぶっ壊す」

『待て待て』


「改めてみてもマナがないようにすら感じる場所だけど…俺たちの力不足、ってわけではないね」

「ええ。そこの部分だけは、私たちの力が繋がらない。だからこそ、意識すればわかる場所だわ」

「あの主の知ったことを知りに…あの場所へ行く。それでいいんだな?」

『いいでしょう。私たちもついていきます』

「ニャ!『何があるのかな?』」

「あの先は見たことがない。ここに住む妾らの意識にも入らなかった先…すなわち世界の歪みかもしれぬ。心してかかろう」

「今までいたのは壊世大陸の入り口だったんだね。この先、僕たちの感覚が通用するかどうか…」

『弱気になってちゃ始まらないわ!この壊世大陸の解明のため、行きましょう!』


 ―――――――――――――――


 彼らの目線の先にあるのは、壊世大陸の中心。


 相変わらずバラバラな方向の重力をもつ大陸たちの中に、一つだけ現実と同じ重力を持つ場所があった。



[………―――]



 その大陸に名前はない。


 足を踏み入れた「言葉を持つ者」がいないからだ。



[………―――]



 その空間に意思はない。


 その地を見捨てた「祖たるもの」がいるからだ。



[………―――!]




 だが、その日々もきっと終わるだろう。


 新しい時間が、空間が現れるだろう。




 望んでいるものがやってくる。

ありがとうございました。

ちょっと早いけど、ここで6章終了です!

これから彼らは赤眼の意志に沿って動いていくのだろうか。それとも多少は違う行動をするのだろうか。

後々記されるそれが、果たして正しい世界なのだろうか…?



※幾つかの言葉を修正しました。

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