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紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第6章 さあ、紅蓮の物語の始まりだ
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第2話 「…つくづく恐ろしいのう」

フェイアン「ここは敵陣。こちらは少数精鋭とはいえ、

少しは多勢に無勢…が効果を成すとは思うとったんじゃがなぁ…」

 ~フェイアン視点~


「貴様、なにをす」

「てい!」

「むぐっ!」

「たあっ!」

「ぐえっ」


 ───ドサッ…


「…少しは忍ぶべきではないかのう?」

「え?」


 せんさーを越えて、普通の道を往く妾ら。辺りは廊下の様でもあり、しかし坑道の様でもあった。入り組んだ細い道の途中には幾多もの見張りが。

 あまりにも数が多いため、道中の見張りに見つからないほうがいい。そう提言したツェルの言葉を無視するように、ウィウィは火炎弾の如く吹っ飛び、同時に見張りも殴って吹っ飛ばしておった。

 いや、完全には無視をしていないのじゃろう。吹っ飛ばす際に声が大きくならないよう、相手の口を覆った状態で攻撃していた。しかし、かなりバレる寸前な気がするのじゃが…。


 とりあえず、その点を考えてウィウィに声をかけた。


「このままでは、いつ他の兵に見つかるとも限らぬ。多少危険性を吟味しておくべきじゃと妾は思うぞ…」

「それもそうだけど、今は素早く行くべきだと思うよ。警戒が薄い今だからこそ、この時間を有効に使いたいんだ」

『…なるほど、センサーに反応がないことから敵は油断していると。しかし、親玉さんは確実に侵入には気づいているはずだから、時間が経てばセンサーの無反応を危惧して警戒をさせるはず。こういうことですか?』

「そうそう。だから急がないと」

「あの者たちを早く救いたい気持ちは分かった。しかし、このままでは事故が起きる可能性がある。せめてそこに倒れた者を隠すことくらいはせぬか?」

「…それもそっか」


 そういうと、ウィウィは倒した見張りを細い道の角に隠した。


「殺さぬのか?」

「それこそ他の人に警戒されるって。それに、この人たちだって()だし・・・え、甘い?それはそうだけど、あんまり命を奪いたくはないんだよ。闇の俺も、俺の事は知ってるでしょ?」


 外で結構暴れていたのは、無視して考えた方がいいのじゃろうか。

 そう思いながら、警戒して先へ進んでいく。


「それにしてもここは綺麗じゃな。整理がされておる」

「壁や床の石の質も、中々悪くないね」

「この辺は、上流の人たちが集まって仕事をしている場所だから。上のようなところとは違うのよ」

『上流、ですか。座標的には下なのに…』

「そこはいいの。問題はここの連絡網よ」

「連絡網?」

「マナによる特殊な回線を使って、一瞬で互いの状態を確認できる連絡網よ。これがあるから、倒しつつやり過ごすってこともしたくはないの」

「…先に言っておいてほしかったなぁ」


 もうすでに、一人倒した後であった。


「ここは重要なデータが保管されていたり、優秀な実験体(モルモット)が主様に送られたりしているから。いつ何が起こってもおかしくないように行動されているのよ」

『管理はしっかりしている、と』

「じゃ、行きましょうか。何かが起きてもおかしくはないわ、早く主様の下へ向かいましょう」

「おー」


 ―――――――――――――――


 それからはウィウィも見張りを倒すことはせず、隠れてやり過ごすことが多くなり…

 時折妾やツェルが幻影の魔法を放ち、それを堕天使とウィウィが補助をして、その隙にモノが道を見つける。この連携が功を奏し、案外素早くかの闇の主とやらの下へたどり着けたのじゃった。

 が、ここからがかなりの難関であった。


「…ドアの前に見張りが二人」


 鉄の扉。その前に、真っ黒な鎧を着けた二人の門番。それを確認した妾らは、近くにあった柱に隠れることにした。

 そこからわずかに顔を出し、門番の様子を確認するモノ。その陰に隠れる妾ら。


「どうじゃ、隙はあるか」

「ぜんぜん。あの様子、かなりの精鋭だと思うし…」


 モノの目線の先には、闇のマナがわずかに見え始めておった。


「この僕でさえ見えるんだから。相当の保有量だと思う」

『となると、生半可な魔法は効かないでしょうね』

「闇魔法なんてもってのほかね。幻惑をかけられたことがすぐにばれるはず」

「ならどうするというのじゃ?」


 悩む妾ら。そこに出たのは、ウィウィじゃった。


「んー」

「ウィウィ?」

「ここまで来たら、警報も何もないんじゃないかな?」

『どういうことです?』

「仮にあの二人を倒し、即座に警報を鳴らされたとして…」


 ウィウィの目は、門を完全に捉えておった。


「あの門の距離。流石に十分届くよね」

「…じゃとしても、念には念を入れる必要があると思うが?」

「それに」

「む」


「マナが見える人は、よく見てみて」


 いわれるとおり、門番をもう少し強く確認してみる。


「…何もないが」

「じゃ、後ろにいた普通の人たちは?」

「ふむ?」


 今度は少し戻り、先ほどまで捌いてきた監視の者を見てみる。すると。


「…ほう、なるほど」


 こちらには少しマナの線が見えていた。先ほどまでの話からすると…


「あの線はあれじゃな?通信機器がどうこうとやらの…」

『フェイアンが見たのはおそらく連絡線でしょう。あれが何故か、門番にはない…と』

「うむ。なるほどな。これなら倒しても問題はなさそうじゃ」


 ということで、柱の陰で作戦会議。


「ではどうやって倒すか、じゃが…殺すのは今回も不味いかのう?」

「黙らせるならそれがいいけど…どうなの?堕天使さん」

「そうね。自爆されると困るし…殺さず気絶で抑えましょう」

「一瞬で済ませられる方法はあるかのう?」

「ウィウィの力は?」


『倒せることに関してはだれも疑問を抱かないんですね…』

「まあ、ここまで人がいるしね」

『そういう問題じゃないです』

「じゃ、俺が行く?」

「うむ。最初のときと同じように頼むぞ」

「実力は段違いだから、気をつけるのよ」

「はいはーい、補助はお願いしまーす」


 そういうと、あっという間に敵の下へ。

 文字通り敵の真下にたどり着くと、


「とうっ!」


 誰も気づかぬうちにしゃがんだまま相手の足に軽い蹴りを入れ、直後に飛び上がって首筋へ直撃。

 そこで何をするか気づいた妾は、即座に周囲に黒い霧を張った。


「ナイス!」

「はっ!だれd」

「ちょっと黙っててね!」


 その様子に気づいた門番がウィウィを目に捉えようとした瞬間、ウィウィは炎を自分の後ろで爆発させて吹っ飛び…


「よっと!」

「ぐえっ」


 相手の後ろに回りこんだかと思うと、今度は地面スレスレを爆発させて。こちらも首の後ろへ手刀を浴びせたのじゃった。


「…ふぅ」

「…つくづく恐ろしいのう」


 そうかなー?とのんきに話すウィウィの後ろは、きれいな床のまま。それでいて門番は完全に気を失っている。後でここに来る者も、門番さえいなければ何事もなく通り去るだろう、と思えるほど傷がついておらんかった。


「具現者ということを抜きにしても、あまりにも洗練されたマナ操作技術じゃ。直感が導く答えであろうことは確かじゃが、それでも素晴らしいのう」

「思ったようにやってるだけだからね、俺は。考えるのは苦手だし」

「…左様か」

「それと、フェイアンありがとね」

「うむ」


 爆発を起こそうとしていたことは予測できたからの。音を消し、光を覆うこの霧を張ったのは正解じゃった。


「さえぎるものはなくなったわね」

「急ごう、フィフィたちが待ってる」

ありがとうございました。

まさかの予約投稿のし忘れっていう。ごめんなさい。

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