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紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第5章 Legend、開幕
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第22話 God's Answer ―神答―

神とは具現され得ぬもの。

そして、形を持たぬものでもある。

然し、それでいてなお存在するもの…その答えとは、何処にあるのか。

 変な要素だ。

 ウィウィはそう言い、ほかの皆を見ながら話し続ける。


「何か、認識を阻害する何かがある気がするんだ。このマナに関してはさ」

「…マナ自身が認識阻害をするなど、聞いたこともない話なのじゃが?」

「マナは…力の源だから、逆に僕たちが普段使えなくて、気づかないような力だってだけなんじゃないのかな」

「うーん、それも違うと思う。だったら俺は、その違和感にさえ気づけないはずだし」


 暗闇の中で物を見ることができないように、ウィウィも気づけないものは気づけない。そう言いたいらしいが…


「…私からしてみれば、今までのあなたの行動からは、できないことなんて何もない!みたいな感じしか感じないのよねぇ」

『空を飛んだりあそこまでのマグマを動かしたり』

「ミャ、『フィフィもすごいけどウィウィもすごいよ?』」

「さすがに俺も人だし、認識の限界はあるよ。でもこれは、それとはまったく別の話だと思う。目を閉じていても水の中に入った感覚だけはわかるように、この違和感は感じ取れておかしくないくらいには大きいんだ。でも…」

『…実際に認識できているのは、この中でも半分だけ』

「ツェルとティティ、ウィリーに堕天使さんは掴めていないんだよね」


 全員が黙る。


「…共通点は?」

「分かんない。属性が関係しているわけでもないし、種族も一致してないし」

『うーん…難しいわね』

「いや、私から見れば一応共通点はあるわ」

『堕天使さん?』

「敢えて言うなら、だけど。私たちは【魔物側(人ではない)】…ってくらいかしら?」

「それじゃと妾はどうなる?一応妾はヒトではなく、龍じゃが」

「龍は…というよりあなた神龍よね!?」

「うむ」

「…要するに、私たちはかなり世界に縛られた存在なの。世界に縛られているってことは、目線も世界の指示したとおりにしか通じないってことよ」

『…単純にマナの扱いに長けているか否かじゃないの?』

「それだったらウィリーはモノ以上だと思うけど」

『えっ?!』「え?」

「直感で扱えるかどうかって話でしょ?だったらウィリーの方が上手だよ」

「…なるほど。思考の違いってことかな?ウィウィ」

「そうそう」

『よくわからないのだけれど!?』

「落ち着いて落ち着いて」


 ウィウィは一旦バックステップしてから話し始めた。


「簡単に言えば、俺たちは世界のルールを若干無視できるんだよ」

「…(若干って…)」

『…(ウィウィが言うと説得力が…)』

「俺たちは具現者だから別として、フェイアンは神様の力を借りてるから、たまーに物事を世界の外から見れるんだよ。モノは戦闘形態の強化を重ねたおかげで、マナへの感知能力とか諸々の基礎がすっごく強くなったからね」

『んー…つまり、私たちはそのあたりが足りないと?』

「ううん。足りないわけじゃなくて、根本がどうしても届かないんだと思う。単純な能力だったらみんな引けをとらないから…問題は、そこから先かなぁ」


『…()?』


「神様って、人の姿をしてた…んだよね?」

「む?伝記にはそういった類のことは書かれておらんはずじゃが…しかし、人型でなければ通じ得ない話もいくつかある。可能性はないわけではないじゃろう」

「あと、きっと肉体を持ってたはず」

「さすがにそこまでは知らぬぞ?!」

「フィフィ、解析」

「そんな無茶な…」

「情報は案外あるよ?モノも手伝ってー」

「う、うん…」


 ―――――――――――――――


 ~フィフィ視点~


 考えるために、と皆からわずかに離れた廊下で、私とモノは二人で座っていた。


「…ウィウィも無茶を言うわね」

「本当だよ。このぐらいの情報で、そんな神サマが人型で、肉体を持ってたとかどうとかって話に繋げるなんて…」

「でもウィウィは全く戸惑ってなかったわ…」

「確信でもあるのかな。僕たちには知りえないことだけどさ」


 ちょっとした雑談を挟む。考える(・・・)ためには一回頭をリセットしなくてはいけないから。


「…ふぅ。じゃ、始めますか?」

「宜しくお願いするね・・・―――」



 それも、今回のような(・・・・・・)超難題に対しては(・・・・・・・・)、絶対に。




「「事象展開(d@d)4wyte)演算開始(5yx@yted)」」




 互いに手のひらを合わせ、モノと私の思考を合致させる。

 モノの意識がわずかに流れ込んでくる。それを受け止めながら、こちらからも意識を送る。


「神様についての情報を改めて整理」

「l)4te>:@yd@)4i6ewthiydwe.kfetks6l」


 モノの記憶を受け取って、私の記憶と照合する。と同時に会話を続ける。


「…確認。『この地に神はいない』」

「tei2zb@4ud」

「『マナは四大属性と二極属性、そして現状新たに見つかった謎のマナの7つ』」

「…iydgic4eud」

「『マナは自由に変換できる』」

「qd)4giu.wyf3.:s@<myq@efue9」

「…気になる点?」

「{d@84}…uktu…」

「…確かに。それは気になるわね。確認をするとしましょう」


 モノが疑問に思ったことは、「マナの自由変換」が本当に可能かどうか。それを今から、互いの想定実験を介して見つけ出す必要がある…のかしらね。


「じゃあ確実なことから。『四大属性は、理論を組み立てれば互いに変換が可能』」


 モノからの返答を待つ。


「…4y>d@Z:yr.jw@mutZq:s@<3Zw.9」

「まあ、そうよね」


 ここはウィウィが教えてくれたことが役立った形ね。キチンと置き換えが効く。じゃあ次。


「『二極属性は変換は現時点では不可能、ただし能力上置き換えられる可能性はある』」

「23ywerg@.tu…mZsbjthw@gue?」

「それは失礼。なら、『二極属性は対であり、能力上置き換えが可能』」


 モノからの返答は…


「…6Zs?」

「どうしたの?」

「e7<bk…もういいや。フィフィ、これを見て?」

「…これって」


 モノから流されたイメージを、自分の中で置き換えて確認する。その中には…


 ―――――――――――――――


 ~三人称視点~


 光と闇のイメージ体が、互いにぶつかり合っている。眩い『白』を放つ光の後方には大勢の人…いや、『ヒト』が。悍ましい『黒』を放つ闇の後方には大量の液体…いや、ヒト型をした『異形のモノ』が。


 『白』と『黒』は互いに、自らの中心となる点のみを体とし、それ以外はただの霧のごとく、お互いの陣を飲み込んで、照らしている。

 言うなれば、完全に対照的な力だった。




 …しかし、その均衡は突如崩壊する。というより、内側から崩れ始める(・・・・・)

 何もなかったその真ん中に、無の空間が…文字通り、『何もない空間が』現れたのだ。

 何の色ともつかない、混ざりさえしない、透明とも言い切れない不思議な空間。それが歪んで、形を取って。




 完成したその形は、『ヒト』でもなく、『異形のモノ』でもなく。『人』のようだった。






「―――wyd@\」






 何かを呟いたその声は、フィフィにもモノにも、聞き覚えがあるような気がした。




 ―――――――――――――――


 ~フィフィ視点~


「…っぷはぁっ…はぁっ……はぁっ……!?」

「っとぉ…フィフィ、おかえり」


 モノがくれたその記憶から、ガンッと刺激を与えられたかのように私は飛び起きた。

 極度の集中から戻ってきたかのように動悸が収まらない。

 なんだったの、今のは…?!




「モノ…はぁっ、あれって…」



「…多分、神様じゃないかなって僕は思うよ」




 冷静を装うモノの頬にも、若干の冷や汗が流れていた。

ありがとうございました。

意識があれば書ける。うん。

投稿タイミング間違えたけど割と書ける。

※誤字修正しました

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