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紅蓮の神の伝説  作者: 夢神 真
第5章 Legend、開幕
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第17話 Collapse Hole ―壊孔―

壊れた地、と名の付いた大陸、壊世大陸。

フェイアンが神龍として存在するという地に。

ウィウィを求めていた者が住むというその地に。

今、降り立つ。

 夜の闇が晴れ、また日の光が差し込みだす朝。

 未だに空を飛び続ける彼らの前には、今もなお青い海だけが広がっている。

 ウィウィは睡眠を続け、ウィリーは移動に集中するためほとんど意識なし。といった二名を除いた一行は、フィフィの起きる声に反応してウィリーに集まった。


「ふぁ…おはよう」

『うむ。おはよう、フィフィ。そろそろ壊世大陸が見えてくるぞ』

「壊世大陸か…そういえば、僕が行ったときには自力で海を渡ってたなぁ。今更だけど、懐かしいよ」

「えっ、モノ空を飛べるの?」

「いや、僕は空を飛べないよ、ウィウィとは違うしね。僕は…」


 と言ったモノは、未だに広がる静かな海を指さし。


「見てわかると思うけど、この海って波があんまりなくてさ。水の魔法を使えば簡単に足場にできるんだよ」

「…まさか、足場を作りつつ渡ったの?」

「そうそう。人間一人くらいなら海のモンスターも気づかない、って理由でね。流石に速度が遅すぎて、数日かかっちゃったけど…」

『…まさか、その間常にマナを扱い続けていたのか?』

「たまーにボートを取り出して、仮眠をとってたよ」

『そこは人間らしいですね』

『まてツェル。そもそも前提がおかしいことに気づけ』


 帰りも同じことをするのはきつかったなぁ、とモノが愚痴をこぼしたところで。

 先にそれ(・・)に気づいたのは、フィフィだった。


「…ねえ、フェイアン」

『なんじゃ?』

「あそこに見えるのは何?」


 フィフィが指さす先。そこにあったのは不思議な光景。


 青い海が、途切れていた。


 いや、捻じれていた、というべきか。

 海の一部が抉れ、捻じれて空に向かっている。


『おお、やっとたどり着いたか』

「長かったなぁ」


 その先に付いているのは、僅かな緑色をした大地。

 そこからも水、いや海が飛び出している。


「ちょっと、説明を…って、もしかして」


 そういった場所が幾つも連なり、一つの円…いや、門となっているかのような場所。



『うむ。あそここそが全ての壊れた場所、常識のない世界―――』



 自然ではありえない場所が、自然にある。その環境を指さしたフェイアンは…




『―――【壊世大陸(・・・・)】。その入り口じゃよ』




 この旅の目的地に着いたことを、宣言した。



 ―――――――――――――――


「…ふぁぁ~。あれ、みんな起きてる」


 ウィウィが目を覚ますと、皆が集まってきた。


『むしろウィウィが一番遅いですよ』

「ウィウィ、僕たちは壊世大陸に着いたんだ。周りをみてみなよ」

「んー…?」


 辺りを見渡すウィウィ。その目には、至る所に地面の塊が浮いている様子が映っている。


 空は青く、しかしウィウィ達のいる地面の下もまた青い空。なら元いた場所はどこにあるのか。


「ここ、どこ?」

「ん?ああ、来てからしばらく時間がたったからのう…」


 ウィウィの声に反応したのは、人に戻ったフェイアンだった。


「そうじゃな、あそこを見るがよい」

「んーと…」


 フェイアンが指さした先には、水平線全体に広がるかのような滝と、そこから水を引いて繋ぎ、円を描く土の塊が見えた。マナが作り出す自然の奇跡とも言える風景。中々に幻想的だ。




 その滝の水が斜め30度傾いて(・・・・・・・・)天に落ち(・・・・)ている点を除けば。




「あそこが妾たちの来た場所じゃ、つまりここの入り口。あの円から入らぬと、この大陸の掟にそぐわぬままになってしまうからのう」

「…つまり、あの滝が海?」

「そうじゃ」

「傾いてるんだけど」

「そうじゃな、妾たちが立っている場所が傾いておるのじゃから」

「水が空に落ちてるんだけど」

「妾たちが立っている場所が重力の起点じゃからな」

「…えっと、わけわかんないんだけど」

「これがこの大陸の基本じゃ、覚えておけ」



「あの子が混乱するってことは、やっぱりこの大陸はおかしいのね」

「ウィウィが混乱することを普通の基準に考えているなら、よほどのことがない限り普通なことしかないかな…」

『フィフィ、あなたくらいよ?この状況で混乱しないのは』

「私は話に聞いて、きちんと覚えて、実際に入る状態を感じ取ったから落ち着いていられるの。ウィウィだってもうすぐ…」



「…んー、なんか違和感があるよね、この大陸」

「どうしたのじゃ?」

「いや、なんかマナの流れが変っていうか」

「ああ、それは…」


 フェイアンが話を始めようとしたその瞬間、ウィウィは理解したようだ。


「あ、これか!」


 といった直後に、何もないところに手をかざし。


「そいやぁ!」


 と掛け声を発した。その直後。


【ガアァンッ!!】

「うおっ!?」


 ウィウィが手をかざしたその位置に謎の力が働いたのか、フェイアンは思いっきり引き寄せられた!

 が、その地点にブラックホールができたわけでもなく、フェイアンは宙に浮いたままの状態になってしまった。


「…まて、なんだこの引力は」

「んーと、ちょっとやってみた」

「せめて人以外を対象に頼む…っ!」

「でも、この世界ってこんなものでしょ?」

「こんなものとは…?」

「何かが引っ張り合って、この空間ができてる。以上」

「文章がいささか短すぎる気がするのじゃが」



「…ね?」

『あれってどうやって理解しているのかしら…』

「…」

「堕天使さん?」

「…もしかしたら、あの赤い目が関係してるのかもしれないわ」

紅き眼(レッドアイズ)のこと?」

「あの子、夜の間の話にあったことが本当なら、マナを自分の自由に操れるのよね?」

『…属性が炎か無に限定されていた気がしますが、そうでしょう』

「そのきっかけが、あの右目にある…そういいたいのかい?」

「詳しくは分からないけど…私が今見た限りではそんな感じがしたわ」


 堕天使が言うには、どうやらマナの流れがウィウィの眼に集中しているらしい。


「そのおかげでマナを見れる…ということかしらね」

「マナが…それって」

『もしかして、あの紋様のことかしら?』

「紋様なら、あれ自体には力は感じないのだけれど…マナを吸い取ってるようには感じるわね」

「あ、やっぱり吸い取ってるんだ」

「でも、あの紋様がきっかけにはなっている可能性はあるわよ。眼に近づけてから見る…とかね」

『…いや、吸い取ったら見えないわよね』

「…あ」




 新たな大陸でも、皆の様子は相変わらずのようだった。

ありがとうございました。

4月忙しいな!?

できる限り投稿を守れるようにはします…と言おうとした当初から躓いている現状。

でも頑張る。

追記※守れてねぇ。しばらくの間は不定期にします、すみません。

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