「炎帝」の本
まだ始まってないですよー。
本編とはかかわりないのでスルーしたい方は1章へどうぞ。
「さて、今日は何を書こうかな。」
ガチャリと、何も音のしなかった書斎に変化が訪れた。一人の男が入ってくる。
「あー、疲れた。でも書かなきゃいけないしな。」
その男は、ボサボサの頭を掻きながら、パソコンを起動させた。
「あ、アプデ終わってる。遊びてえなあ…いや我慢我慢。」
やけに多いアプリに目を通しつつ、彼は一つのフォルダを見つけた。
なぜか、それには紅い眼が描かれている。手作りのようだ。
「よし、これやるか。」
そういって彼はそのフォルダを開く。中はいくつものデータがあったが、彼は迷うことなくテキストファイルを取り出す。もう位置も覚えているようだ。
「むむ、完成度低いな。急がなければ。」
メモにしては長めの文だったが、彼は不満げであった。何故か。
「よーし、それじゃあやるか。追加世界、接続!」
彼は作家だ。すこしアレな人ではあるが。
彼自身は現実にいる。この世の焔の一つも、己の力で操ることもできない現実にいる。
だが。仮にそれが。とあるもう一つの道をたどっていたとするなら?
”もし、彼がその力を操れる体を持っていたとしたら?”
ウィウィ・リベルクロス。
それは、自分と違うもう一つの道を辿ったとされる、もう一つの自分、もう一つの生き方。
生まれながらにして人を外れた者である彼の道のりを。
まるで、己が聞いていたかのように。
まるで、己が見ていたかのように。
彼はまた、一つの物語を創る。
(7月15日修正しました)
(10月2日、章の番号を虚数にしました)