資料3(プロット)
ムトウが執筆。
宇宙探査局、探査部、第2探査課
「このおおばかもんがーーーーー!」
(漫画キャッツ・アイの、課長に怒られる内海ぐらいに怒られる主人公、イワン)
「いったい、何をどうやったら迷えるんだ、教えてほしいぐらいだ! そもそも探査船だぞ?!航宙図チャートAIも最新モデル、逆に迷うほうが難しいだろうが!」
「ほんと、なんで? なんで迷う?!」
「定期巡回だぞ? 初めて行くルートじゃないんだ!」
「昨日今日パイロットになったわけじゃないだろ!!」
ひたすら謝り続けるイワン。
怒りと呆れミックスの課長。
しょぼくれながら船のドックに向かうイワン。
自分の船を点検をしてくれているエンジニア、カーチャに慰められる。
作業しながら、カーチャ
「まあ、気にすんなよ」「無事に帰ってこれてよかった」「変な宙域に迷い込んじゃったのは災難だったけどさ、逆に、最短ルート発見できたじゃん?」「課長も、立場的に褒めるわけにはいかないけどさ、内心はでかした!って思ってるよ」
イワン「でも、ミッションとしては失敗だよ」「定期巡回だって、大事な仕事だからさ」「結果的に発見だったけど、」「重力波に巻き込まれる可能性だってあったわけだしさ」「怒られるのも当然なんだ」
しょぼくれるイワン。
まあまあ、と宥めるカーチャ。
「とりあえず、飲みに行こうぜ」「いつものカモメ亭で先にやっててよ。後片付けしてから行くよ」
イワンが立ち去ってから、複雑な表情で苦笑するカーチャ。船の後部から追跡記録装置を取り出す。「難儀な男だねえ」意味ありげにため息をつく。
そこへエリートパイロット、エリックが訪れる。
「やあカーチャ。イワンがまたやらかしたって」
「ああ、今度は最短ルートの発見だよ。あのブラックホールを回避できるなんて奇跡だ」
「なんで定期巡回でそんなとこ辿り着けるんだろうな」
エリックもカーチャも驚き呆れている。
カーチャ「前回はなんだっけ、単純な物資輸送ミッションで、高純度のレア鉱脈を発見したんだっけ?」
エリック「うん。しかもポジション的に、造船ドックが計画されてる小惑星のすぐ近くでさ。必要な資源が全部揃ってて、施工部とか資材課が小躍りしてた」
カーチャ「でも、イワンは怒られたんだろ。しゃーないけどさ」
エリック「全然関係ない宙域だからなあ。本来の輸送ミッション間に合わなくて、俺がフォローに行ったんだよ」
苦笑するエリック。カーチャの持つ、追跡記録装置を見つめる。一瞬、悔しげに眉をひそめて、あーあ、と降参、のように手を広げる。
エリック「その前は、ビーコン消失して行方不明になってた民間船の発見。乗組員も乗客も全員無事、っていう奇跡の生還」
カーチャ「あーそれか。ん? 他にもあったろ、それ」
エリック「そう、別の民間船の、非常脱出シャトルが大量に消えちゃった事件。宇宙ゴミの集積場を見つけちゃってさ、きれーに無傷で滞留してんの。大手柄だよ、どれも」
「おやおや、第1のパイロットさんがジェラシーかい?」
探査局の第1探査課は未知の宙域を探査するエリート部署、第2探査課は開発中の宙域の巡回ミッションメインの便利屋部署。その第2のパイロット、イワンが次々に大発見を成す。
「ジェラっても無理ないだろ。なんなんだよ、アイツ。今回の最短ルートなんてさ、あの宙域、ネストと磁気嵐で最悪でさ、まさか通れるなんて誰も思ってねえよ」「なのに、あんな器用にくねくね抜けて、最短ルート! 通常なら3ヶ月かかるところを、いいとこ一週間だぜ」「どうなってんだよ」「ジェラシーくらいするわ」
探査パイロットなら、誰だっていつか大発見、てやつをしてみたいさ。
カーチャが肩をすくめる
「まあ、イワンにはイワンの言い分があるのさ」
「普通にミッションをこなしたい、ってさ」
エリック「わかる」「けど悔しい」
カーチャ「まあまあ、わかるよ、わかるさ」
「でもさ、わかってて、言えないあたしもそれなりにジレンマなんだぜ」
手にした追跡記録装置を見やる。
「イワンに黙って、こんなのつけたりしてさ。上層部からの命令とはいえ、後ろめたいよね」「イワンの安全を守るためでもあるんだけどさ」「ホントに、まったくどうなってんだかな、まだ解析されないらしいよ」
エリック「航路分析課が発狂しそうになってる」
カーチャ「それいったら、造船部のAI開発課も相当だぜ。イワンの“迷子”がどうしても演算できないらしい」
エリック「宇宙で迷子とか」
カーチャ「冗談かと思うよね、宇宙で方向音痴」
エリック「しかも、迷った先で、高確率にお宝見つけるとかさ」
ふたりで「ほんとなんなの、あいつ!?」
第2探査課の課長。冒頭でイワンを怒鳴りつけてた人物。
「ほんと何なのアイツ」
胸元をさすりながら胃薬をのむ。
「1回なら偶然ですむ。2回でも幸運、なんとかこじつけられる」
3回、4回、と発見を繰り返す、しかも本来ミッションをありえない理由「方向音痴」でロストして迷いまくりの結果としての大発見。
それなら最初から探査ミッションを課してみれば、フツーに失敗して戻ってくる。ダミー任務を与えても成果ゼロ。
航路分析課はお手上げ状態。何故か畑違いの医療センター、メンタルヘルス科が「方向音痴じゃないですかねえ」と投げやりに発した語がいまのところもっとも正解に近いらしい。
「フツーに仕事してほしい」
切実にぼやく課長。
カモメ亭でクヨクヨしょぼくれるイワン。
「なんなの、俺って」
連れ立って現れるカーチャとエリック
「まあまあ、くよくよすんなって」
「地道にがんばってればさ、そのうち、報われるよ」
「エリックはすごいよな。優秀で、ミッション成功率100に近い」
「カーチャもミッションの役に立ててる」
「それに比べて、俺って何なの」
カーチャ、エリック、課長、全員が内心で
「ほんと、なんなのコイツ!?」
(終)




