表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自称Cランク剣闘士は勇者に抜擢された  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/2

前編

「ニコル! 次はお前の番だ!」


 待合室で居眠りしていると、いきなり名前を呼ばれた。

 俺は頭を掻きながらむくりと起き上がる。

 試合を待つ他の剣闘士がこっちを睨みつけていた。

 彼らはわざと聞こえる声量で悪口を言う。


「クソガキが」


「今度こそ死んでこいよ」


「お前の死体に小便ひっかけてやる」


 いやはや、我ながらとても嫌われている。

 正々堂々と戦わず、ひらひらと攻撃を躱したり、逃げ回って時間を稼いで生き延びるやり口が不評なのだ。

 それでも攻撃して相手を倒しているのだが、全体的な立ち回りが悪すぎて印象が薄いらしい。

 ちなみに客からの評判は半々で、堅実に儲けたい連中は俺にしっかりと賭けてくれる。

 生存率という一点において、俺ほど飛び抜けた剣闘士は珍しいのだ。


 俺はダラダラと歩いて待合室を出ると、そのまま選手用の武器庫へと向かう。

 そこでは担当の兵士が待っていた。

 俺は気さくに声をかける。


「どうも、レゴリックさん」


「相変わらず間抜けな顔だな。寝起きか」


「ええ、まあ」


「大した余裕だな。慢心は死を招くぞ」


「へいへい、ご忠告に感謝しますよ」


 レゴリックさんは不満そうに鼻を鳴らすも、それ以上は何も言ってこない。

 それなりに長い付き合いなので、俺の性格を理解しているのだ。

 彼は乱雑に並べられた武具を指差して俺に尋ねる。


「武器はどうする」


「あー……これでいいや」


 俺は手頃な場所にあった剣と盾を選んだ。

 剣は刃がうっすらと錆びており、盾はあちこちが割れている。

 防具が重たいので着けない。


 身軽な俺を見たレゴリックさんがさすがに忠告してきた。


「いつも思うが、もっと吟味しなくていいのか。どれも品質は劣悪だが、それでも使い勝手の差はあるだろう」


「細かいことを考えるのが苦手なんでね。生き残れば何でもいいのさ」


 俺は剣をくるくると回して笑う。

 そのまま部屋を出ていこうとしたところ、レゴリックさんに呼び止められた。


「……おい、待て」


「何だよ」


「ここで生き残れば、お前は百連勝だ」


「それで?」


「勝ったら酒を奢ってやる」


 レゴリックさんの発言に俺は笑う。

 そして彼の肩をぽんぽんと叩いてみせた。


「へえ、気前が良いね。どういう風の吹き回しだい」


「闘技場を盛り上げるのは剣闘士だ。労うのは当然のことだろう」


「心配しなくても俺は死なないよ。でもありがとうね」


「し、心配などしておらんっ!」


「あはは、分かってるって」


 顔を赤くして振り払うレゴリックさんに手を振りつつ、俺は武器庫を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ