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【書籍化決定!】転移した先が滅びかけ!?〜万能クラフトと解析眼で異世界再生スローライフ~  作者: 夢・風魔
3章

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67/67

67::出発→想定外。

「じゃ、アッパーおじさん。後は任せたよ」

「おう、気ぃつけていってこい。帰る頃には、かわいいかわいいわしの子が生まれてるころだろうぜ」


 そう。今回、何故アッパーおじさんが同行しないのか。

 それは……。


「まさか奥さん五頭みんな揃って妊娠とはなぁ」

「頑張ったからなぁ。かーかっかげふっ」

「夫殿、余計なことは言うんじゃない」

「ほんっと、下品なんだから」


 ほんと……雪の季節の間に、しっかり子作りしていたとは。

 まぁアルパカディアの小屋は畑の側で、教会から少し離れていたもんな。

 奥さん方のお腹はすっかり大きくなっていて、さすがに同行をお願いする雰囲気じゃない。

 まぁユラがいるし、大丈夫さ。


 代わりと言うわけじゃないが、ドワーフ族のディノさんが一緒に来ることになった。

 魔導装置の修理を見たいという理由でだ。

 もちろん、彼はドワーフ族。職人であるのと同時に、生粋の戦士でもある。

 何よりタフだ。


 つまり今回も俺が最弱っと。


 まずは北東にある、ここから一番近い町アソールへと向かう。


「歩くとどのくらいかかるんだ、ユラ」

「そうね。私とあなたたちとでは、歩く速度が違うから……。それに、アソールからアリューケには、走って来たもの。参考にはならないわよ」

「そうか……」

「志導くん。地図を見る限り、たぶん一週間はかかると思うわ」


 レイアは古い地図を持っていた。これもおじいさんの持ち物だったらしい。

 その地図は古代魔法王朝だけが、わりと詳しく描かれた地図だ。

 ニーナに見てもらうと、魔王が現れる以前のものだということだった。


 各町は魔王配下のモンスターに蹂躙され、廃墟同然の建物だらけだろう。でも完全に消滅したわけじゃない。ボロボロだけど、町は残っている。

 古い地図でも、位置さえわかればそれでいい。

 問題は、アソールの町へのルート上にあるっていう魔導装置だな。


「ユラはそれっぽいもの、見なかった?」

「どうだったかしら……」

「魔導装置なんてもんが、ポンと地面の上に置かれているとは思わねえがな」


 そうディノさんが言うと、ユラがカチカチと爪を鳴らした。


「建物なら見たわ。でもどこだったかまでは覚えていないわね」

「いや、いいアドバイスになったよ。そうか。町にある魔導装置も、塔の中にあったもんな。ディノさんの言うように、平原にポンとむき出しで置いているなんて考えられない」


 探すべきは建物だ。それなら探しやすくなったぞ。


『主。地図ヲ見セテクダサイ』

「ん? いいけど。お前、地図の見方がわかるのか?」

『アッタリメーダ、テヤンディ。塔ハココト、ココデスネ』


 ん?

 ゴー助が何の迷いもなく、二カ所を指さす。


「まさかゴー助。魔導装置を設置した塔の位置がわかるのか?」

『ハイ。当タリ前デゲス。ゴーレムノ基本中ノ基本情報デス。魔導装置ノ点検、必須デスマス』

「点検って、魔導ゴーレムの仕事だったのか? じゃ、修理は!?」

『無理デスネ』


 ……点検するだけかよ。

 まぁいいや。塔の位置がわかっただけでも十分。


 さらにゴー助は、周囲の地形を確認しながら、現在地までバッチリ把握してくれた。

 夜になれば星の位置を見て、再確認。


『ワタクシノメモリヨリ、三百四十年ガ過ギテイマスネ。修正シマス』

「三百四十年が過ぎている?」

『ハイ。都市ノ魔導装置ノホトンドガ緊急停止シタノガ、三百四十年前ナノデス』

「そいつぁ、アレだ……。魔法王朝が魔王に滅ぼされた年なんだよ」


 そうか。

 そして何十年か前に、魔王を倒す手段を探して都市へ向かった人たちがいた。そのひとりがレイアのおじいさんでもあるけど、その時に誰から都市の魔導装置を起動させてしまった。

 しかも適当に障ったせいで、誤作動して暴走している。

 ゴー助はどうも、暴走中の記憶があまりないようだ。


 三百四十年という長い間に星の位置も微妙に変わっているらしい。

 その辺りは地球と同じなんだな。

 周りの景色、星の位置。そこからゴー助は正しい今の位置を割り出してくれた。


『オゥオゥ、明後日ニハ一ツ目ノ塔ヘ到着シマス』


 ゴー助の言う通り、翌々日のお昼前には塔へと到着。

 だが……。


「塔……とは言えないな、これは」

「ひでぁな。まぁ当時はモンスターが溢れ返ってたって話だ。こうなっても仕方ねぇわな」


 見つけたのは、塔の根本部分だけ。三メートルほどの高さから先はない。壁も一部崩落していて、本来の入り口とは別にもうひとつ出入りできる穴があった。

 こんな状況だ。当然中にある魔導装置は……。


「解析眼の結果だと、一から作り直した方がいいレベルの損傷だって……」

「な、直せそうなの?」

「うん、まぁね。ただ、新品を作るのと同じぐらいの素材が必要みたいだ」

「それで作り直した方がマシってことか」

「ンァ。作リナオスノカ?」


 修理できるなら修理するさ。ゼロから作るより、ほんの少しでも素材が少ないだろうしね。

 ただ、それでも不安はある。


「持ってきたミスリルとアメジスト、足りるだろうか」


 インベントリにタップリ入れてはきた。ここのは修理できると思う。

 けど、次の装置も同じような状態だったら、もしかすると足りないかもしれない。


 とりあえず万能クラフトを立ち上げて魔導装置の修理に取り掛かる。

 どこをどう修理するのか解析眼で見ながら、その内容をディノさんに伝えていった。

 修理工程は一瞬だけど、できるだけゆっくり、ゆっくりと念じながらスキル開始。

 これがよかったのか、いつもなら数秒から十数秒で終わる作業が、数分に渡って行われた。


「あとは塔も直さないとな」

『塔、デナクテモイイノデハ? 屋根、壁、ソレデ十分デショウ』

「まぁ、そうだよな」


 周りに転がっている瓦礫を集めてもらい、それでクラフトできるだけのものを建てた。

 四角い、ただの小屋になったな。

 

「やっぱり町の魔導装置を全部起動しないと、ここのは動かないみたいだな。スイッチを入れても、うんともすんとも言わないし」

『各町ヲ繋ぐコードニ魔導エネルギーガ流レナイト、起動シナイノデス。ドコカ一カ所デモ、エネルギーガ遮断サレマスト、全テ停止シマス。ソノヨウナ設計ニシタノガ、魔法王朝ヲ一瞬ニシテ弱体化サセタ原因デモアリマス』


 それぞれが独立していれば、結界を破壊するために全ての町と魔導装置を破壊しなければならなかったはず。

 でも、ひとつの町にある魔導装置を破壊するだけで、結界が壊れる造りにしてしてしまったばっかりに。

 設計した人は、絶対的な自信があったんだろう。

 

 でも、結果として古代魔法王朝を滅ぼしてしまった。

 

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