66:住民拡大→ゴー助。
「ほぉぉ。やはりスキルは便利なもんじゃな」
「昔、ポンっと作れるクラフト系スキルは職人たちが嫌悪しておったが、こんな世界になってしまえばどれだけ有用なスキルか、ようわかるわい」
「専門知識があるかないかは、だいぶん違うと思いますよ。それに、細かい部分がやっぱり難しいですしね」
この数日でドワーフ族が増えた。
岩山の帰りから始まり、レイアと休憩小屋の浄化再付与に行けば、そこでもドワーフを発見。
さらに数日後も、今度は自力でアリューケまで来た一行が合流。
あっという間に百二十ほどのドワーフ族がアリューケへと集まった。
ディノさんが暮らしていた集落のドワーフは、あと十数人ほどらしい。彼の兄でレイアのおじいさんの親友であるデュノさんがまだ……。
とまぁ、そんな感じでドワーフ族の仮住まいをクラフトしまくった。
魔王が現れる以前、彼らドワーフ族は穴を掘って暮らしていたという。ファンタジーでは定番な話だ。
だけど今はそれも難しい。
穴であっても、汚染された魔素が入って来るからだ。
まぁ入り口をしっかり扉で塞いで、レイアみたいな司祭にその扉を浄化してもらうか、土地神様から貰う浄化石を設置すればいいんだろうけど。
「それが可能ではあるけれど……」
「確かにわしらは山肌に穴を掘り、そこを住居として構えたい……という願いはある。だが他の町の土地神様を起こさねばならぬのだろう? わしらドワーフ族にとっても、土地神様は必要な存在だ」
「んだ。土地神様に祈って、神力を取り戻してもらうためだぁ。喜んで空の下で暮らすさね」
「すみません。新しい町の方では、ドワーフ族が快適に暮らせるように工夫しますので」
穴を掘ってそこを住居として使う。
平地でもそれは可能だ。
山肌を掘るなら、真っ直ぐ奥に掘り進めればいい。
平地であれば、地下に向かって掘り進めればいいだけだ!
ちょっと深めに掘れば、地上では畑を耕せる。土地の有効活用だろ?
そしてドワーフ族が来たことで、アリューケの開拓も加速した。
アッパーおじさんとカーラ、ユタにユラ、更にゴー助が炎で雪を溶かし、ドワーフ族が瓦礫を運ぶ。
彼らは見た目通り、パワーがあった。
数十キロもあるような瓦礫を軽々と持ち上げ、一カ所にまとめてくれる。
俺はそれをインベントリに入れるだけ。
わずか半月たらずで、アリューケの町の三割ほどが更地になった。
「かなり頑張ったのに、まだ三割か」
「それだけ大きな町ってことよ」
「そうだぜ、シド。ゼザーレの首都とそう変わらない広さがあるんだからさ」
「え、首都ってこんなものだったのか」
アルトやエリサ曰く、首都の建物は縦に縦に伸び、戸建てより集合住宅が多いとのこと。
狭い範囲で大勢が暮らそうとすると、行きつく先は異世界も地球も同じってことか。
「と言ってもぉ、五階建てが限界みたいだけどねぇ」
「ふぅん。でも俺がイメージしていた異世界の街並みとは違うな。俺の想像してたのは、アリューケみたいな感じだし」
「まぁ昔は、庶民の家といえば二階建ての戸建てだったんだけどな。今でも、魔素に飲まれた町が残ってるけど、そういうところはまさにシドが言った通りの街並みさ。もう人が住んでいないという点を覗いてな」
そうか……。大神の加護を得られた二カ所以外は、今は住む人もいないゴーストタウンと化しているのか。
もったいないな。そこに魔導装置を置ければ……。
いやいや。今は古代魔法都市の町を復活させることを考えよう。
俺はひとりしかいないんだ。あちこち同時にはできないのだから。
積雪量も減って来た今日この頃。
採掘好きドワーフのおかげで、珪砂と石灰石も十分に取れるようになった。
ガラスハウスも増えたが、増やし過ぎないようにしている。
雪が溶ければ、直接太陽の下で野菜を栽培したい。
まぁガラスハウスは残したまま利用するけれど。
そして、俺たちはついに次の町へ向かう話し合いを始めた。
大人数で行くわけにもいかない。魔導装置を修繕して、ドワーフ族が暮らせるようにするには何日もかかるだろう。
百人越えで行っても、困るのは食糧だ。
「まぁ俺が行くのは当たり前として」
「はい! わ、私も一緒にいくわっ」
「テヤンディ!」
『ワタクシモオ供シマス』
「私も行くわ。北東の町なら、以前住んでいたもの」
レイア、ユタ、ユラ、ゴー助か。
「オレも行こう」
「兄貴が行くならあたしも行く! あたしも志導と一緒に」
「ダメだ。パティは残れ」
「なんでだよ! いいじゃん、あたしだって少しは役に立つもんっ」
バサラはみんなのために、よく狩りへ出かける。
パティはバサラと二人暮らしだけど、実質、ひとり暮らしに近い。
寂しいに決まっている。
「バサラ、ありがとう。でもこれ以上の護衛は必要ないよ。ユタはもちろん、ユラもいるしね」
『主サマ、ワタクシハ』
「いや、お前の実力はまだよく知らないし」
『ガーン』
擬音を自分で言うな。
『ア、シカシレイア様ノ名前モ呼バレテイマセンネ。オ仲間デス』
「レイアは浄化魔法が使えるからもちろん、頼もしい仲間だ。魔法だけでなく、剣の腕も一流だしね」
「そ、そんなことないわよ。で、でも頼りにされてるなら、頑張るわ」
『ガーン。ワタクシダケ役タタズ!? コンナニ……コンナニ尽クシテイルノニ酷イ。遊ビダッタノネ!』
……また変なキャラになってるぞ。
あ、アルトの奴が笑ってやがる。
「アルト。お前か、ゴー助に変なことを教えているのは」
「え、何のこと?」
『ハイ。アルト様ハ心ノ師デス』
「アルトォ?」
「な、なんですぐバラすんだよ!」
ゴー助は素直だからな。
まぁだからこそ、変なことを教わって覚えてしまうわけだけども。




