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【書籍化決定!】転移した先が滅びかけ!?〜万能クラフトと解析眼で異世界再生スローライフ~  作者: 夢・風魔
2章

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57:無理しない→本日の予定。

「あ、うまっ。塩で焼いただけなのに、めちゃくちゃ美味い」

「でしょ? 残りは塩漬けにして、容器ごと雪の中で保存すれば二ヵ月ぐらい持つわよ」


 夜は湖で捕れた魚をさばいて、塩焼きにして食べた。

 炭火焼した魚は脂がしっかり乗って、高値で取引されるのも納得の美味さだった。

 約七十人で食べたが、魚の大きさもあって半身が残っている。

 あとで塩漬け用の壺でもクラフトしておくか。


 食後、さっそく壺をクラフトし、塩漬け作業は獣人族のおばさんたちにお任せ。


「すみません、お任せしてしまって」

「いいんだよ。あたしらにできることがあれば、なんでも言ってね」

「そうだよ。あんた、若いんだから無理し過ぎるんじゃないよ」


 若いから無理するな、か。

 前世では「若いんだからしっかり働け」って言われることの方が多かった気がする。

 なんかいいな、無理するなって言葉。


 けど、無理しなきゃいけないときはある!

 今日、雪を溶かしもらった場所は、残念なことに、今、降っている雪が積もるだろう!

 明日にすればよかったと少し後悔はしたが、基礎のクラフトも大事なんだ。

 カーラには悪いけど、明日、また溶かしてもらおう。

 そして溶かしたそばからガラスハウスを設置できるよう、今夜のうち気全部のパーツを完成させておきたい。

 

「じゃあ、志導くん。おやすみなさい」

「あ、レイア。食事の後片付け、ありがとう。じゃあおやすみ」

「おやすみぃ~、渡錬くん、アルトくん」

「アルトくんもおやすみ」

「うっす。おつかれとんとん」


 今日からレイアは、エリサと同居することになった。

 エリサの家は彼女の希望通りの造りにしてある。一階は手前に店舗、奥はキッチン・ダイニング。そして二階が寝室だ。

 まぁ店舗と言っても、ここにお金の概念はない。それでも、彼女が錬金する薬は、これから必要になる機会もあるだろう。そういう意味では、当分の間、作り置きした薬を置く場所として利用すればいい。

 エリサ自身もそう言って、この造りを望んだわけだし。


「残念だったなぁ、シド」

「何が?」

「何がって、レイアと二人っきりで、一つ屋根の下どころか、同じ部屋での同棲だったのに」

「同棲って、変な言い方するなよ。俺たちが同じ部屋で生活していたのは、他に場所がなかったからだ。あと、寒さをしのげる場所もこの部屋しかなかったからで」

「でもさお前、家だって万能クラフトスキルで作れたじゃん」


 まぁ確かにそうだけどさ。

 でも正直、人間二人とユタラプトル二頭、あとアルパディカだけの頃に、家を建てる必要性がまったくなかったんだよな。

 あと、優先すべきことが他にもあったし。

 食料の確保とかさ。


 そんな話をベッドに潜り込んでしていると、気づけば寝落ちして朝になっていた。


「うぐおぉぉ。さっみぃ」

「嫌だなぁ。また積雪増えてるんじゃなかぁ」


 さすがに一晩中、暖炉を点けておくわけにもいかず。朝は寒さで目が覚めてしまった。

 集合住宅のスライム暖房、ここでも使えないかなぁ。

 

 礼拝堂へ行くと、そこは暖かく。


「おはよう、ユラ。もしかして一晩中、火を点けてた?」

「おはよう、志導。もちろんよ」


 もちろん、か。

 藁の寝床では、ユタがまだ眠っていた。


「そうだ。アッパーおじさんがユラたちに、あったか石を用意してやるって言ってたよ」

「本当? よかったわ。寒いのは凄く苦手なのよ」

「みたいだね。今まで冬はどうしていたんだ?」

「古代魔法王朝の土地に来たのが五年前だけど、それよりも前はもっと南に住んでいたのよ。雪も降らないようなね。だけど汚染された魔素の量が凄く多くなってね」


 それで仕方なく、少しでも汚染の少ない地域を探して北上したのだと彼女は話す。

 アッパーおじさんと知り合ったのも、古代魔法王朝の土地に入ってから。つまり付き合いは五年ぐらいということだ。

 もっと長いのかと思ったけど、案外そうでもないんだな。


「ふわぁ~。おはよう、志導くん。ユラもおはよ」

「レイア、おはよう」

「おはよう、レイア。今日もエリサは起きてこないのね」

「あと一時間は無理かも」

 

 その一時間の間に、俺たちが朝食の用意をする。

 と言っても、獣人族のおばさんたちのおかげで、朝食の用意はあっという間にできてしまうんだけど。

 エリサには悪いが、早起きしてもらわないとな。


『おはよう、なの』

「ニーナ。おはよう。もうひとりの土地神様はどうだい?」

『また、寝てるの』

「はは。エリサみたいだな」


 そう言うと、ニーナは小さく笑った。

 それから俺たちは、魔石の中で眠る土地神様にも朝の挨拶をする。

 だんだんとみんなが起きてきて、赤ん坊を抱いたお母さんたちが順番に、魔石の中の土地神様へと挨拶にやって来た。赤ん坊は自分たちが何をすべきなのか知っているようで、近づいただけで魔石をペチペチと叩いている。

 そのたびに、魔石から淡い緑の光が漏れた。


 次にやって来たのはアルパディカ一家。彼らはちゃーんと、自分たちの朝食を収穫してきていた。

 しかも既に洗った状態だ。


 で、最後に姿を現したのが。


「ううぅぅん……」

「お、エリサが起きてきたな」

「お寝坊お姉ちゃんだ~」

「ほらぁ、お姉ちゃんこっちに座ってぇ」

「ううぅぅぅん」


 寝ぼけ眼のエリサが席に着いたところで、もう一頭の寝坊助も起きてきた。


「ンアァ」

「ユタ、ご飯だぞ」

「ゴアン……アッ! ゴハン!!」


 ご飯、と聞いただけで、こちらは完全に目が覚めたようだ。食い意地の勝利だな。

 

「よし、みんな。それじゃあいただきますをしよう」

「「は~い」」

「今日もこうしてご飯が食べられるのは、ニーナがずっとこの町を守ってくれたおかげだ。ニーナ、ありがとう」

「ありがとう、ニーナちゃん」「ありがと~」「ありがとうございます、ニーナ様」


 みんながニーナにお礼を言う。それを聞いてニーナが照れたように笑い、ぽぉっと温かい光を放つ。

 ニーナ曰く、その光は神力が増えている証なのだとか。


 朝と夜はかならず、こうしてニーナへ感謝の祈りを捧げる。彼女の神力を満たすために。

 そうすればニーナは消えない。ずっとこの町を守ってくれる。

 もうひとりの土地神様も、そうなって欲しいと思う。そのためにも、目を覚ましたらまずは名前を聞かなきゃな。祈りを捧げるための名前を。


「志導くん。今日の予定は?」


 月が沈んでしまったので、レイアは猫の姿に変身していた。

 毎朝、急いで朝食を用意し、月が沈む前に猫に変身できるよう、部屋で待機する毎日を送っている。

 ただ、夏になると日の入りが速くなるから、食事の用意もできなくなるだろうって。

 まぁそこはおばさんたちと相談だな。きっと快く引き受けてくれるだろう。


「今日の予定は、いっぱいあります。みんなの手伝いが必要だ。よろしく頼むよ」

「もちろんよ、志導くん。猫の手が必要な時は言ってね」

「あぁ、もちろんだよレイア。猫の手だって借りたいぐらいだ」


 まずはガラスハウスを設置して、中の土を耕して、それから野菜の種を蒔いて。

 アルトとバサラには、狩りにも行って欲しいな。人が増えた分、保存用の肉も足りなくなるだろうし。

 あぁ、そうだ。鉄を集めないと。

 いつまでみんなが集まって食事をするのか、まだ考えていない。

 各家庭で食事を作るにしろ、ここで全員分を作るようにするにしろ、鍋が足りない。

 

 町で鉄をかき集めてクラフトしよう。

 よし。俺の今日の予定は、

 一、ガラスハウスの設置。

 二、鉄集め。

 三、鍋のクラフトだ。


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