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【書籍化決定!】転移した先が滅びかけ!?〜万能クラフトと解析眼で異世界再生スローライフ~  作者: 夢・風魔
2章

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56:異世界版雪かき→魚。

「じゃあ行ってくるぜ」


 そう言ったアッパーおじさんは、燃えていた。


「うわあぁぁぁ、おじ、おじさん!?」

「なんでぇ?」

「いやなんでぇって、何で燃えてるんだよ!?」

「あ? 雪を溶かして道を作るためだろい」


 確かに溶けている。

 全身炎に包まれたアッパーおじさんの周辺は雪が解け、地面が見えていた。


「おっし、んじゃ行くぜ。ディア、頼むぞ」

「任せられよ、夫殿」


 ディアに頼む? いったい何を。

 そう思っていると、燃えているアッパーおじさんがすたすた歩きだす。

 その後ろをやや遅れてディアが。

 すると、アッパーおじさんの炎で溶けた雪が、ピキピキと凍っていくではないか。

 しかも凍っているのは壁になる部分だけ。

 なるほど。これで溶けた水分で足元が水浸しになるのを防いでいるのか。

 

「でもなんでおじさんは燃えているんだ?」

「志導くん、あれ、フレイム・ボディっていう炎属性の魔法よ。炎を纏って、触れるものにダメージを与えるっていう。まさかこんな使い方するなんて、思わなかったけど」


 今はまだ、猫の姿のレイアが教えてくれた。

 まだ誰もこんな使い方、思いつかないよな。


 雪原と化した場所を、アッパーおじさんが先導する形で進んでいく。


「ユタ坊とユラに、あったか石を用意してやんねぇとな」

「あったか石?」

「炎を込めた魔石のことだ、志導殿。それを身につけていれば、込めた炎が消えるまでは暖かいのでな」

「あ~……ユタもユラも、暖炉の前から動かないもんなぁ。あ、それって町の雑貨屋に置いてあった魔石とは違うのか?」

「火を出すか、込めたまま熱だけ伝えるかの違げぇだな。わしが言ってんのは、後者だ。店に置いてんのは前者のほうだぜ」


 ふぅん。そのあったか石はカーラが作れるそうで、必要なのは魔石だけ。

 町の店にあるのは古いものだから、壊れる可能性もある。壊れると、辺りに炎をぶちまける……と。

 ヤバいじゃん。


 湖に到着し、持ってきた木材と瓦礫で小屋をクラフトする。

 入口はアルパディカが通れるよう、やや大きめに。窓はなし。縦横十センチの空気穴を三カ所ぐらい空けた。

 あと、暖炉も用意。

 薪も十分用意し、アッパーおじさんが火を点けた。


「じゃ、レイア。荷物ここに置いておくから」

「えぇ、ありがとう。志導くん」


 少しでもエリクサーポーションを節約するために、ここまでは猫の姿で来た。

 午前中に二滴、午後に二滴使って、その間に狩れるだけ狩る。

 狩った貝は、昼過ぎに俺が回収しにくるから、それまで置いておいてもらう。


「じゃあみんな、よろしく」

「おぅ。任せとけ」

「寒そうだなぁ」

「そのために志導くんが小屋と暖炉を用意してくれたんでしょ。さ、冒険者の腕の見せどころよ」

「そうそう。冒険者としてのアルトの活躍を、期待してるから」


 その雄姿を俺は見ずに、ディアと一緒にアリューケの町へと戻った。






「カーラもフレイム・ボディってのできるのか」

「あぁ、もちろんさ」


 町へ戻ってくると、アッパーおじさんが作ったのとは違う道ができていた。それを作ったのは、奥さんのひとり、カーラだ。

 彼女の得意属性は炎。アッパーおじさんと同じ魔法は使えるってことか。

 カーラが作った道を、ディアが凍らせていく。

 その道を通って、みんな畑の方へと向かう。

 俺も今のうちに、ガラスハウスを建てるための枠組みをクラフトしておこう。


「カーラ。畑の雪も溶かしてくれないか? ガラスハウスを追加で建てるスペースが欲しいんだ」

「お安い御用よ。ニンジンハウスも増やしてくれるならね」


 そう言ってカーラがウィンクする。

 はぁ……ま、一棟ぐらいならいいか。


 瓦礫で枠組みを建てるための基礎を作って、ぐるっと畑を囲んでおく。同時に枠組みもクラフトしておいて、完成品はインベントリの中へ入れたままに。

 ガラスの材料が揃えばクラフトし、枠組みと合体させて基礎のところへ設置するだけだ。

 元々あったガラスハウスは全部で十棟。

 ジャガイモ、タマネギ、キャベツ、カボチャ、トウモロコシで一棟ずつ、トマトとナス、ピーマンで一棟、サトウ草と枝豆で一棟、そしてニンジンは三棟ある。

 

「渡錬くんっ。お願いがあるんだけどぉ」

「ん? お願いって、なんだい、エリサ」

「うん。薬草用のガラスハウスも欲しくって」


 薬草か。それは絶対にあった方がいい。


「志導殿。里から種を持って来たんだ。それも頼めるだろうか」

「食材が増えるのは大歓迎さ。何の種だい?」

「サツマイモと、それから……」


 サツマイモ、それからめちゃくちゃ嬉しいのは、コショウの種だ。他にもレタスとキュウリ、あとはここでも採れるニンジンやタマネギの種だ。

 

「よぉし。ジャガイモ畑から、種イモを掘り起こしておいてくれるか~」

「アタシやっとく。ミミ、ルチェ、手伝って」

「「は~い」」

「じゃあ他の人は、収穫できそうな野菜を。あ、種も必要だし、わざといくつかは残しておいてね」


 そうして収穫した野菜は、教会横に新しく建てた食糧庫へと入れておく。

 畑の空いたスペースにはすぐ次の種を蒔いた。


 一気に人が増えたし、またしばらく贅沢はしないようにしなきゃな。


 獣人族のおばさんたちが昼食を用意してくれた。肉がたっぷり、野菜少しのあったかスープ。

 それを食べ、もうひと働きした後で湖へ。


「おーい。おつかれさ~んって、随分狩ったなぁ」

 

 小屋の脇に山積みされていた貝は、ざっと五十個はあっただろうか。

 貝柱も干しておけば、良い保存食にもなる。

 それらを全部インベントリに入れると、猫の姿に戻っていたレイアがそばへやって来た。


「お疲れ、レイア。寒さ、大丈夫だったか?」

「うん。小屋の中が暖かかったし、大丈夫。それよりね、志導くん。魚が捕れたの」

「お! 今夜は魚料理か。いいねぇ」

「ふふ。白身で美味しい魚なの」


 湖の魚なら淡水だし、ヤマメとかイワナとか、そういう感じの魚だろうか?

 レイアに連れられて小屋の反対側へ行くと、雪でこんもりしたものが。

 なるほど。天然の冷凍庫か。しっかし、いくらなんでも雪、積み上げ過ぎじゃないか?

 軽自動車なみの山になってんだけど。


 その雪を掻き分けると、出てきたのは……一匹。


「あの、レイアさん」

「なぁに、志導くん」

「これ……魚?」

「えぇ。グレイトロックフィッシュよ」


 いかつい名前だな。ロックフィッシュ……イワナかよ!

 いや、それよりも。

 雪の下から出てきたのは、体長三メートルを超す巨大魚。

 いかついのは名前だけでなく、顔もだ。牙が凄い。


「モンスター?」

「そう。でも美味しいのよ」

「聖都に持って行けば、これ一匹で二ヵ月分の宿泊費になるんだぜ」

 

 とアルトも笑顔だ。

 この世界に普通の動物とか魚とかを食べる習慣はないのかよ。

 

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