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【書籍化決定!】転移した転移した先が滅びかけ!?〜万能クラフトと解析眼で異世界再生スローライフ~  作者: 夢・風魔
2章

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41:合言葉→恩返し→でれ。

「はぁ……嫌だなぁ……この合言葉」

「え、嫌って、どういう内容なの?」


 隷属の首輪を外すには、設定された合言葉を唱えるだけで外せる仕組みだった。

 もちろん、その言葉を知っていなければ外す事はできない。無理に外そうとすれば激痛が全身を襲うと解析結果に出ていた。

 その合言葉だが……さすが鈴木だなって内容だ。

 レイアに耳打ちすると、彼女も苦笑いを浮かべた。


「手伝うわね」

「うん、頼むよ」

「なんでぃ。そんな変な言葉なのか?」

「まぁね。んっんっ――『天下無双、無敵の究極アルティメット鈴木尚人』」


 ()()の首輪に触れた状態で合言葉を口にすると、隷属の首輪の留め金がシャキっと音を立てて開いた。

 たったこれだけで首輪が外れたのだ。


「は、外れた……本当に外れた!?」

「ぶはっ。な、なんちゅー合言葉だ。確かにこいつぁ、唱えたかねぇよな。ぶわっはっはっは」

「笑ってないでアッパーおじさんも手伝ってくれよ」

「わしゃ手がねぇ」


 そうだった……。

 じゃあ獣人族にお互いでと思ったけど、こちらも無理とのこと。


「お前ぇ、気づいちゃいねえな。そいつはな、解除するにもある程度の魔力が必要なのさ」

「え、そうだったのか?」

「そうよ、志導くん。これ、魔法のアイテムだから使うにも解除するにも、魔力が必要なのよ」


 そういや獣人族は極端に魔力が低いって言ってたな。だから解除できないのか。

 俺とレイアで手分けして隷属の首輪を外して回る。

 獣人族は全部で二十五人いて、気づけば順番待ちの列が出来ていた。


「天下無双、無敵の究極アルティメット鈴木尚人――っと。これで最後だよね?」


 見渡して、まだ首輪が外れてない人はいないか確認する。

 そういや、途中で逃げた獣人族もいたっけな。


「パティ、大丈夫か? 首は痛くないか?」

「兄ちゃん、アタシは大丈夫。兄ちゃんの方こそ怪我をしてるじゃん」

「見せて。私が治してあげるから」


 兄貴と呼ばれた男の腕からは、今だに出血していた。ユタにつけられた傷だ。それをレイアが魔法で治癒する。


「傷が浅くてよかった。ユタが本気を出してたら、もっと深い傷だっただろうし」

「す、すまない……。お前たちを襲ったというのに、逆に助けられてしまった」

「いいのよ。お礼なら志導くん……彼に言って。彼があなたたちを救おうとしたのだから」


 えぇっ、お、俺?

 いや、俺はなんていうか……鈴木みたいな奴に命令されている獣人族が不憫に思えて、それで。


「もちろん。もちろんだとも。いや、もちろんです志導様」

「うぇ!? し、志導様? い、いや、そんな様って呼ばれるようなことは――」

「そんなことありません志導様っ。お命を狙おうとしたアタシらに、救いの手を差し伸べてくださったんだ。アタシらは志導様にご恩をお返ししなきゃ。ね、兄ちゃん」

「いやいやいや、そんな恩返しなんて」


 元はと言えば鈴木が全部悪いわけで。同じ世界の、同じ学校の、同じクラスだった俺の方が、申し訳なく思うのに。

 それに。

 彼らはボロボロだ。戦闘でボロボロになったんじゃない。

 初めから、着ている服はもちろんだけど、痩せ細っているしあちこち擦り傷青痣だらけだったし。そんな彼らに恩返しをしてもらうなんて。


「志導。散り散りに逃げてた獣人たちを捕まえて来たわ。どうする……あら、みんな解放したのね」

「隷属の首輪、どうやって外したのだ志導殿」

「あ、姿が見えないと思ったら奥さんたちは彼らを追いかけていたのか。首輪の方は俺の解析眼で、外すための合言葉がわかったからさ。それでね」

「便利なスキルねぇ~。この子たちね、一度は逃げたけど仲間が気になってたんでしょうね。その辺の空き家に隠れてたのよ」


 なるほど。そして奥さんたちに捕まったのか。あまり抵抗した様子もないし、仲間がいるから大人しく連行されてきたようだ。


「バ、バサラ。どうして自由に!?」

「志導様が外してくださったのだ。お前たちも彼に頭を下げて許しを乞え。そうすれば――」

「いやいや、頭なんて下げなくていいから。と、とりあえず並んで。レイア、まだいける?」

「もちろんよ。私より志導くんが心配。眩暈がしたり、力が抜けて立ってるのも辛いとかはない?」


 眩暈はないけど、力か……。首輪を外すとき、確かに首輪の方に何か吸い取られている感じはするけど。立っているのも辛いとか、そういったことは一切ない。

 

「んー。いや、ないけど。どうして?」

「魔力が減り過ぎると、そういう症状が出るの。それでも無理して魔力を消費すると、倒れちゃうのよ」

「魔力が枯渇すんだよ。気を付けねぇとは、ヘタするとおっ死ぬこともあんだぜ」


 うわ、マジか。


「だけど志導の魔力は、結構多いわよ。魔術を使わないのがもったいないぐらいだもの」

「おう。かーちゃんの言う通りだぜ」


 魔術かぁ。でも俺、魔法スキル持ってないし。


「アッパーが教えてあげればいいんじゃない?」

「オッチャ、オシエテヤレヤ」


 あ、ユラ!


「ユラ、おかえり。駆け付けてくれてありがとう。助かったよ」


 ユラの側にはユタがぴたっとくっついている。よっぽど嬉しいんだろうな。

 ったく。まだまだ甘えん坊だよ。


「べ、別に戻る予定ではなかったのよ。でも、あいつらがね、町の様子を窺っていたからちょっと、ちょっとだけ気になったの。心配とか別にしていないわ」


 まったく。素直じゃないなぁ。


心配(しんぺ)ぇしてたんだろう? 素直になれよぉ、ユラ」

「うるさいわねアッパー! おだまりっ」

「げはっ」


 ユラの尻尾がアッパーおじさんの横腹にクリーンヒットする。

 余計なこと言わなくてよかった……。


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