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【書籍化決定!】転移した転移した先が滅びかけ!?〜万能クラフトと解析眼で異世界再生スローライフ~  作者: 夢・風魔
2章

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39/49

39:バトル→獣人→勝ち確。

 こちらはちょっと長めの木製バット。相手は剣を持っている奴がほとんど。

 どうなるかと思ったが、案外なんとかなっている。

 やっぱり、リーチが長いって点は有利なようだ。あと、振り回すだけでいいっていうのも利点だろう。

 もちろん、相手に弾かれるリスクを考えて振り回さなきゃならないが。


 力任せに振り回すな。バットに振り回されるな。大振りして躱された後、反撃されたらひとたまりもないぞ。

 そう言い聞かせ、なんとか立ち回っている。

 それが出来ているのも、足元にいるユタのおかげだろう。

 ひとりを秒で倒したこともあり、奴らはおよび腰になっている。それもあって一度に突っ込んでくることがなく、押すな押すなな状態で律儀にひとりずつ来てくれた。

 更にユタはタタッと駆け出しては、悪党どのも足に爪を立てていく。

 足を引きずりながら俺を襲おうとやって来るが、さすがになぁ。


「ぅらあっ!」

「ぐああぁぁっ」


 やや上気味にバットを振りかぶって、ひとりをぶっ飛ばす。横から来た奴は痛烈なピッチャー返しをイメージしてバットを見舞った。

 息が切れない、というのも強みだな。こんだけ激しく動いても、疲れをまったく感じない。


「ああぁ、クソが! おい、奴らを出せっ」


 鈴木が苛立ってるな。あいつ、短気だからなぁ。

 ん? 増援?

 って、動物のような耳と尻尾――獣人か!?


「おい、お前らっ。あいつだ。あの男を捕まえろ! 手足の一、二本取れたってかまわなえぇ。生きたまま捕まえりゃ、ご褒美をやるぞ。そうだな……自由にしてやろう」

「あいつを捕まえれば、自由……」

「自由だ。自由が手に入るんだ」

「お、おい、ちょっと待ってくれ。鈴木の、あいつなんかの言う事は聞く必要ないって」


 ヤバい。獣人たちの目がイってる。


「俺の言うことを聞かなくていい? おいおい、渡錬。この世界のこともよく分かってないくせに、適当なこと言うなよ。いいか、言うことを聞かなかったら、こうなるんだよ! バンッ」

「バン?」


 何を言っているんだ、こいつ。


「ぐっ。うぐぐっ」

「や、止めて、くれ……」

「捕まえる、つか、捕まえるからっ、止めてくれっ」


 ど、どうなているんだ。急に獣人族が全員、苦しみ始めた。

 な、なんだこれ? なんで急に……まさか、何かの呪い?


「ストォーップ。な、どうだ渡錬。合図一つでこいつらに苦痛を与えられるんだぜ」


 鈴木、やっぱりお前か。なんてことするんだ、こいつは。

 

「鈴木……ロクな奴じゃないのはわかってたけど、ここまでとはな」

「誉め言葉として貰っとくぜぇ。さぁ、かかれ!」


 獣人族が一斉に飛び出してくる。


「シャアァァァーッ!」


 ユタが威嚇して負けじと飛び出した。

 獣人族は躊躇せず、そのまま突っ込んでくる。

 早い!?


 あのユタの攻撃を避けつつ、反撃までしてるぞっ。


「あ……しまったっ」


 見てる場合じゃなかった。複数人いる獣人族のうち、二人が俺の方へと向かってきた。


「志導くん!?」

「レイア、そっちにも行ったぞっ」


 こっちはこっちでなんとか――。

 ジャキンっと音がして、飛び掛かって来た男の爪が、伸びた。

 ちょ、反則だろそれ!


 振り下ろされる鋭い爪は、キーンっと甲高い音と共に弾かれた。


「ぃよう」

「ア、アッパーおじさん! いつまで隠れてるのかと思ったぞっ」

「悪ぃなぁ。苦戦しねえだろうと思ったんだが、状況が変わっての」

「状況って、獣人族か?」


 獣人族の爪を弾いたのはアッパーおじさんだった。しかも毛で。

 あんなにふわもこして暖かい毛が、なんで鋭い爪の一振りを防げるんだ?


「獣人族ってのはな、とにかくすばしっこいんだ。それに、お前ぇも見ただろ、あの爪。一部の獣人はな、爪を自在に伸ばせるのさ。その爪はぁな、刃物みてぇにスパッとなんでも切りやがる」

「その爪の攻撃を受けても、毛が切れてないのはなんでだよ」

「かーっかっか。わしらアルパディカは、魔力を毛に流して防御できっからな。お前には出来ねえだろ」


 出来るわけない。


「まぁ弱点はあんだよ」

「弱点?」

「あぁ。あいつらな、魔力が極端に低くてよ。魔法攻撃にゃあ、激弱なのさ。ま、当たれば、だけどよぉ」


 あ、当たれば、ね。


「ユタ坊。お前ぇは人間の悪党を相手にしな。獣人族はわしらがやる」

「クアァァ」

「不貞腐れんじゃねえ。適材適所って奴だろうが」

「……ワカタッ」


 ユタは気を取り直して、人間だけに的を絞って駆け出した。

 獣人族は――追わない。彼らの狙いは俺だからな。

 アルパディカが現れ、一瞬だけ彼らは身構えた。が、一瞬だけだ。すぐに俺を捕まえようと突っ込んでくる。

 そこへアッパーおじさんが雷をほとばしらせた。


 何人かが回避し、ひとりが感電してその場に倒れる。痙攣をしているから死んだわけじゃない。

 しかし広範囲に四散した電流を躱すとは。反射神経が鬼すぎるだろ。


「渡錬いぃぃぃっ」

「鈴木!?」


 痺れを切らせたのか、鈴木が突っ込んできた。

 ――が。


「ククククククク、クアァーッ!」


 ユタが猛スピードで駆けてきた。

 俺は見た。鈴木の顔はニヤリと笑うのを。

 こいつっ――。


「ユタ、来るな! 罠だっ」


 だけど遅かった。ユタは跳躍し、鈴木の顔目掛けて飛び掛かっている。

 鈴木はそれを、()()()ことで回避。


「クアッ」


 着地したユタがすぐさまくるりと振り返るが、そこに鈴木がいた。

 マズい……いや、違う。

 はは、まさかこんな近くにいたとはな。


「よぉ、おチビちゃん」


 剣を振りかざした鈴木。お前の負けだ。

 奴は手にした剣を、ユタに向かって振り下ろそうとしたが――それは叶わなかった。

 何故なら、その刃は既にないからだ。


「こんばんは、おチビさん」


 ポトりと落ちた剣の刃。そうしたのは、


「カッチャ!!!」


 ユラだった。


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