表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定!】転移した転移した先が滅びかけ!?〜万能クラフトと解析眼で異世界再生スローライフ~  作者: 夢・風魔
2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/49

35:やる気→元気→水も滴るいい男。

「んなもん、ちまちま集めるのは大変だろう。怪我ぁだってするしよ」


 翌朝。さっそくガラスの破片を拾い集めていると、アッパーおじさんがやって来た。

 言われるまでもなく大変だし、さっきから何度も指先を切っている。そのたんびにレイアにヒールしてもらうという、非効率的なことをやっていた。


「志導くん。アッパーおじさんの意見に賛成よ。あ、別にヒールするのがどうこうじゃなくって、それは平気なの。でも怪我は治せたって、切った瞬間の痛みがあるでしょ?」

「う、うん、まぁ。けどガラスハウスを作った方が、冬場でも野菜の育ちが良くなるだろうし」

「んなにいぃーっ!? そ、それは本当か?」

「ニンジンの育ちがよくなるですって!?」


 いやそこ、ニンジンだけピンポイントじゃないから。


 集まってきたアルパディカたちに、ガラスハウスのことを伝える。

 ガラスで作った小屋の中で野菜を育てる――そういう説明だ。寒い冬空の下でも、ガラスハウスの中は温かい。そしてガラスだからこそ、太陽の光も届く。


「なるほどねぇ。お前ぇ、すげぇ賢い奴だな」

「い、いや、ははははは」


 ガラスハウスはこの世界にないようだな。家の窓には使われているけど、農業用に使うって考えが浮かばなかったのかな。

 いや、何百年も魔王の脅威に晒されていたんだ。考える余裕がなかったのかもしれない。


「だからさ、ガラスがいるんだよ。破片でもいいんだ。俺の万能クラウトがあれば、再成形して合体できるから」

「おぉおぉ、だったらわしらも手伝うぜ。な?」

「もちろんよ。ニンジンのためですもの」


 協力を申し出てくれるのはありがたいんだけど、その足でどうやってガラスの破片を拾うのか。


「ふふ。アッパーおじさんたちの足じゃ、ガラス片は拾えないんじゃない?」

「うっ。そ、そうだな。わしとしたことが……」

「ね、アッパーおじさんはこの辺りに詳しいんでしょ? どんなモンスターがどこに生息しているかとか、わかる?」

「お、もちろんだぜ。なんでも聞いてくんな」


 ん? レイアは何を聞こうとしているんだ?


 




「はあぁぁぁっ!」

「そいつの身はぶよぶよして不味いが、貝柱はなかなかいけるぜ」

「ンクアァーッ」


 ……俺の目の前では、奇妙な光景が広がっていた。


 貝狩りに行きましょう。


 というレイアの言葉に、彼女がやろうとしていることはすぐに理解。

 ガラスを作るための素材である石灰は、珊瑚や貝殻から出来ている。化石のように長い年月をかけ、蓄積されたそれらが石灰岩や石灰石になるわけだが、貝殻を燃焼させて粉々にしたものでも代用出来た。

 だから、貝を()()に来たってわけだけど。


 か、狩りね。うん。


 レイア、ユタ、アルパディカ一家が狩っているのは、幅二メートルを超える巨大な二枚貝。

 アリューケの町から北東の山の麓に湖があって、そこにこいつらは生息している。

 水面を叩くと水中から飛び出してくるこいつらをおびき出すために、その辺の木を使ってなが~い棒をクラウト。

 離れた場所から棒で水面を叩くと、突然、ザッパァーっと水しぶきを上げて貝が飛び出してくる。

 二メートルの巨大貝だ。恐ろしいなんてものじゃない。

 それをレイアたちは、嬉々として狩っている。


 狩り方はこうだ。

 湖の底の柔らかい砂の中に潜っている貝を、水面を叩くことでおびき出す。

 パカァーっと開いて飛び出してきた奴に棒を突っ込むと、貝を閉じて獲物を逃がすまいとする。

 そこで棒を引き、地面に打ち上げるってわけだ。

 あとはアッパーおじさんがピリっと電気を流せば、貝どもは驚いて口を開く。中には気絶するkものもいるようだ。そこをレイアやユタ、奥様方が止めを刺すってわけ。


「志導くん、回収お願い」

「あ、うん。任せてくれ」


 というか、俺にはそれしか出来ない。

 あんなデカい貝と戦える気がしないんですけど!


 レイア……風見さん、凄いな。この世界で生まれ育ったってのもあるんだろうけど、いやほんと逞しいよ。

 見習わなきゃな。


 何十匹という貝を収穫し、貝柱も相当な量になった。これ、干物にすれば日持ちもするよな?


「戻ったら貝柱を浄化するわね」

「あぁ。頼むよ、レイア。この貝柱さ、干物にしないか? 雪が積もってからの貴重なたんぱく源としてさ」

「そうね。いいと思う。あてと、あとは珪砂だけど……。おじさん、この辺りに砂は見なかった?」

「砂ねぇ……砂ぁ……」


 いや、砂ならすぐそこに。


「レイア。砂ならそこにあるじゃないか」

「え? そこって、どこ?」

「そこだよ。この貝ども、砂に潜ってたじゃないか」


 俺がそう言うと、レイアとアッパーおじさんが顔を見合わせて「「あぁー!」」と叫んだ。隣にいたユタも、一呼吸おいて同じように叫ぶ。


「珪砂と石灰、同時にゲットってね」


 水辺に近づいてその下にある砂を掬おうとして手を伸ばした。

 その瞬間、水面からぷくぷくと泡が……うわっ、まだいたのか!?


 砂から飛び出してくる貝が見えた。

 咄嗟の出来事で、思わず俺は万能クラフトの画面を開いてしまい、そして……設置した。


 ドチャン、バキバキッ、メキッ。


 目の前で水しぶきがあがり、巨大貝が同じような巨大瓦礫に押しつぶされる。


「し、志導くん!?」

「おほぉー、やるじゃねえか。なんでぇ、お前ぇさん戦うスキルも持ってたのかよ」

「アッ。シドー、ヤルジャネェカ」


 戦えるスキル……いやこれ、インベントリに入ってる瓦礫を、そのまま上から()()()()だけだから。


 あぁ、びしょ濡れだ。ちめてぇ。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ