表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移した先が滅びかけ!?〜万能クラフトと解析眼で異世界再生スローライフ~  作者: 夢・風魔


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/11

10:猫→レイア→解析。

 お昼を過ぎても、レイアは戻ってこなかった。

 心配になって探しに行こうとしたがユラに止められ、気づけば時刻は夕方。


「大丈夫かな……レイア……」

「大丈夫、よ」

「ジョーブ。ジョッ」


 ユタの言葉は、まだたどたどしい……なんてものじゃない。明日、また言葉を覚えるミッションをやらなきゃな。それとも発音だろうか?


「はぁ……先に晩飯の支度をするか。といっても、肉を焼くだけの簡単なものだけど」

「ククククク」

「お前も焼くのか? ユラ、肉って焼いた方がいい?」

「生で」


 キリっとした顔でユラが即答する。

 ですよねー。


「あれ? そう言えば猫は……。ユラ、猫はどこにいったんだ?」

「アグ……んっく。猫は……」


 血が滴る兎肉を頬張っていたユラ。俺の質問には答えず、その視線がすぅーっと教会の入り口へと動いた。

 陽が傾き、薄暗くなり始めた空が、壊れた教会の扉からわずかに見える。

 そこに、小さな影が現れた。


「猫!? お前、どこに行ってたんだよっ」


 現れたのは銀色の毛並みの猫。あの猫だ。


「にゃ……」

「心配したんだぞ、まったく。これであとはレイアが戻って来てくれれば、一安心なんだが」


 昨夜の様子からして、彼女は強い。だからって心配しないわけないだろ。


「に……――なの」

「ん?」


 今、猫が……。


「私なのっ」

「ね、こ……猫が喋ったああぁぁぁぁぁっ!?」

「私がレイアなのおぉぉぉぉっ」

「な、なんだっ――え? レ、レイア?」


 コクリと頷く猫。その声は確かに、レイアのものと似ている。

 銀色の毛並みの猫。

 銀髪のレイア。

 青い瞳の猫。

 青い瞳のレイア。


「ほ、本当に、レイア?」

「ん……見てて。もうすぐ私、戻るから」

「もうすぐって……え、ええぇぇ!?」


 猫の体が光り出す。それと同時にぐんぐんと光が大きくなり、やがて人の形へと変貌した。

 壊れた扉の向こうから、ほんの少しだけ月が見え、その月を背に――。


「キャーッ。やっぱり見ないで志導くん!」

「え? え? えええぇぇーっ!?」


 月を背に、その場で蹲るレイアの姿があった。

 彼女は――全裸、だった。






 レイアに頼まれて、塔の近くの茂みへとやって来た俺とユタ。

 

「あった。これか」

「クアッ」


 茂みの中に置かれた巾着を拾う。

 この中に服やら剣やら荷物が入っているそうだけど、俺のクラフトインベントリと同じような仕組みなのかな。

 これを持って教会へと戻るが、中には入らない。だって中には服を着ていないレイアがいるのだから。


「レイアー。今ユタに巾着を渡したからー」


 教会の外からそう声をかけ、ユタに巾着を持たせて中へと入らせた。

 暫くして「入って来ても大丈夫」というレイアの声が聞こえ、俺も中へと戻る。

 

「に、荷物ありがとう」

「い、いや……えっと……」


 な、なんて切り出そう。

 猫が本来の姿? それとも人間が本来の姿?

 レイアは人間? 獣人? モンスター?


 そんな疑問が一度に頭の中に浮かぶ。

 たぶん、それが顔に出ていたんだろうな。


「私……月が出ている時にだけ、人の姿に戻れるの」


 と、レイアの方から話してくれた。


「月がってことは、日中は猫に?」

「うん。そういう獣化の呪いを受け継いでる家系なの」

「の、呪いだって!」

 

 思わず出た声は意外なほど大きく、俺たち以外誰もいない町に響いてしまった。


「じ、じゃあ、古代魔法王朝の地下迷宮で探したいものって」

「呪いを解く方法。あそこならきっと、それがわかると思って。おじいちゃんもそう言ってたし。あ、私のおじいちゃん、冒険者だったの。地下迷宮にも一度だけ行ったことがあって」

「そ、そっか……はぁ、でもよかった」

「え? よかったって……」

「レイアも猫も無事でよかったってこと。急にいなくなるんだからさ、心配したよ」


 でも実はそこにいたっていうね。

 あれ? もしかしてユラは気づいていたのか? レイアが猫だってこと。

 そう思ってユラの方に視線を向けると、なんだか笑っているように見えた。


「でも、どうしてその話を俺に? 猫に変身することは、話したくなかったんじゃ」

「それは……心配、させたくなかったから。思い切って話してしまった方がいいのかなって」


 確かに話して貰わなければ、この先もずっとレイアと猫を交互に心配しなきゃいけなかっただろう。


「ありがとうレイア。君にとって他人に知られたくないことだっただろうに。教えてくれて、ありがとう」

「志導くん……い、いいの。ここは魔法王朝だもん。呪いのなどを解くカギも、すぐそこにある。もう隠さなくてもいいんだから」


 呪いを解くカギ……魔法王朝の地下迷宮。

 そこへ行くには当然、中心にある都市へ行かなきゃダメなんだろうな。

 俺に出来ることがあれば――そうだ。解析眼!?


 呪いの種類とか、なんだったら解除の方法とかわかったりしないか?

 俺の解析眼、レイアの呪いを解析しろ!


 さぁ。さぁ!

 さ――、出た!

 

「どうしたの、志導くん?」


 これは……。


「レイア、君に大事な話があるんだ」


 レイアの姿を正面から見つめ、その彼女に被るようにして浮かぶメッセージに視点を合わせる。


「君の呪いは……」


ブクマ・・・ブクマだ!

世界はブクマによって成り立っている!

さぁ、君は今すぐブクマしたくな~っる!!


次回

【結果→大丈夫→それ。】


書き溜めがある限り、毎日20:10に更新だぞ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ