41話 山中
翌日、今日は休日だと羽目を外していると綾瀬さんが部屋にやってきた。
「よく眠れたかい?」
「寝れたけど……どうかしたの?」
「今日は山の中に行くよ、理由は来てからのお楽しみってね」
「お楽しみっていう言葉にちょっとだけ悪意を感じるのは気のせいだよね?」
「気のせい気のせい、ほら行こうか」
私は綾瀬さんに連れられるがまま山の中に連れ込まれた。
「休みの日は登山っていいよね」
「どこに向かってるの……?」
話をしている内に霧が濃くなっていった。
「こんな季節に霧が出てくるの?」
綾瀬さんは霧を全く気にせずに山を登っていき、私は少しだけ力を抜いたりしてとにかく綾瀬さんについていく事に集中した。
(直感でわかる……はぐれたら絶対遭難するやつだ!!)
そして綾瀬さんが居る場所まで登るとそこには山小屋が建っていた。
「こんな山奥にポツンと一軒家……ここにあるのは人に見られたらいけないものなのかな」
綾瀬さんは山小屋に入って行った。
「何そこでぼっとしてるの?こっちに来てくれ」
「分かったけどさ、ここに何があるのか教えてくれたっていいじゃんか」
私は山小屋に入って行った。中はランタンの灯りだけで足りるような狭い通路で年季を感じさせるような木の支えで不安感を誘ってきていた。
「……凶悪な悪霊憑きがいるんだ」
「悪霊憑き?」
「今の千尋みたいな奴、今の体の主導権はまだ千尋だけど今捕えているのは違う、完全に悪霊に意識もろとも入れ替わっている、だから私は奴をここに監禁してるんだ」
「だから人に見つかったら……」
「警察に逮捕されちゃうね」
そして頑丈そうな扉を開けるとそこには四肢を鎖に引っ張られている人が居た。
「これが悪霊憑きだ」
私はその人に話しかけようとした。
「ねぇ、あなたの名前は?」
「うるさい……お前は霊術師の皮を被った傀儡か?」
どうやら話を聞こうともしない。
「こういう感じなんだ……近づくなよ、傷つけられたら最期だ」
「どういうレガリアを持ってるんです?」
「こいつのレガリアは私にはわからん」
私はどうにかして話を続けようとした。
「あなたの住んでた地域は?」
「……教えるわけがないだろう傀儡が」
「ならあなたの好きな食べ物は?」
「焼き肉だ……」
「私と同じだね、ならどういう部位が好きなの?」
「……こんな話をして俺が気を抜いたら祓うんだろう……」
「いや、祓う気はないよ、だって私も悪霊憑きなんだよもん」
「そうか、ならこの鎖を外してくれないか」
「だめよ千尋、鎖を外したら最期だ」
「分かってる、けど一度だけ聞きたいんだ、あなたのレガリアは何なの?」
「……教えるわけないだろう」
「なら今日は帰るとするよ、綾瀬さん」
「分かった」
頑丈そうなドアを閉めた時、奥の空間からかすかに声が聞こえた。
「俺のレガリアは崩壊だ」
その言葉をしっかりと聞こえた私は構わず外に出た。
「それで、どうするのあの人は」
「あのまま放置しておかないと他の人に迷惑がかかるんだ」
人の迷惑になると山奥に監禁か……本当に怖い物って、人間か悪霊かどっちなんだろうな……
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