15話 害を加えない霊と害を加える霊
放課後、私は綾瀬さんに回収され、いつものの服に着替え、昼のパトロールに向かった。
「しっかし、最初の挨拶、本当に間違えたなぁ~」
「どんなことを言ったの?」
「市内の栗栖って……これみんなからやばい奴認定されたって」
「ごめん。私も言わせて、私もやばい奴って思う。誰だって思う、私も思う」
「やっぱりかぁ~」
そして街中を見渡すと人と見間違えると思うほど、人に似た霊が居た。
「あれって、幽霊なんだよね」
「そうだな、ああいう幽霊は地縛霊って言ってね、私たちも気軽に手を出せないんだ」
「どうしてなの?」
「地縛霊は案外簡単に生まれるんだ、そこで死んだ人の魂がその場所に結び付けられてる、座敷童ちゃんみたいな感じだね」
「座敷童ちゃんもそうなんですか!?」
「そうそう、数百年前にあの場所で死んだ子供が座敷童ちゃんになって私たちの目の前にいるってことだね」
「ならあの地縛霊さんはどういう経緯であそこにいるんでしょうか」
「T字路でしょ?それに信号がない、挙句の果てにスピードが出やすい坂になってるでしょ?」
「そうだけど……」
「そこから導き出される理由、それは撥ねられて死んだしかない」
「撥ねられたのか……?」
「実際人が原因で地縛霊になるって言うのが大半なんだ、偶にイレギュラーな地縛霊が居るけど」
「例えば?」
「麻雀で強く打ちすぎて壊れた雀卓とかが代表例だね」
「機械でも地縛霊になったりするんだね……」
「なるよ?だって物にも魂が宿るって話、聞いたことないか?」
「聞いたことはあります、付喪神っていうのですよね?」
「そうだね、付喪神が地縛霊になったりすることがあるんだけどね」
その時、上りから車が猛スピードで道路を走ってきた。
「そういえば、地縛霊あるあるなんだけどさ、大抵は生きてる人には危害を加えないんだ、大抵ね」
猛スピードで道路を走ってる車は急にスキール音を出し、スピンし、坂道の終わりで止まった。
「ほら、大抵は生きてる人には危害を加えないって」
「思いっきり危害を加えてますけど」
「大抵ね、地縛霊が恨んでいることをやったからあの車がスピンしたんだ」
「スピードを出してて、あの人が横断歩道を渡ってたから撥ねられた……ってことですね?」
「そうだ、精一杯の供養だけしておこうか」
綾瀬さんは地縛霊さんに近づき、おちょこにおさけ一杯飲ませた。
「さて、行こうか」
「おちょこ持ち歩いてるんですね」
「そうなんだよねぇ……本当の事言っていいか?」
「いいけど、どうしたの?」
「……あの増税眼鏡のせいで税金やら物価高で酒が本当に値上がりしててさぁ~もう金がカツカツでねぇ~」
「働かないですよ?」
「アルバイトしろとは言わないんだよ?だけど本当にカツカツなんだよなぁ~生活の生命線はお祓いの依頼だけなんだよなぁ」
「そうなんですね」
「ちなみにお祓いの依頼、今日の夜入ってるからね」
「お祓い……何をするんですかね?」
「さぁ、現地に行ってみないとわからない」
そして私たちは昼のパトロールを終わらせ、寺に帰ってきた。
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