117話 おつかい
私は適当に街をぶらぶらと歩いていると明らかに幽霊が立っていた。
(あれって幽霊だよね、でも自分から話しかけたらだめなんだっけ)
私は幽霊のそばを通った、すると幽霊が私に縋り付いてきた。
「すいません」
どうやらその幽霊は困っているようだ。
「どうしました?」
「見えてたんだ……あのみかん、私にくれないですか?」
「いいけど、どうしたの?」
「死ぬ前にここのみかんを食べたかった人だったものなので」
どうやらこの幽霊はこの世に未練があって成仏が出来ないようだ。
「……いいですよ」
私は八百屋さんに立ち寄り、みかん3個セットを買った。
「まいどあり~」
私はその幽霊にみかん3個セットを渡した。
「ありがとう、でもどうして3つ?」
「だって4つだと縁起が悪いでしょ?それに2つだと二乗したら4になるから3にしたの」
「ありがとう」
そう言ってみかんごと成仏していった。
「幽霊に渡したものってこの世から消えていくんだなぁ」
発見もありつつ、人々の困りごとを解決していくとなぜか私の気持ちはとても軽くなっていった。
「とても心が軽いなぁ」
軽くて今にも飛び立ちそうな感じだった。
「ふわぁ」
動きすぎたのか眠くなってきた。
「ここで寝たら他の人の迷惑になっちゃう、寺に帰って寝よ」
私はおぼつかない足取りで寺に帰った。
「ただいまぁ~」
「おかえり、あいつらは帰ったよ」
どうやらフローズンさんたちは数分前に帰ったらしい。
「そうなのね」
「千尋、どうしてふわふわとしているんだ?」
「人助けをしてきたんだ~」
「そうなのか……例えばどういう人助けだ?」
「猫を助けたり幽霊を助けたり」
「ちょっと待った、人を助けたとかないのか?」
「もちろん人も助けたよ。ひったくりを捕まえたり」
「……治安悪くなってるな」
綾瀬さんはそう言って木刀を手にした。
「どうして木刀を持ってるの?」
「不法侵入者が居たらこれでボコボコにするの」
(あれぇ?いつの間にか綾瀬さんが武闘派になっちゃってる)
そして私は布団を敷き、即眠った。
「相当疲れてたのね、おやすみ」
「おやふみ」
私は布団で眠りにつき、綾瀬さんは縁側に座って空を見上げていた。
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