109話 違和感だらけ
道を歩いているとまたしても少女が立っていた。
「ねぇ、ループしてないよね」
「ああ、していないはずだ」
私たちに緊張が走る、少女の身なりは先ほどとは打って変わって服が血塗られていて片手には小型のナイフが握られていた。
「おいおいまさかな!?」
少女は私たちの後を追って先回りをしていたようだ。
「こりゃあまずいぞ」
綾瀬さんは塀を使って何とか逃げたが私は頭を回転させてた。
(少女がこんな時間に小型ナイフを持って突撃してきてる、明らかに異常事態か)
そう思うと私は少女のナイフをあえて左わき腹に突き刺した。
「うっ」
「千尋!」
「大丈夫……」
私は少女や周りからナイフが見えないように隠した。
「脅されているのか?だったら私の服を掴め」
私は優しく少女に声をかけた、だが服を掴まなかった。
(おそらく洗脳か本当の殺人鬼の卵か……後者だとするとたまげた奴だな)
少女はナイフをぐるぐると私の体内をかき回しているが私は少女の好き勝手にさせた。
「綾瀬さん、フローズンさんに電話」
「分かった」
綾瀬さんが電話をしている間、私は少女の手首を掴んだ。
「これで動かせれないだろ……」
少女の腕の動きが止み、私は滝汗をかいていた。そして数分後、闇に溶けていたフローズンさんが私を見つけ、少女と距離を取ってもらった。
「大丈夫か」
「ナイフを脇腹に食らってな」
「血は出ていないな」
「こいつ血が出ないんだよな」
「そうなの?なら切り刻み放題じゃん」
「意味わからんて……それでこの少女、どうだ?」
「この少女は確定で洗脳されてるね、でもこの白い服で夜の街にいるとなると違和感がありすぎるんだよね」
「違和感は私も感じてる」
「そうだろ?この子の母親は一体何処に行ったのか、そして親は何をしているのか」
フローズンさんは少女をじっくりと見ている内に顔をしかめ始めた。
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