9話 素質
私と綾瀬さんは地下に向かい、細い一本道にたどり着いた。
「この奥が加護石があるんだ、一人ずつしか通れないからな、先に千尋君……いや、呼び捨てでいいか?」
「いいですけど……どうしました?」
「私の同級生を思い出してな、今あいつは何処にいるんだろうな……って昔を思い出すのは後だ、行ってこい、千尋」
「うん、わかった」
私は狭い一本道を歩き、ずんずんと奥に向かった。
(湿っているし暗いしで何なのよもう……)
そして広い空間にたどり着き、台座の中央に縄で縛られた石が置かれていた。
「ってこの場所……何かいそうだな」
遅れて綾瀬さんがやってきた。
「……ってマジか!?」
綾瀬さんは台座の奥に引きずり込まれた。
「綾瀬さん!」
「ゲコッ」
奥からカエルが顔を出し、綾瀬さんが御幣を口に突き立てていた。
「コラッ、放せ!」
「……これってどうすれば?」
「先に加護石を!ってッ……」
綾瀬さんはカエルに丸呑みにされそうになっていた、私は言うとおりに加護石に私のレガリアを使った、そしてカエルがどんどんと体が薄くなっていき、最終的に消えた。
「助かったよ……」
「ってどうして下半身の巫女の服が溶けてるの?」
「ってあ……あのエロカエル!!!どこに行きやがったすっとこがァ!!!」
綾瀬さんはあたりの石を蹴り、八つ当たりをしていた、下半身はパンツが見えそうなほどに服が溶かされて……なんだか……随分と随分だな。
「さて、帰ろうか……」
「その服のままパトロール行かないの?」
「行かないわよ!?恥ずかしすぎて痴女かと思われるよ!?」
綾瀬さんはちょっと半泣きで言った。そして私たちは寺に帰ってきた。すると客人が来ているようだった。




