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四年生になった。


クラス分けが当然あるのだが、ここで少し、事件が起こった。


「お隣、よろしくお願いしますね。いお……桔梗君?」

「うわ最悪だ」


最悪とはなんだ。でも引いてる顔可愛いので許す。

にっこり微笑みかけると、彼は更に顔を歪ませた。


そう、私は桔梗庵と同じクラス、しかも隣の席になったのだ。

一学期間は席替えが無いのでずっと隣だ。

同じクラスになった九重灯香ちゃんは「そ、その、私が聞くのもおこがましいのですが、だ、大丈夫ですかその、桔梗様の隣の席で」と心配された。

ぜぇんぜん平気だよ。むしろ庵君の隣でちょっとハッピー。


ちなみに、朱莉ちゃんとはクラス別になってしまった。とても悲しい。



「桔梗様、その、一年間よろしくお願いします………」

「うん、よろしくね桜ちゃん」

「な、名前、知っててくれてたんですか?」

「勿論!………ふふ…可愛い名前だったから、名簿見てすぐ覚えちゃった」

「まぁ!そ、そんな!」

「桔梗様!!私も!」


私の隣の席、うるさいなぁ。


光に集まる虫のように、庵君の周りには女子が集まる。

まさかここまでこいつがモテてるなんて知らなかった。いや、知ってたけど、流石に桐間や羽澄よりは……なんて思っていましたよ。

ところがどっこい、魅力的な言葉選び。あざとくも違和感のない仕草。

そして女の子一人一人に合わせて細かく変える優れた表情管理能力。


うーん、ホストとか向いてるんじゃないでしょうか。


このクラスの女子は大体庵君のことが好きである。


庵君のガチ恋勢は物静かな子が多い。

物静かと言っても、庵君に話しかける時はそれなりにうるさいのだが、普段は真面目なタイプの子が多いのだ。多少ギャルっぽい子もいるが。


そのおかげか、柚木日葵の派閥に入っている子が庵君推しにはあんまいない。

つまり、このクラスは柚木の派閥に入っている子がいないのだ。

これは正直嬉しい。


実は最近、柚木がじわじわと力を取り戻してきているのだ。

一回、桐間と羽澄にバッサリやられてから大人しくしていたように見えたが、そんなことは無かったらしい。私の知らないところで、いろんな子たちを取り込み、順調に勢力を拡大しているらしい。


まぁ小学生だし、大丈夫だろう。

そんな事を考えてはいけない。わが校の小学生は普通の小学生とは違う。

大体の生徒が家の関係で早熟している上に、思考が非常に可愛くない子もちやほやいるのだ。


なんなら私も隣に座っている奴に虐められたしね。けっ!


問題なのは、彼女が私を目の敵にしているという噂があるということ。

え?私なんかした?と思ったが、冴えない私がサロンメンバーなのが気にくわないらしい。私がこの学年でただ一人のサロンメンバーってのもある。


いやほんと、神子戸家に生まれた宿命なんで、勘弁してください。

私でも思う。なんでこんな地味眼鏡女がサロンメンバーなのかって、私でも思う。


「はぁー、」

「梢様どうかしましたか?」

「ううん。……灯香ちゃん、この先なにかあっても私の味方でいてくれる?」


きょとんとした顔で呼んでいた本を閉じた灯香ちゃん。

一瞬の間を置いて、彼女は小さい唇を弧にしてにこりと微笑んだ。


「はい、今度は私が梢様をお守りします!」


やだイケメン。

守ってくれるんだ。優しい子だねぇ。


よすよすと頭をなでると、彼女はポッと恥ずかしそうに顔を赤くした。

大丈夫、私にはこんなにいい友達がいる。


この先なにかあろうとも、友達さえいればノーダメージだ。


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