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最近誰かに見られている気がする。


バッと振り向くと誰もいないけど、明らかに足音がしたり、絶対誰かが私を見ている。

そしてそれはサロンの中でもそうなのだ。


「あら、お姉さま!珍しいですわ。サロンにお姉さま自らいらっしゃるなんて」

「うん。たまには、ね」


妹は毎日のようにサロンに行っているが、私は前妹に誘われた一回限り行っていない。

今回、視線から逃げるようにサロンの中に入ったのだが、サロンの中でもやはり視線を感じる。

という事はサロンメンバー。


一体誰だ。

んーどうしよう、心当たりとか全くないんだけど。私恨まれるようなことしたかなー?覚えはないんだけどなぁー。…………いや実はちょっとだけある。


私はサロンみたいな、煌びやかな空間があまり慣れない。

いやちょっとは慣れてきたけど、実はサロンに行きたくない理由がもう一つある。むしろこっちの方がデカい。


「この間、私が廊下で歩いていたら当たってきた子がいましたのよー。本当になっていない子、あのような子がわが校に居ては困りますわ」

「まぁ!それは嫌な目に遭いましたわね。その子、少し礼儀がなっていないのではなくって?」

「えぇ、しっかりと教えてあげましたわ。でもきっと足らない脳みそですもの、ああいう子には入学して欲しくないわ」


これがこのサロンの先輩方の会話である。

うん、怖いね。選民意識がヤバいね。


そう、こういう先輩がいるから嫌なのだ。


神子戸家は桐間家に次いで、由緒正しい結構すごい家である。

財力もヤベェし、血筋も意外とヤベェ。私の親父は実はすごいやつらしく、「私のお父様が神子戸会長にお世話になっておりますの」とか、同じサロンメンバーの先輩に言われたことあるくらい、このサロンの中でも結構大きい家だと思う。


それもあるし、私がなぜか前会長である鳳翔小雪様に好かれていたのもある。

あの人はサロンの皆が慕っていた。あの人を悪く言う人を見たことがないし、聞いたこともない。

小雪様は本当にすごい人だったと思う。


そういう訳で、私に先輩たちは特に何も言ってこないのだ。

いや、言えないのだ。

私がサロンに来ない、生意気な後輩だと思っていても。


すごく自業自得。

すごくすごく自業自得。


「まぁ、仕方ないか」


視線を気にせず生きていこう。

サロンメンバーという事は、なにか対策をしようにも迂闊には出来ない。この学園内でも選ばれしものがサロンメンバーとなるのだから、敵に回したら結構面倒だ。

………選ばれしものとか言うと私も入ってるみたいでやだな。


なんとかなるだろう、そう思って私はミントテティーをズズッと飲んだ。



嘘だろオイ。


下駄箱を見て唖然とする。


「靴が………………ない」


キタコレーーー!!!

思わず天を仰いだ。脳内で一粒の涙を流す。


あぁ、こんな典型的な漫画の中で見るいじめに私が遭うとは!!

ふつうの公立の小学校ならありそうだけど、こんなお坊ちゃまお嬢さまの通う学校でこんな事ってある?


悲しいとか辛いとかそういう感情ではなく、驚きが私の脳内を占めていた。


取り合えず下駄箱前で突っ立ってるわけにはいかないので、Uターンして購買部に向かった。


「すみません、初等部のローファーってありますか?」

「えっ、特別生徒の子?!あっ、………ちょっと待ってくださいね!探してきます!」


購買部のおばちゃんが私のネクタイを見てビビり散らかしてレジの奥へ消えてった。

しばらく経つと奥から出てきて、この世の終わりみたいな顔で「その、ただいま在庫がなくって…………三日後に」と言われた。

特別生徒、そんなに怖いですか?私、優しいですけど。


取り敢えず三日後に予約をしておき、今日は中靴で帰ることにした。


………………それはそうと、どうしたものか。

困ったぞ。


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