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初夏。


宿泊行事で一泊二日奥多摩に行くことになった。

小学生二年生の宿泊行事先にしてはチョイスが少し渋い気もするが、自然豊かなので私は好きである。


ちなみに、泊まる旅館は源泉かけ流しの温泉高級旅館である。

流石崔流学園。頭がおかしい。普通の小学校だとログハウスとかだろ。


奥多摩湖に行った。


奥多摩湖はドラム缶橋と呼ばれる橋を渡った。ふわふわ揺れて楽しかった。

初夏っていうのもいいね、暑くなくてとても快適。


「梢様、白鳥がいます!」

「あぁ、本当だね」


旅館の部屋が同室の、津々楽朱莉(つづらあかり)ちゃんとちょっと仲良くなった。

少し気が弱そうだけど、大人しそうな雰囲気の美少女だ。

行きのバスの中でも席が隣だったので、その時に話しかけたらアワアワしながらも「あのサロンメンバーの梢様にお話しいただけるなんて…………!」と感激された。

え?私って学園内でどういうポジション?一年のクラスでは地味で髪の毛ぼさぼさなのにサロンメンバーの神子戸さんだったけど。

つばきに毎朝ブラッシングしてもらってるからちょっとはマシになったけど、まだ髪の毛はけさきがぱさっとしてるんだよなぁ。ぼさぼさを隠すために一年から三つ編みおさげばっかりで登校しているだ。


朱莉ちゃんの髪の毛は艶々のローポニーだ。

どうしてそんなに髪の毛が艶々なのか聞いたら、嬉しそうに「毎日のケア」と言われた。

………そう言えば私、髪の毛ちょっと濡れた状態で寝てるな。朱莉ちゃんにヘアケアを相談したら絶対それですと言われた。


一通り観光して、ホテルに着いた後、美味しい食事をとって温泉に入った。

あー、身体はどこも凝ってるところないけど、極楽ー。結構歩いて疲れた体に染みる。


「ふむふむ、梢様は細めの髪質で、ストレートですね、羨ましい髪質です。毛先が結構痛んでますね。毛先以外はケアで生き返ると思いますが………毛先は切ったらいかがでしょうか」


なんかガチっぽいメンテナンスされた。

朱莉ちゃんは自分で持ってきたという、どえらいいい香りのするシャンプーで私の髪を洗い始めた。


まるでヘアサロンみたいだ。


ヘアパックを塗りたくられた後、ヘアトリートメントを塗られ、上からラップをされ、数分放置された。


ガチでヘアサロンみたいだ。


「ふぅ、我ながらよくやりました………」

「凄いね、朱莉ちゃん。ヘアサロンにいるみたいだった。ありがとう」

「あっ、褒めて下さるなんて………」

「ちなみにこのシャンプーとかすごくいい香りだから買いたいんだけれど、どこのメーカーの」

「そのシャンプーとヘアパック、トリートメントは私の髪質に合うものを持ってきたため、梢様の髪質に合うものは同じメーカーでも別の種類のモノだと思います。ちなみに、普段お家で使われているものが梢様の髪質だと少し重すぎたみたいで、もう少し軽めの物をお使いになられたほうが…………」


どうやら朱莉ちゃんは美容ヲタクの気があるようだ。

女子力が高くて見習いたい。



「おぉー」

「ど、どうでしょうか」

「すごく艶々。私の髪じゃないみたい。ヘアブローまでありがとう、朱莉ちゃん。嬉しい」


鏡で見ると、髪が生きているように艶が出た。

指ですくうとシャララランと絹のように落ちる。すごい、あんなぼさぼさが。魔法みたいだ。


これも朱莉ちゃんがこれまたいい香りのする「ヘアエマルジョン」と「ヘアオイル」の二種類を使って櫛で丁寧にブローしてくれたおかげだ。

ヘアエマルジョンなんて初めて聞いたよ。そんなものがあったのか。


「そんな、大したことは……!」


感謝をつたえると、もじもじ照れていた。

かわいい。女子の中ではすらっと背が高い方なのに、動きが小動物みたいでギャップ萌え。多分ヲタクに刺さるタイプの女の子だ。現に私も刺さってる。グハッ。


その日はふわふわの布団の上で二人で恋愛トークをした。

どうやら朱莉ちゃんは羽澄に憧れているらしい。よかったな羽澄。こんないい子がお前のこと好きだってよ。


「梢様はどんなタイプの男性が好きですか?」


そんな事を聞かれた。小学二年生なのに随分ませた質問をしてくる。


「束縛しない人」

「ソクバク………………?」


朱莉ちゃんは束縛の意味が分からないらしい。そりゃそうか、まだ小学生だものね。

ついうっかり、前世の彼氏を想像してタイプを答えちゃった。

結局アイツ私のこと束縛するようになって、挙句の果てに刺しやがったけどね。ふざけんな!


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