第86話 久々に店長登場。
佐々木さんの手を握ったまま学園を出た。幸い誰にも会うことなく、目的地に着いた。
「・・・あの、・・・ここは、?」との質問に
「・・・喫茶店だ。」とだけ返し、扉を開けた。
”カランコロンカラン”と心地よい音色が鳴り響いた。ドア・ベルの音が終わった頃に店長が奥から出てきて
「すいません、今日はもう・・・あら、総ちゃんどうしたのこんな遅くに?」と聞いてきたので
「すいません、遅くに、彼女今年の新入生なんですけど例の件でして。」と言うと
「あら、そうなの、・・・でもいいのかい?あんた、」
「大丈夫です。それよりも後輩の為に手を貸すのが先輩の務めだと思っていますので。」
「・・・そう、分かったわ。・・・あなた名前は?」
「あ、佐々木恵と言います。」
「そう、恵ちゃんね、まずそこに座って、目を閉じてね。」と言われた通りに椅子に座るといきなり強烈なビンタが佐々木さんを襲った。
「・・え、・・」といきなりのビンタにビックリしていると店長が優しく
「辛かったでしょ、まずは、思いっきり泣きなさい。あなたに必要なのはその悲壮感を無くしましょう。期待と不安で今、あなたの心はぐちゃぐちゃになっているから、ねぇ、大きく泣きなさい。」と言って佐々木さんを優しく抱擁してくれた。そうしていると、佐々木さんは大きく泣きながら店長の胸の中で泣いていた。
時間にして、10分位経った頃佐々木さんは泣き止んだ。
「・・・すいません、みっともない所を見せてしまいました。て、言うかなんで加治先輩まで見ているんですか。」と少し怒り気味に言ってきたので
「ほら、落ち着いて詠唱をしてご覧。」と諭すように言うと
「( ゜Д゜)ハァ?、まぁ、やりますけど・・・・・・・・、うそ、出来た・・・」と小さいながらも炎が出た。ここまでくれば大丈夫。
「佐々木さん魔法の行使の感覚は分かる?」
「・・はい、これが・・・・魔法・・・・」
「一度行使出来れば、後は感覚を磨いていくだけ、最初の関門を突破出来たね。」と言うと
「・・・ありがとう・・・ございます。」と一応感謝をされた。
「良かったわね、恵ちゃん、総ちゃんはここまでくるの長かったんだから、何回も抱いてあげたんだから」と店長のちょっと誤解の生じる言い方に苦笑いをした。
「・・・本当にあの時は大変でしたね。感覚が中々掴めなくて、皆に迷惑を掛けてしまって。」
「大体、魔法の行使には身体、精神的な安定が必要なのに、いきなり親元から離して、全寮制にいれるこのシステム自体、時代遅れなのよね。」と店長は少し憤慨していた。
そんな光景を見ていた佐々木さんが少し涙目になりながら
「・・・お二人とも、ありがとうございます、・・・」と感謝されこうして先輩から後輩に対する指導は終了した。
指導が終わり時計を見ると既に夜の7時を回っていた。




