第74話 気になるけど、
母親が蕎麦を茹で上げるまで左程の時間も掛からないが、自分は一足早くお屋敷に向かった。玄関のベルを鳴らすと、葵が出てきた。
「葵、雪代さん大丈夫か?」と聞くと
「うん、明日の用意でおせちの重箱取ろうとした際に、ちょっとバランス崩して挫いたみたいなの、歩けなくは無いんだけど、階段はちょっと厳しくて・・・」
「わかった。もうちょっとで母ちゃんも来るしもう少しだけ待ってってもらうかな。」とまずは、リビングで休んでいる雪代の元に向かった。
「大丈夫ですか、雪代さん?」と聞くと
「おお、総一郎殿、申し訳ない、高い所にある、重箱を取る際にちょっとドジをしてしまいましてな。お恥ずかしい限りで、」
「いえ、大事なく良かったです。もうすぐ母ちゃん来ると思いますのでもう少し待っていただけますと。」
と言ってると
「雪代さん、大丈夫ですか?」と葵から譲許を聞くと
「・・・ですから、おせちの用意は大丈夫か聞いたんです。」
「・・・はい、申し訳ない、」と珍しく雪代さんがしょげていると
「まあいいです、みんなで年越しそばでも頂きますか。」とすぐ切り替えていった。
「じゃ、用意手伝います。」と葵が言って
「大丈夫、つゆを温めるだけだし、葵ちゃんはお皿用意してね。」と言って
「分かりました。じゃ、総ちゃんは待ってってね。」二人はキッチンに向かった。
急に二人きりになり、何故か心拍数が急上昇しているのを感じていると。
「・・・総一郎殿、本当にこんは夜分遅くに申し訳ないですな。」と再びの謝罪があったので
「いえ、困った時はお互い様ですよ。」と答えると
「・・・・総一郎殿・・・実は・・・」と言った所で
「はい、出来ましたよ。では頂きますか。」母親が年越しそばをこしらえ戻ってきた。
「おお、美味しそうですな、では、頂きますか。」と言って、ひとまず会話は途切れた。
年越しそばを食べ、雪代さんを部屋まで送り届けて、少し会話をしているとすでに夜の10時を過ぎようとしていた。
普段から規則正しい葵にとっては最早お眠の時間になった。
「じゃ、葵ちゃんまた、明日ね。」との母親の問い掛けに非常に眠そうにしながら
「・・・はい・・おやすみなさい・・・」と少し無防備になりながら答え
「・・じゃね・・・総ちゃん・・・おやすみ・・・」と言って部屋に戻った葵を見ながら少し顔が赤くなりながら
「・・おう、おやすみ・・」と言ってお屋敷を出てからふと
(そういえば、雪代さんは何を言おうとしたのかな・・まぁ・・いいか・・)と思いつつ、母親と二人帰路についていた。




