第200話 朝、いきなり言われました・・・
翌朝は気持ちよく起きれた、訓練最終日とはいえ、なんとかこの特別な技術を会得出来てホッとし、ゆっくり朝食をたべていると荒井指導員から
「加治訓練生、これをよろしくな。」と膨大な資料を渡された・・・と何やら鍵付きの鞄も・・・
「あの・・・これは?」
「この訓練のレポート作成に関する資料だ。どの様な訓練を行ったか?途中経過、会得した時の感覚、その後の様子、等々記載する事はたくさんあるぞ。」と素敵な笑顔で言われた・・・・
「で、この鍵付きの鞄は・・・?」と聞くと
「このレポートは期末考査終了後本庁に出頭して提出になるが、資料含めて第三機密情報に当たる。よって、レポート作成は機密管理官の監督下の元、行う形になる。今は私と小嵐指導員だが、学園に戻ったら、学園長、主任教官とあと数名がこの資格を持っているのでその者の監督下のみ作成が出来る。保管は学園にある機密書類保管室にある金庫に保管し、金庫の鍵は学園長他三名、鞄の鍵は主任教官他三名、となっているからな。まぁ一言で言うと滅茶苦茶、地獄が待っているという事だ。普段の課題なら、他の学生と協力できるが、このレポート作成は自分自身しか出来ない。なんなら教官達もお手上げだ。」と軽く説明されただけでもヤバいのが伝わってきた・・・
「・・・あの、荒井指導員・・・この後ご指導をお願いしたいのですが・・・」とお願いすると
「おお、早速やるか。源訓練生も昨日から部屋に缶詰めでやっているが中々苦戦しているぞ。」と言われ、源さんが昨日から見えなかった理由がここで判明した・・・レポート作成に本気で取り組んでいるんだ・・・・その後は自分の部屋に缶詰め状態になり、出来うる限り、レポートを形にしようとしたが、何せ、渡された資料の数が半端なく多いのに加え、内容も感覚の表現がそれぞれ独特でそれらを理解するのに時間を要した・・・・昼食も夕食も簡単に済ませ、夜遅くまでレポート作成に追われた・・・・
「そろそろ、終わりにしようか。」と荒井指導員が言うと、既に夜の10時を過ぎていた・・・作成途中のレポート、参考資料を鍵付きの鞄に入れて、鍵をしっかり掛け、金庫に入れて厳重に保管してから
「・・・遅くまでお付き合いいただきありがとうございました。」と疲労困憊でも、ここまでお付き合いいただいた、荒井指導員にお礼を言うと
「・・・加治訓練生。今度色々苦労があると思うが、ここでの経験を糧により高みを目指していってくれ。」と荒井指導員と握手をしながら激励を受けて、自分に充てられた、部屋に戻り、荷物をまとめながら、
(・・・葵や皆にどう伝えようかな・・・)と思いつつ、今後の期末考査やレポート作成に恐怖を感じつつ眠りに着く事にした・・・レポート作成で疲れていたのか直ぐに夢の中に落ちていった・・・
荒井指導員と小嵐指導員が魔法省に提出するレポートを作成していると、無線で連絡が来て、それから車が来た音がした・・・小嵐指導員が
「・・・こんな夜遅くに・・・どなたかな・・・」と言いつつ、二人は警戒して、宿舎の玄関ホールに移動した。そして宿舎の玄関の扉がノックされ
「夜分遅くに失礼いたします。魔法省教育室所属の内藤と申します。」と言うと、二人は警戒は継続しつつ、小嵐指導員がゆっくりと宿舎の玄関を開けると、
「すいません、夜分遅くに。」と言って内藤少尉が宿舎に入ろうとすると
「申し訳ないですけど、直ちにここより退去しなさい。例え本庁の方でも許可無く入る事は出来ません。」と言って内藤少尉を追い返そうとする。そして宿舎の周りにはいつの間にか10人以上の警備兵が集まっていた・・・すると内藤少尉は
「これは、失礼しました。今から許可証をだしますので・・・」とゆっくり左手で持っていた鞄から許可証を提示した。小嵐指導員がそれを受け取り、荒井指導員に合図をすると
「・・・皆下がれ、正式な許可証だ・・・」と言って一触即発の事態は免れた・・・・警備兵はの元の配置場所に戻り、宿舎に入ると内藤少尉は
「すいません、色々ご迷惑をお掛けしました。」と謝罪を入れると
「ええ、全くですこんな夜遅くに非常識でしょ。」と小嵐指導員が言うと、内藤少尉はあからさまに不機嫌になりながら
「・・・私も来たくて来たわけではないですよ。いきなり上司からここに行けって命令されて、しかも移動手段は自分で手配しろって・・・空軍の知り合いにかなり無理を言って輸送機手配してもらって、此処までの移動には、その知り合いに更に無理言って車を借りて・・・ここまで来るのにこの時間になって、歓迎されてなくて・・・」と内藤少尉はボヤキながら怒りに満ちていた・・・その愚痴を聞きながら二人は少し内藤少尉に同情した・・・・
「・・・そうでしたか・・・それは大変でしたね・・・それで、そんなに急いでのご用件はなんでしょうか?」と荒井指導員が聞くと、内藤少尉の様子が一変した。
「今回、この訓練の達成者が二人も出たと、本庁でも話題になっていまして、それで上層部の方々の一部や外国勢力にきな臭い動きがあります。なので学園に戻るまで警護と監視を兼ねて来た次第です。」と言うと
「・・・なるほど・・・それは強行軍で駆けつけるわけですね・・・」と小嵐指導員が言いつつ
「内藤少尉。夕食はまだですか?簡単ものならできますけど。」言われ内藤少尉は
「・・・本当に助かります。ここまで来るのに飲まず食わずで、もう限界でして。」と、遅めの夕食を頂く事になった。そこで内藤少尉の強行軍は終わりを告げた・・・




