第197話 ライバルは会得しました。
訓練も三日目に突入したが、全く感覚が掴めなくなった・・・・焦りが焦りを呼び、少しフラフラしたが休む訳にはいかない・・・そう思って訓練を続けていると、小嵐指導員に肩を掴まれ
「・・・加治訓練生・・・少し休みなさい・・・」と言われ、
(・・・・ああ、ここまでか・・・・)と内心絶望しつつ、一旦冷静になる為、休憩する為食堂に向かった。
食堂で休んでいると、小嵐指導員がやってきて
「加治訓練生。少し根詰め過ぎだ。自然体を心掛けないとな。」と言ってきたので
「・・・すいません。」と小さく言う事しか出来なかった・・・・そんな自分を見て小嵐指導員は
「・・・焦りで自分を見失うな。見失えば全てを失う・・・」と言ってその場を離れていった・・・
小嵐指導員が食堂から出て行ってからも
(・・・焦るな・・・か・・・それが出来れば苦労しないんだよね・・・)と思いつつ、再び訓練に戻る事にした・・・
戻る道中、色々な事を考えていた・・・
(・・・もし、出来なくても、元々無理ゲー的な事なんだから、誰からも責められる事も無いし、葵や皆とも、今まで通りに過ごせる・・・・でも、それだと今までと何も変わらない・・・皆変わって行くのに俺だけ取り残されて・・・葵とも・・・・)と覚悟を再度決め
(・・・やるしかない・・・ものにして見せる・・・必ず・・・)と決意を秘めて、訓練場に戻った。
気合を入れ直して取り組み、遂にその時が・・・・来る事も無く、そのままお昼休みになってしまった・・・気分は最高に落ち込んでいたが、そんな状況でも腹は減る・・・・昼ご飯を食べて少し考え事をしていると、源さんが寄ってきて
「どうです?加治さん。中々苦戦しているみたいですが?」と聞いてきたので
「ええ、なんというか、感覚が中々掴めなくて・・・源さんはどうなんですか?」
「私も、苦戦してます・・・お互い大変ですね・・・ですが頑張りましょ。」
源さんはそう言いつつ、皆とも少し話してから、一旦食堂から出ていった。
源は食堂から出てから
「・・・気にするだけ無駄だったな・・・あんな雑魚なんて気にしないでおくか・・・」と言ったのは誰の耳にも入らなかった・・・・
午後からの訓練も中々苦戦していると、源さんが
「小嵐指導員!!これを!!」と指先に炎が灯っていた。小嵐指導員は直ぐに
「源訓練生。魔力制御に注意して、そのまま炎を一旦消してみろ。」
「分かりました。」と徐々に小さくなっていく炎を皆で見守り・・・やがて源さんの指先から炎は消えた・・・・・
「・・・・小嵐指導員・・・これで・・・」と源さんが聞くと
「源訓練生、もう一度やってみろ。」
「はい・・・」と源さんが指先に魔力を集中すると再び炎が灯った・・・・源さんは高らかに
「・・・やった・・・やったぜーー」と喜びを爆発させていた。その様子を見て自分は
(・・・源さんが出来て・・・自分は・・・もし出来なければ・・・)と嫌な事ばかり考えていると源さんが
「やりましたよ。加地さん。これで応援してくれて皆にもいい報告ができます。 加地さんも続いてください。」と言われ、心にダメージを受けつつ自分は
「・・・おめでとうございます。自分も頑張ります・・・」と答えるのが精一杯だった。
その後も感覚が掴めず焦りが焦りを生み出す負のスパイラルに陥り何もできずに終わった・・・・
夕食を食べた後に、少し考え事をしていると、源さんと同じ学園に在籍している小泉さんと石渡さんが
源さんに
「すごいですね源君。学業も実技も一番ですし、この様な難し事も会得できて。」
「そうですね、それでいて驕らず、皆にも優して、本当に出来た人ですよね。」と源さんを持ち上げていたが、そんな会話には入れず、自分は静かに食堂を出ていった・・・・
その様子を見ながら源は心の中で
(ここまでだな。あいつも・・・・)と思いつつ小泉と石渡との会話を続けていた・・・・




