表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
188/190

第188話  初めての事態・・・

浮かさあ


 戦争の体験談を聞く。それはこの世界においてある種、タブー視されていた・・・・


 世界統一政府との終わり無き戦争に皆嫌気がさしていたが、なにせ相手が全く交渉に乗ってこない・・・不意に戦いが始まったり、いきなり終わったりと、常に緊張状態が続いている状況に各国は戦争にネガティブな情報や言論を規制してきた・・・・それが、この世界の常識だった・・・・しかし、必ず犠牲者は出る・・・・そんな人達に、軍部の上層部や政治家は見て見ぬふりをし続けた・・そんな状況も既に限界に近づいていた・・・この状況を打破すべく戦意高揚を目指しつつ、厳しい現実を新兵達に意識づける方策を上層部の方は前々から検討していた・・・・なので今回の件は渡りに船で一回やってみて、上手くいったら儲けもの。駄目だったらまた考える・・・みたいな感じで進んでいった。


 結果だけで言えば、学園全体で意識の向上になり、またこの映像がテレビで放送されると、国民は悲劇に悲しむ事より、より平和の為に国防に対する意識の向上と、国威発揚の機運が高まっていった。


 そんな中で、内藤少尉や澪姉の評価はうなぎ上りで上がっており、特に内藤少尉は色んな方面に引っ張りだこになっていた。 澪姉も評価が上がりに上がり、陰口一つ言われる事もなくなっていた。


 そんな状況でも学生の本分である勉学に勤しむ必要があり、その点では変わらない生活が続いていた。


 そんなこんなで、五月の中旬になると、教官から朝会の時に


 「では今から、属性別演習の案内を配ります。」と数枚のプリントを貰った。それは約2週間に渡る属性別の専門的能力向上に関する案内だった。


 各属性がが魔法省が管轄する演習場に赴き、より専門的な実技を行う事になっており、今年もその時期が来た形なのだが


 (・・・そういえば、皆とこんなに会わなくなるなんて、初めてかも・・・)と考えつつその日の授業もハードに過ごしていった・・・


 放課後は自習室に集まると、早速その話題になった。


 「ねぇねぇ総一郎は、どこにいくの?」と早速紬が聞いてきたので、


 「俺は、熊本の大矢野原演習場になってる。」


 「私と司は、北海道の静内演習場だって。陽斗は?」


 「自分は王城寺原演習場だよ。宮城だね。澪姉は?」


 「私は北富士演習所で山梨だよ。」と言いつつ皆で葵の到着を待っていた・・・複数属性の葵は少々手続きが面倒になる・・・が、今回は意外と早く戻ってきた。


 「葵、お疲れ様。今回も迷ったの?」と紬が聞くと


 「ううん、直ぐに決めたよ。聖属性で、演習所じゃなくて、魔法省病院に行ってくる。」と答えたので

澪が


 「と、言う事は進路は決まったんだね。」


 「・・・うん、この前の時に思ったんだ・・・この力を人々の役に立たせたい、だから現実を知る為にも頑張ってくるよ。」と力強く言い、葵は自分の進むべき進路を定め始めていた。そこで司が


 「ちなみに、場所はどこなの?」


 「東京だよ。」と言うと


 「・・・本当に皆バラバラになっちゃたね・・・」と少し寂しそうにしていた・・・・しかし、そこは付き合いの長いものである。澪が


 「・・・で、本音は?」と聞くと


 「だってこれ、帰ってきて直ぐに期末試験だよ・・・演習のレポートに試験勉強にベリーハードモードじゃん。これ一人でやるの無理ゲーじゃん。」


 「あんたと紬は一緒の属性で同郷の者がいて心強いでしょ。てか学園の人もいるし、しっかりと勉強すれば大丈夫でしょう。」と澪姉が言うと


 「・・・頑張ります・・・」と司は力弱く答えた・・・そんなこんなで放課後の勉強会も時間になったのでお開きにして帰寮する事にした。


 帰寮する途中で葵に


 「進路決まったんだ。」


 「うん、人の役に立つ事に積極的に参加していくよ。もう自分自身に嘘はつけないし。」と言いながら笑顔で語っていた。


 「・・・そっか・・・」と返事をしつつ


 (・・・俺も頑張るか・・・)と思いつつも、内心では焦りが生じていた・・・・ 

 


 



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ