第186話 お上の一声で・・・
魔法省の一室でお偉いさん達が頭を抱えつつ、一つの提案書を読み込んでいた
総一郎達男性陣のアイデアを内藤少尉が修正を行い、提案書を休暇明け直ぐに提出した。その提案書の内容があまりに過激であったため、直属の上司は、提案書を突っぱねたが、そこで諦める内藤少尉でなく、上層部の方に直接持参し、その内容を審議するため、お偉いさん達が急遽集合する形になった。
お偉いさん達を目の前に内藤少尉は
「確かに、今までに無かった取り組みです。非常に危うい事も重々承知の上です。しかしいつまでもこの問題に背を向ける事は出来ません。何とぞ決済の方をよろしくお願いいたします。」と頭を下げた。しかし
「内藤。いくら何でもこれは無茶苦茶だ。こんな提案よくも出せたもんだ。」と憤る者もいれば
「いえ、これは画期的です。現実を知るにはいい機会かと。」と提案に賛同する者と賛否両論となっていた。
議論は白熱したが結論は中々でなかった。そこに、遅れて一人の人物が部屋の中に入ってきた。すると皆一様に起立し一礼しすると
「ああ、皆座りたまえ。どうかね、議論の方は?」と聞くと、取りまとめ役である役人が
「閣下、どうしてこちらに?」
「なに、内藤少尉が面白い提案書を出して、皆を困らせていると風の便りに聞いてな。で、どの様か感じなのかな?」
「中々意見の隔たりが大きく、難儀しております。」と言うと、その人物はさも当然の様に上座の席に座ると
「どれ、これがその提案書か・・・」と内藤少尉が提出した内容を読み込んで言った。その時間誰も何も言葉を発しなかった・・・・内藤少尉は心の中で
(・・・何故このタイミングで閣下が・・・何を考えているんだ・・・)
「うん、中々いい出来ではないか。・・・どうかな?諸君この案で実際に行うのでいいのではないかな。」と集まった面々に言うと、誰も反対せずあっさりとこの提案書の内容は承認された。しかし、
「ただ、実施について流石に時間が足りないと思うが、内藤少尉はどう思うかね?」
「はい、流石に全学園対象ですと、難しいと思いますが・・・」
「そこでだ、今回はこの提案に協力してくれた学生の在籍している第六学園で実施し、来年度はその
結果次第で再検討する。これでどうだろうか。」と閣下の提案に異を唱える者は居なかった。
「では、後は頼むよ。内藤少尉。」と言って閣下と呼ばれた人物は部屋から出て行った。その後取りまとめ役の役人から
「内藤少尉。人選などをよろしくお願いします。・・・では、本日はここまでで。」とその場で実施に係る事が内藤少尉に一任された。
(・・・・また、仕事が増えた・・・・)と内藤少尉は嘆きつつ、早速携帯を取り出し、電話を掛ける事にした。
「はい、内藤少尉どうしましたか?」と澪が電話に出ると、会議の内容が早速伝えられた。
「ありがとうございます。それでこちらはどの様な準備が必要でしょうか?」
「人数分の宿泊の用意と演壇等の準備等ぐらいですかね。後学園長に報告をお願いします。こちらからの後ほど連絡は入れれおきますので。」
「では、よろしくお願いします。」と最後に澪が言うと
「・・・澪さん、本当に良かったのですか?かなり辛い事実を突きつけますが・・・」
「ですが、事実からいつまでも背を向ける事は出来ません。これは私達が成長する為の一つのステップだと思います。だからこそ提案したんですから。」との返事に
「・・・強いですね、分かりました。一緒に頑張りましょう。」
「はい、」と言って電話は切れた。
「さてと、こっちもやりますか。」と澪は役員会に向かって行った。
澪は役員会で実施に関する説明をすると、澪の辞任を狙っていた、役員からは
「こんな無茶苦茶な案を受け入れる事は出来ません。」と強く抵抗したが澪は
「今回の件は魔法省本省の決済も頂いております。あなたがなんと言おうと、実施する事は決定事項です。皆さんよろしいですか?」と強く言うと
「はい、私は小田会長の判断を支持します。」
「私も。」
「自分もです。」と一人の反対役員を除く役員から賛同を得た。その上で
「では、賛成多数で今議案は可決いたします。」と役員会でも了承を取り付け後は実際にその日までを待つだけになった。